Googleは、当初有料ユーザー限定だった最新AI「Gemini 2.5 Pro(実験版)」を全ての無料ユーザーへ提供開始することを発表した。同社は「最も知的なモデルをより多くの人々の手に早く届けたい」と表明し、既にWeb版での展開が進行中である。
発表からわずか4日で有料から無料へ、驚きの大転換
Googleは、Xでの公式声明を通じて次のように述べている。「チームは全力で取り組み、TPUはフル稼働中です。そして私たちの最も知的なモデルをより多くの人々の手にできるだけ早く届けたい」。これにより、Gemini 2.5 Pro(実験版)の全ユーザーへの提供が開始されることとなった。
この決定は多くの専門家にとって「予想外の展開」と評価されている。Gemini 2.5 Proは火曜日に発表されたばかりであった。当初は月額2,980円のGoogle One AI Premiumサブスクリプションを通じて、Gemini Advancedユーザーのみがアクセス可能とされていた。
現在、gemini.google.comでは既に一般公開されている。AndroidとiOSアプリへの展開も近日中に予定されている。最近のアプリアップデートにより、ユーザーが選択したモデルを記憶する機能も強化されている。
ベンチマークでトップを誇るGemini 2.5 Proの性能と特徴
Gemini 2.5 Proは、Googleが「最も知的なAIモデル」と位置づける最先端技術である。このモデルの特筆すべき点は、思考能力が基本機能として統合されていることだ。従来は別のモデルとして提供されていた機能が、標準で組み込まれている。
現在は「実験的」段階にあるものの、多様な機能をサポートしている。アプリ/拡張機能との連携、複雑なファイルのアップロード処理、そして最近追加されたCanvasによる協働機能などが含まれる。
性能評価においても、Gemini 2.5 Pro(実験版)は現在LMArenaリーダーボードで首位を維持している。特に数学と科学分野のベンチマークテストでは他を圧倒している。Googleはさらにコーディング性能の向上にも取り組んでいることを明らかにしている。
技術仕様として、Gemini 2.5 Proは100万トークンという広大なコンテキストウィンドウを実装している。これにより、大規模データセットの処理能力と、長時間の対話におけるコンテキスト維持能力が飛躍的に向上している。将来的には200万トークンへの拡張も視野に入れられている。
AI民主化を加速するGoogleの戦略的転換
今回の発表以前は、Googleの無料提供モデルとして2.0 Flash ThinkingとFlashが主力になると予測されていた。しかし、Googleは近年、高度な機能を一般ユーザーに開放する傾向を強めている。
例えば、Deep Research機能、Gems機能、情報保存機能、ドキュメント分析機能、人物画像生成機能など、以前は有料ユーザー限定だった多くの機能が無料で提供されるようになっている。
今回のGemini 2.5 Pro無料化決定は、高性能AIへのアクセス拡大という流れを加速させるものである。ただし、Gemini Advancedサブスクライバーの優位性も考慮されている。100万トークンの広範なコンテキストウィンドウと高い使用制限という特典は維持されている。
現時点では、Googleが2.5 Proの安定版も全ユーザーに無料提供するかは明確にされていない。今回の提供が実験段階限定か、恒久的な戦略変更かは未定だ。
業界関係者からは、この決定がAI市場の競争環境に与える影響に注目が集まっている。高性能AIの無料化は、競合他社にも同様の動きを促す可能性がある。
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