Googleは8月12日、同社初の紛失防止タグ「Pixel Tag」を発表した。発売は11月11日で、発表時点で購入できる製品ではない。Find Hubは従来から対応するタグを探せたが、今回はGoogleがPixelブランドでタグ本体を供給する側にも回る。

この製品が担う探索は一種類ではない。手元にある鍵や鞄を探すときは、対応端末との近距離通信で方向と距離の手掛かりを得る。タグが離れた場所にあるときは、通りかかった参加Android端末がBluetoothで検出した地点をFind Hubへ送る。この後者はタグの現在地をGPSで連続送信する仕組みではなく、ネットワークによる「目撃地点」である。

したがって、製品名や10億台超というネットワーク規模だけでは使い勝手を判断できない。精密に探すには対応するAndroid端末とUltra-Wideband(UWB)が必要で、遠隔での発見には所有者側の画面ロックとFind Hubネットワークの参加設定が関わる。Pixel Tagは、タグの性能だけで完結する製品ではなく、所有者のスマートフォン設定と周囲の参加端末で体験が変わる。

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11月11日発売、価格は米国ストアの表示に限られる

Google Blogによると、Pixel Tagは11月11日に発売する。価格は1個29ドル、4個パック99ドルである。ただし、このドル建て価格と製品ページはGoogle Storeの米国向けストアに掲載されたものだ。発表資料には日本での販売、発売日、日本円価格は書かれていないため、米国価格を日本での販売条件として扱うことはできない。

本体は電池込みで1.1×1.8×0.2インチ、重さは0.4オンス。ポリカーボネートと金属を使い、加速度センサーと内蔵スピーカーを備える。電池はユーザーが交換できるCR2032で、Googleは最長1年としているが、この値は量産前のPixel TagとPixel 10 Pro XLの試験用ソフトウェアによる測定である。使用状況、周囲の環境、交換電池によって電池寿命は変わる。

保護等級はIP67で、IEC 60529に基づき水深1mで30分間の試験条件を示す。日常の水濡れへの耐性を判断する目安にはなる一方、恒久的な防水を意味しない。Googleは、修理や損傷、分解によって耐性を失うことがあると説明する。

Pixel Watchからタグを探したり鳴らしたりできるほか、Pixel Buds経由でGeminiに鳴動を求める使い方も案内された。持ち物が近くにある場面では音を鳴らす操作が使え、端末を取り出せない場面も想定している。

近くを探す通信と、離れた場所の「目撃」は別物である

Pixel Tagは、近距離のPrecision Findingと、Find Hubネットワークを使う圏外探索を組み合わせる。初期接続には、互換性のあるAndroid端末でBluetooth 6.0以降が必要になる。Googleは方向と距離の手掛かりを表示すると説明するが、消費者向けの数値精度は公表していない。したがって、Pixel Tagがセンチメートル単位で探せるとは言えない。

Precision Findingを使うには、さらにUWBを備えた対応Android端末が要る。ペアリングした端末からの距離にも制限を受ける。スマートフォンがBluetooth 6.0対応でもUWB非搭載なら、この探索方法の条件を満たさない。購入前にはタグ側の仕様に加え、所有するAndroid端末が両方の要件を満たすか確認する必要がある。

Bluetooth SIGはBluetooth Core 6.0のChannel Soundingを、位相ベースの測距や往復時間の計測で、接続した2台の機器の距離を安全に測る機能として説明する。一般にRSSIや電波強度から距離を推定する方式より正確で、干渉の影響も受けにくいという。ただし、これは1対1の接続で働く規格上の性質であり、Pixel Tagの実測精度を示す資料ではない。

一方、タグが近くにない場合、参加Android端末がBluetoothで検出した位置を安全にFind Hubへ送信する。地図に現れる位置は、誰かの端末がタグを見つけた地点である。タグ自身が常時GPSで位置を発信しているわけではないため、最後の表示地点からタグが動いている可能性も残る。Googleは10億台超のAndroid端末から成るネットワークを掲げるが、発見までの時間や回収率を保証してはいない。

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共有は最大10人、ただし利用条件は所有者ごとに残る

GoogleはPixel Tagを最大10人と共有できるとしている。共有所有者もタグを見つけられるが、Android 9以降が必要だ。共有後、共有先のプライバシーを守るため、タグの位置を検出できるようになるまで数分かかる。この待ち時間は、同じ荷物を複数人で追う場合にも即時反映を約束しない。

荷物が近くにないときには、タグの位置をウェブリンクで送れる。リンクは自動的に7日後に失効する。作成にはタグに接続したAndroid端末とGoogleアカウントが必要で、受け手はGoogleアカウントでログインしたブラウザから確認する。家族や同行者に一時的に場所を伝える用途は想定できるが、OSを問わず誰でも閲覧できる共有ではない。

所有者の設定も探索範囲を左右する。Googleのプライバシー説明では、Android端末の画面ロックをPIN、パターン、パスワードで保護していない場合、Find Hubネットワークによる持ち物探索を使えない。さらにネットワークへの参加は、無効化のほか、複数の報告を集約する人の多い場所だけに限定する設定、参加端末が1台でも報告する「どこでも」の設定から選べる。

後者の設定なら検出地点を得られる機会は広がるが、どの設定でも必ず見つかるわけではない。近くを精密に探せる端末を持つか、離れた場所で参加端末が通るか、所有者がどの参加範囲を選ぶかが別々に効く。Find Hubの表示位置を読む際には、この三つを分けて考える必要がある。

暗号化と不明タグ警告は、探索機能の利用条件でもある

Find Hubは、参加Android端末が近くのアイテムをBluetoothで検出して位置情報を送る仕組みを採る。Googleによると、所有者がPIN、パターン、パスワードを入力した後に使える固有鍵によって、アイテムの位置情報はGoogleからも見えないよう保護される。Find Hubで位置を見られるのは所有者と、所有者が共有した相手だけだという。

この暗号化は、周囲の端末を利用する探索ネットワークを成立させる前提でもある。参加するAndroid端末がタグの場所を報告しても、報告した人が持ち物の位置を閲覧できるわけではない。反対に、所有者が画面ロックを設定していなければネットワーク探索を利用できない。紛失時の探索性と位置情報の秘匿を、所有者端末の認証へ結び付けた設計である。

不明なタグが自分と一緒に移動している場合、Androidは警告を出す。自動警告には位置情報を有効にする必要があり、警告判定は複数の要素を使う。Androidのヘルプでは、タグが時間をかけて利用者と共に移動することを条件に挙げ、1台のタグにつき警告は1日1回としている。直後に必ず通知する仕組みでも、すべての追跡を見つける仕組みでもない。

Android 6以降では、不明タグを手動でスキャンすることもできる。警告のためのデータは端末上で暗号化したまま扱われ、Googleや他の利用者とは共有されない。不明タグ警告は、周囲にいる人が意図しない追跡を検出するための機能でもある。

Pixel Tagの発売日に確認したいのは、仕様表に載る通信名よりも、対応Android端末の組み合わせと販売地域である。11月11日以降、UWB対応端末での近距離案内、各参加設定での遠隔の目撃頻度、そして日本での販売条件がそろって初めて、Google製タグとしての実用性を比較できる。