Appleは日本時間2026年9月15日、iPhone向けの「iOS 27」を配信開始した。Siri AIによるアシスタントの刷新に加え、写真の構図を撮影後に変えるAI編集、Safariのページ更新通知、ウォレットでのパス作成など、日常的に使う機能が広く変わる。iPhone 11やiPhone SE(第2世代)も更新対象に残り、旧機種にとっては動作や検索の改善も大きな変更点だ。ただし、新しいSiriはまず英語のベータ版から始まり、日本語は10月に対応する予定である。OSの対応機種と、それぞれの新機能を実際に使える条件は分けて確認したい。
主要新機能と、日本で使うための条件
iOS 27に対応するiPhoneでも、Apple Intelligenceの対応機種、機能ごとの言語、外部サービスの提供地域がそろわなければ、同じ新機能は使えない。
次の表は、2026年9月15日時点のAppleのiOS 27紹介と機能別の対応言語一覧を、利用に必要な条件ごとに照合したものだ。「AI対応」はiPhone 15 Pro/Pro Max、iPhone 16以降の全モデル、iPhone Air、iPhone Duoを指す。新製品の対応表への掲載は、その製品がすでに発売されていることを意味しない。
| 分野 | 主な新機能・改善 | 日本で使う際の条件、提供時期 |
|---|---|---|
| Siri AI | 自然な会話、個人情報の検索、画面理解、アプリ操作、専用アプリ | AI対応機種。英語ベータで段階提供、日本語は10月予定 |
| Siriの音声・音声入力 | 声の表現や速さの調整、音声入力精度の改善 | 一部の新しい機種のみ。開始時は英語 |
| 写真のAI編集 | 空間リフレーム、拡張、クリーンアップ強化 | AI対応機種。空間リフレームと拡張の対応言語には日本語を含む |
| 画像・絵文字生成 | Image Playground刷新、ジェン文字の提案強化 | AI対応機種。日本語対応。SynthIDは後日更新 |
| Safari | タブの自動分類、ページ更新通知、説明から拡張機能を作成 | AI対応機種。各機能の対応言語に日本語を含む |
| 予定・自動化 | 説明からカレンダーの予定やショートカットを作成・変更 | AI対応機種。日本語対応 |
| 文章とメール | Siriで下書き・修正、文体を反映した返信、自動校正 | Siriによる文章作成はSiriの言語条件に従う。メールの行動提案は英語 |
| 通話 | 通話に関係する予約番号などを表示 | AI対応機種。日本語の提供について公式記載に差がある |
| パスワード・メッセージ | パスワード自動更新、メッセージの会話に応じた行動提案 | いずれも後日のソフトウェア更新で提供予定 |
| ウォレット | パス作成、割り勘、ホテルキー強化、支払い管理 | 手動パス作成とAI読取を区別。Apple Cash割り勘は米国、ホテルは施設対応が必要 |
| 子どもの安全 | アプリ選択、Web閲覧承認、許容時間、スケジュール | 保護者による設定が必要。新しい閲覧承認にはスクリーンタイムの更新が必要 |
| システム | Liquid Glass調整、起動・共有・検索・通信の改善 | iOS 27対応機種が対象。速度の改善幅は機種と条件で異なる |
| 写真・カメラの操作 | 動画から静止画保存、撮影ツールの固定、共有アルバム刷新 | 個々のAI編集とは別の変更。共有相手はAndroid/Windowsも参加可能 |
| ホーム画面・時計 | 特大ウィジェット、アラーム・タイマー音量の独立設定 | 対応ウィジェットが必要。時計の音量を着信音から分けられる |
| iPhone Handoff | 同じ電話番号を2台のiPhoneの間で切り替え | 対応eSIM・通信事業者が必要。Appleの一覧に日本の事業者は掲載されていない |
| 探す・マップ | 位置共有の期間指定、Flyover強化、Local Lists | Flyoverは対象都市。Local Listsは米国限定 |
| ホーム | 通知集約、カメラ映像の説明・検索、4K映像 | AI機種、ホームハブ、対象iCloud+プラン、対応カメラなどが必要 |
| ヘルスケア | 閉経周辺期・閉経に関する記録と通知 | 通知は40歳以上などの条件あり。AIによる全面刷新は年内の後日提供 |
| 音楽・運動 | AirPodsの音質調整、iPhoneのGymKit、歌詞機能の拡充 | 対応する周辺機器やサービスが必要 |
| FaceTime・CarPlay | 前後カメラの同時表示、車内でのビデオ視聴 | 前後同時表示はiPhone 17以降。ビデオは対応車種で運転していない時のみ |
| アクセシビリティ | 画像説明、拡大鏡、読み上げ、字幕、音声操作の改善 | AI機能や言語によって条件が異なる。自由な呼称による音声操作は英語 |
表の地域・時期はAppleのサービス発表、iPhoneユーザーガイド、iPhone Handoffの対応条件も参照している。日本語対応のAI機能でも、対応端末でApple Intelligenceを有効にする必要がある。逆に、Siri AIの日本語を待っている間も、Safariや写真、カレンダーの日本語対応機能まで一律に待機状態になるわけではない。
Siri AIは個人の情報を探し、アプリを動かす
新しいSiri AIは、会話を続けながら、端末にある情報とWeb上の知識を組み合わせて応答する。メールに埋もれた予約情報を探したり、写真を見つけたり、いま画面に表示されている内容をもとに操作を頼んだりできる。Appleは、家族とのメッセージから作りたい料理を見つけ、以前届いたメールからレシピを取り出し、材料をリマインダーの買い物リストへ追加する例を挙げている。
この使い方では、利用者が情報の入っているアプリを思い出して順番に開く手間を減らせる。画面上のスポーツチームの日程を見ながら、今後のホームゲームをカレンダーに追加する、といった依頼も想定されている。ただし、操作できる範囲はアプリの対応次第だ。AppleはWhatsAppでの送信やAudibleの再生を利用例とする一方、Outlookでのメール下書き、Notabilityでの課題検索、Tripsyへの店の追加は今後の対応としている。
専用アプリ、カメラのSiriモード、文章作成
Siriには会話履歴をまとめる専用アプリが加わる。履歴はiCloudを通じて同期され、iPhoneで始めたやり取りをMacやiPadなどで続けられる。よく使う会話のピン留めにも対応する。従来の音声やサイドボタンからの呼び出しに加え、Dynamic Island搭載機ではそこから下へスワイプして会話を始める方法も用意された。
カメラのSiriモードは、ビジュアルインテリジェンスを撮影画面に統合する。目の前の物について質問するほか、掲示されたイベント情報を予定にする、バーコード付きカードをウォレットへ取り込む、といった操作につながる。画面上の情報を調べる機能と、カメラで周囲を調べる機能の両方が、Siriとの会話から使えるようになる。
文章作成では、内容を説明して下書きを一から作る、書いた文章を直す、改善点を尋ねるといった操作に対応する。メールとメッセージでは、相手との過去のやり取りを踏まえて、句読点や言い回しを本人の文体に寄せる。システム全体で入力中の文法やスペルを点検する自動校正も強化され、多くの他社製アプリで利用できる。

日本語は10月予定、英語でも待機リストがある
Siri AIは英語のベータ版として段階的に提供される。9to5Macが正式配信日に確認した手順では、「設定」のSiriから「Try Siri AI (Beta)」を選び、画面の案内に従って待機リストに参加する。利用可能になると通知される仕組みで、OSの更新直後に必ず開放されるとは限らない。この設定の入口はAppleのユーザーガイドでも案内されている。
Appleは配信開始発表で、日本語への対応を2026年10月とした。フランス語や韓国語のほか、ポルトガル語とスペイン語も同時期の予定だ。日本語版の紹介ページにある「年内」という説明より具体的な案内だが、10月の何日に開放するかまでは示していない。
年齢や地域の制限もある。13歳未満はSiri AIを利用できず、EUではiOS上のSiri AIを当初提供しない。中国では規制上の要件への対応が続いており、新しいSiriと新しいApple Intelligence機能は提供されない。これらは、iOS 27自体の対応状況とは別の条件である。
自然な音声には、さらに新しい端末が必要
Siriの声の表現や速度を調整する機能と、高度な音声入力は、端末内モデル「AFM Core Advanced」に対応した機種で使う。Appleが挙げるiPhoneは17 Pro/Pro Max、iPhone Air、18 Pro/Pro Max、iPhone Duoだ。Siri AIに対応するiPhone 15 ProやiPhone 16を持っていても、音声の全機能が同じになるわけではない。
開始時の音声表現は米国・英国の英語、高度な音声入力も英語が対象となる。通常のiPhone 17や17eまで、Proと同じ追加機能に対応すると読み替えることはできない。
Googleとの協力と、端末・クラウドの役割
Siri AIの基盤は、AppleがGoogleおよびGeminiモデルとの協力で構築した次世代Apple Foundation Modelsである。Appleは、モデルが端末内とPrivate Cloud Compute(PCC)で動作すると説明する。PCCは、端末だけでは処理しきれない要求を、プライバシー保護を前提とするサーバーで扱う仕組みだ。
個人情報を探すSpotlightの索引や、アプリ操作に使うApp Toolboxは端末内で動く。一方、Image Playgroundなどではクラウドのモデルも使う。AppleはPCCで処理する個人データを保存せず、Apple自身もアクセスできないとしている。この説明はPCCでの要求処理についてのもので、専用Siriアプリに会話履歴を保存・同期する機能とは区別する必要がある。
写真とカメラは、撮影後の構図と操作性を変える

写真アプリには、従来の切り抜きや色調整から踏み込んだ編集が加わる。中心となるのは空間リフレーム、拡張、クリーンアップの3種類だ。
| 編集機能 | できること | 使いどころ |
|---|---|---|
| 空間リフレーム | 撮影位置を仮想的に変え、遠近感や構図を調整 | 被写体の見え方や配置を撮影後に整える |
| 拡張 | 元の写真の外側を生成して広げる | 縦横比を変える、被写体の周囲に余白を作る |
| クリーンアップ | より大きな不要物を消し、周辺を補完 | 背景の邪魔な物を取り除く |
クリーンアップでは、自動・高速・高品質の処理を選べる。軽い修正と複雑な補完で使い分けられ、保存後も変更を取り消せる。空間リフレームと拡張についても元の状態へ戻す操作がある。
これらはAIが見え方や周辺部分を補う編集だ。写っていなかった場所を本当に撮影し直したことにはならない。思い出の写真を整える用途と、撮影時の状態をそのまま記録として残す用途では、編集後の画像の扱いを分けたい。
Image Playgroundとジェン文字

Image Playgroundは新しい生成モデルを採用し、写真のようにリアルな表現を含む幅広いスタイルに対応する。生成後は、変えたい内容を言葉で説明したり、タッチ操作を使ったりして編集できる。Siriアプリから画像生成を頼むことも可能で、この場合はSiri AI側の利用条件が適用される。
ジェン文字では、ライブラリの写真や、よく入力するフレーズに応じた候補が提案される。自分に合う絵文字を毎回一から説明する手間を減らす変更だ。
AIによる生成・編集を識別する仕組みについて、Appleは画像のメタデータに加え、SynthIDへの対応を案内している。ただし、SynthIDは年内のソフトウェア更新で追加される予定で、編集の種類によって対象も異なる。配信初日からすべての編集画像に識別情報が入る、と受け取るべきではない。
AI対応機種以外にも関係する撮影・共有の変更
カメラでは、よく使う撮影ツールをフレームの上に固定できる。設定を開き直す回数を減らし、露出などの操作へ届きやすくする改善だ。写真アプリには動画の任意のフレームを静止画として保存する機能も加わった。
iCloudの共有アルバムは、写真と動画のフル解像度共有に対応する。AndroidやWindowsを使う家族も、iCloud.comから参加して写真を追加できるようになる。写真のフィルタリングやリアクション、招待方法も改善された。異なる端末を使う参加者から写真を集めやすくなる変更であり、AirDropがAndroidやWindowsへ直接対応するという意味ではない。

Safari、文章作成、予定と自動化
Safariに加わるAI機能は、タブの整理、ページの変化の確認、Web表示の調整という、ブラウザで繰り返し行う作業を対象にしている。Appleの機能説明と対応言語一覧では、次の機能はいずれも日本語をサポートする。
- タブの自動整理:開いているページを解析し、似た話題のタブをまとめる。調べものが増えた時に、関連するページを探し直しやすくする。
- 「通知を受け取る」:指定したページを定期的に確認し、価格や在庫などの変化を通知する。常に即時通知されることや、最安値を保証する機能ではない。
- 説明から拡張機能を作成:自然な言葉で頼むと、Webページの内容や書式を調整する独自の拡張機能を作れる。どのサイトに何を適用するかを具体的に指定する使い方になる。
ショートカットでも、やりたいことの説明から複数アプリをつなぐ自動化を作れるようになる。既存のショートカットを直す用途にも対応する。例えば、職場を出る時に帰宅予定時刻を相手へ知らせる処理を、アクションを一つずつ並べる前に文章で指定できる。

カレンダーでは、説明から予定を追加・変更する。予定の日時や場所を個別の欄へ入力する手間を減らすものだ。Safariの拡張機能やショートカットが生成されても、意図どおりの対象や操作になっているかは確認して使いたい。作成の入口が簡単になるほど、どの情報を送り、いつ動くのかを把握することが役に立つ。
メールの提案と、通話中の情報表示
メールは、会話の内容に応じて行動を提案する。予約したレストランへの道順を開くなど、読み終えたメールから次の操作へ移りやすくする機能だ。メールとメッセージのスマートリプライにも、利用者らしい文体を反映する改善がある。
ただし、メールの行動提案は英語対応で、メッセージの会話に応じた行動提案は後日のソフトウェア更新を予定している。返信文を作る機能と、会話から操作を提案する機能を混同しないようにしたい。
電話の「通話のコンテクスト」は、航空会社などの法人に電話をかける際、メール内の予約番号といった関連情報を表示する。通話しながら別のアプリを探し回る手間を減らす狙いがある。Appleの日本語紹介ページには「英語で利用」とある一方、機能別の対応言語一覧には日本語も載っており、9月15日時点では記載が一致していない。日本語での即時利用は確約できない。
パスワードアプリが、弱いパスワードや漏洩したパスワードを利用者に代わって変更する機能も発表済みだ。ただし、こちらは明確に「今後のソフトウェアアップデートで対応予定」とされており、今回の配信開始と同時に使える機能には数えられない。
ウォレットはパス作成から支払い管理へ
ウォレットには、バーコード付きの会員証やチケットを、自分でパスとして追加する方法が加わる。これまで持ち歩いていたカードや、メールに届いたコードを、iPhoneやApple Watchですぐ提示できるようにする変更だ。
Siriモードのカメラをカードに向けたり、デジタルのカードをスクリーンショットにしたりすると、保存の操作につなげられる。ウォレットの中から直接作成する方法もある。9to5Macの操作確認では、手動作成は「Standard」「Membership」「Event」の3種類から選べる。AIで読み取る方法と、手動で入力する方法は別である。
保存されるのは提示用のパスだ。手動で作ったからといって、新しい入場権や電子マネー残高が生まれるわけではない。発行元が認めるコードを、取り出しやすい場所へまとめる機能と捉えると分かりやすい。
割り勘、ホテルキー、Apple Pay
Apple Cashの割り勘機能は、レシートをカメラや画像から読み取り、自分が注文した品目を選ぶと、税とチップの負担分も含めて支払いを計算する。そこから送金や請求へ進める。Appleはこれを米国限定とし、Siri AIを有効にした対象機種が必要だと明記している。日本のウォレットに同じ送金機能が追加されたわけではない。
ホテルキーは、対応するホテルやリゾートで機能を拡張する。部屋の解錠に加え、旅行の詳細や予約したアクティビティの更新、滞在中のサービスをウォレット内にまとめる。利用できる範囲は宿泊施設の対応によって変わる。
オンラインやアプリ内のApple Pay支払画面も更新される。スワイプでカードを切り替え、対象カードの特典やデビット口座の残高、後払いの選択肢を確認しやすくなる。対象デビットカードへApple Payで入金する機能は年内の後日提供として案内されている。カードや金融機関の対応条件は引き続き必要だ。
支払い一覧には地域差が残る
9to5Macは、Apple Cardの画面に継続課金を一覧または月間カレンダーで確認する「Recurring」が加わったと報告している。サブスクリプションなど、次に発生する支払いを把握しやすくする機能だ。ただし、Apple Cardは米国向けである。
同誌が確認した複数カードの支出を集計する「Insights」は一部地域向けで、米国ではベータ版に存在したものの正式版では利用できないとしている。日本での提供も確認できていない。ウォレットの新機能をひとまとめに日本へ適用すると、使えるものを過大に見積もってしまう。
子どもの使えるアプリと時間を、細かく決める

子ども用iPhoneの初期設定では、保護者が使わせるシステムアプリを選べるようになる。必要最低限のアプリから始め、子どもの成長や使い方に合わせて追加する運用がしやすくなる。
新しい「閲覧のリクエスト」を使うと、子どもが初めてアクセスするWebサイトを保護者が確認してから許可できる。SafariとほかのWebKitブラウザが対象で、新しいスクリーンタイムへの更新が必要だ。新しい連絡先とのやり取りを保護者が承認する機能と合わせて、何を見られるか、誰とやり取りできるかを管理する。
スクリーンタイム自体も見直される。エンターテインメント、ゲーム、ソーシャルメディアのカテゴリーごとに1日の許容時間を決め、専門家の知見に基づく年齢別ガイダンスを参照できる。曜日や時間帯によって使えるアプリを変えるスケジュールも設けられた。設定画面では平均利用時間やよく使うアプリを把握し、アクセス権を調整しやすくなる。
「コミュニケーションの安全性」は、従来のヌード画像への対応に加え、共有された写真や動画の残酷・暴力的な内容にも介入する。検出した場合に子どもが目にする前の保護を試みる機能であり、すべての不適切な内容を完全に遮断する保証ではない。
高速化の30%・70%・80%は、何を測った数字か
Appleは、アプリの起動が最大30%、新しく撮った写真の読み込みが最大70%、AirDropでの転送が最大80%高速になるとしている。この数字には、それぞれ異なる試験条件がある。
| Appleが示す改善 | 試験したiPhone | 時期と条件 |
|---|---|---|
| アプリ起動が最大30%高速化 | iPhone 11 Pro Max | 2026年8月。多数の端末使用サイクルを経た後の起動性能 |
| 撮影後の写真読み込みが最大70%高速化 | iPhone 15 | 2026年7月。50,000アセットの写真ライブラリに、カメラで個別に写真を追加 |
| AirDrop転送が最大80%高速化 | iPhone 16 Plus | 2026年7月。Wi-Fiネットワーク未接続の状態で、近くの連絡先へ合計30MBの複数写真を転送 |
いずれもAppleによるiOS 26.6とリリース前のiOS 27の比較である。機種も処理内容も異なるため、3つの数字を足したり、端末全体が同じ割合だけ速くなると考えたりすることはできない。「80%高速」を、そのまま「所要時間が80%短くなる」と読み替えることも避けるべきだ。
それでも、アプリ起動の測定にiPhone 11 Pro Maxを用いている点は、旧機種の利用者にとって判断材料になる。新しいAI機能を使えない端末でも、毎日の起動や共有に改善の余地があることをApple自身が検証対象としているからだ。ただし、これはAppleの試験結果であり、すべての利用環境で同じ差が出るという実測保証ではない。
検索と通信、見た目にも手が入る
Spotlightと写真、メールの検索は、関連する結果をより安定して見つけられるよう改善される。メールには関連性の高い結果を上位へ出す新しい順位付けが入り、CPUスケジューラなどのシステム基盤も最適化された。
通信ではWi-Fiとモバイル回線の切り替えを滑らかにする。帯域が狭い状態で大きな写真や動画を送っていても、後から送ったテキストが待たされないようになる。待ち時間を減らす改善は、アプリを開く速さ以外にも及んでいる。
Liquid Glassは、屈折やコントラストを調整して読みやすさを高め、アイコンも鮮明にした。設定のスライダーで透明度と色の濃さを選べるため、見た目の好みと視認性を自分で調整できる。ホーム画面には、より多くの情報を表示する特大ウィジェットも加わる。
時計の小さな改善も実用的だ。「アラームとタイマー」の音量を着信音量に合わせる設定を切り、独立して調整できる。着信音は控えめにしても、目覚ましは十分な音量にしたい、といった使い分けにつながる。
iPhone Handoff、探す、マップの使い勝手
iPhone Handoffは、同じ電話番号を2台のiPhoneで切り替えて使う機能だ。使いたい方のロックを解除すると、その端末へ通話やメッセージ、「探す」の位置情報などが切り替わる。仕事と休日で持ち歩く端末を変える、といった用途を想定している。
ただし、電話番号が有効になるのは一度に1台だけである。両方をiOS 27以降に更新し、同じApple Accountを使うほか、iCloudのメッセージ同期や対応eSIMが必要になる。9月15日時点のAppleの対応一覧は米国のT-MobileとドイツのTelekomで、日本の通信事業者は掲載されていない。
Apple Watchのペアリング先は自動で切り替わらない。他社製アプリの同期は各アプリの仕組みに従い、一部の交通系パスや身分証も一度に1台でしか使えない場合がある。電話番号を移せることと、端末のすべての状態が同時に移ることは別だ。
「探す」では、位置情報を共有する期間を分・時間・日数で指定したり、終了する日時を決めたりできるようになる。特定の相手への共有を当日中だけ一時停止することも可能だ。旅行の終了時刻まで共有したい場合など、共有を止める操作を後から思い出す負担を減らせる。
マップのFlyoverは、航空写真とAIを組み合わせ、対象都市の建物や樹木をより細かく描く。米国では、人気の店や用途に合った場所を地域ごとにまとめるLocal Listsも加わる。地図の新機能にも提供地域の違いがあり、日本の利用者が同じ場所リストを使えるとは限らない。
ホーム、健康、音楽、アクセシビリティにも広がる更新
ホームアプリは、関連する通知を一連の出来事としてまとめ、HomeKitセキュアビデオの内容を文章で説明し、何が起きたかを言葉で指定して映像を探せるようになる。対応カメラでは4Kのストリーミングと録画も可能になる。
利用には、Apple Intelligence対応iPhoneとホーム側でのAI有効化、最新ソフトウェアのホームハブ、対象のiCloud+プランなどが必要だ。HomePod miniやHomePod(第2世代)、Apple TV 4Kなどのハブを使う。4K映像についてはカメラ側の対応も確認する必要がある。
Appleの9月9日付サポート文書では、動画要約など一部AI機能に使えるカメラは、iCloud+の2TBプランで最大1台、6TBで最大2台、12TBで最大5台とされている。これは一般的な録画の対応台数ではなく、AI機能についての枠だ。
周期記録の拡張と、後日登場するヘルスケア刷新

ヘルスケアの周期記録は、閉経周辺期や閉経期の症状を記録し、関連する情報を参照できるようになる。記録した周期のパターンが閉経周辺期を示唆する場合の通知も加わる。この通知は40歳以上を対象とし、記録された周期の履歴に基づく。診断や治療、避妊の代替として使う機能ではない。
一方、健康情報をAIで要約するInsights、長期的な健康指標を扱うLongevity、Apple Watchのデータを用いるHealth Ageなどを含むヘルスケアアプリの全面刷新は、年内の後日提供となる。開始時の言語は米国英語だ。iPhoneのカメラなどを使う身体評価も計画されているが、各機能で必要な機器が異なる。今回すぐ使える周期記録の更新と、これから届くAI機能は分けて捉えたい。
AirPods、GymKit、Apple Music

AirPodsには、低音・中音・高音を調整するカスタムEQが加わる。音楽を聴く人が自分の好みに合わせて音質を整えるための機能だ。iPhoneのGymKit対応も広がり、トレッドミルなど対応する運動マシンと接続して測定値を確認できる。AirPods Pro 3では、運動中の心拍数をiPhone経由で連携する使い方も案内されている。
Apple Musicでは、曲をつなぐAutoMixの切り替えが改善される。歌詞翻訳は日本語から英語への翻訳など7組、歌詞の読み方表示は英語や中国語の簡体字をカタカナで示す組み合わせなど5組を追加する。これらはApple Musicの対応曲やサービス側の条件に従うもので、OSを更新すればすべての曲や周辺機器で使えるという意味ではない。
FaceTimeと、停車中のCarPlay動画
FaceTimeのデュアルキャプチャでは、背面カメラで見せている映像に、自分の顔を小さく重ねられる。相手に目の前の景色と表情を同時に伝えられるが、AppleのガイドではiPhone 17以降が対象だ。
CarPlayでは、運転していない時にiPhoneの動画を車載ディスプレイで再生できる。AirPlayまたは対応するビデオアプリを使い、車両側が車内動画機能に対応している必要がある。車両が動画を表示できないと判断した場合は音声のみになる。Siri AIをCarPlayで使う場合にも、Siriの機種や言語の条件が適用される。
見る、読む、操作するための支援
VoiceOverは写真や画面、周囲についてより詳しく説明し、質問にも応じるようになる。対応機種ではアクションボタンとの連携も使える。拡大鏡には会話形式の視覚支援が加わり、アクセシビリティリーダーは文章を読みやすく整え、要約や翻訳を助ける。これらの詳細な画像理解やリーダーの対応言語には日本語が含まれる。
映像には同期した字幕を自動生成し、既存の字幕を別の言語へ翻訳する機能も用意された。音声コントロールは、画面上の要素を「右上のボタン」のような自然な呼び方で指定しやすくなる。ただし、この柔軟な呼称による操作は開始時点では英語対応だ。支援機能という同じ分類でも、画像の説明と音声での操作では利用条件が異なる。
対応機種と更新前の確認
iOS 27の対応機種は、iPhone 11シリーズとiPhone SE(第2世代)以降を含む。Appleの一覧を世代ごとにまとめると次のようになる。
| 系列 | 対応するモデル | Apple Intelligence |
|---|---|---|
| iPhone 11 | 11、11 Pro、11 Pro Max | 非対応 |
| iPhone SE | 第2世代、第3世代 | 非対応 |
| iPhone 12 | 12、12 mini、12 Pro、12 Pro Max | 非対応 |
| iPhone 13 | 13、13 mini、13 Pro、13 Pro Max | 非対応 |
| iPhone 14 | 14、14 Plus、14 Pro、14 Pro Max | 非対応 |
| iPhone 15 | 15、15 Plus、15 Pro、15 Pro Max | Pro/Pro Maxのみ |
| iPhone 16 | 16、16 Plus、16 Pro、16 Pro Max、16e | 対応 |
| iPhone 17 | 17、17 Pro、17 Pro Max、17e | 対応 |
| iPhone Air | iPhone Air | 対応 |
| 新製品 | iPhone 18 Pro、18 Pro Max、iPhone Duo | 対応。製品の発売時期に従う |
同じiOS 27でも、iPhone 15と15 Proの間ではAI機能の有無が分かれる。16世代では16eも含めてApple Intelligenceに対応するが、前述した自然なSiri音声や高度な音声入力の条件はさらに狭い。OSの世代名だけで機能の有無を判断しないことが、更新後の戸惑いを減らす。
更新は、バックアップを取ったうえで電源とWi-Fiに接続し、「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から進める。
OS自体は無料の更新だが、サーバー上のモデルを使うAI機能には利用上限や将来の有料拡大が案内されている。AppleはSiri AIや高度な写真編集、Image Playgroundなどを対象として挙げるものの、固定の回数や有料プランの価格は示していない。利用上限の説明にも、配信開始発表と事前のサポート文書で導入時期の表現に差があるため、一定回数を保証された無料サービスとして見積もることはできない。
日本語のSiri AIが届く10月には、会話の流暢さに加え、自分のメールや予定を正しく探せるか、普段使うアプリで依頼した操作まで進めるかが試される。そこが確かめられれば、iOS 27のAIは、調べものから日々の用事までを任せられる機能として評価できるようになる。



