Microsoftの株価が2026年7月29日の時間外取引で約9%上昇した。2026年度第4四半期の売上高は前年同期比18%増の900億ドル、Azureとその他クラウドサービスの売上高は43%増となり、会社予想の39〜40%を大きく上回った。だが、AI向け設備投資が減ったわけではない。四半期のCapExは410億ドルに達し、2027年度はさらに増える。投資の大きさを嫌ってきた市場が今回評価したのは、新しく使えるようになった計算資源をクラウド売上へすぐ変えた点である。

決算には一時要因も混じる。OpenAI投資の影響を除く1株利益は4.74ドルだったが、Microsoftは従来予想との比較で27セント分の恩恵があったと説明した。32億ドルのAnthropic投資評価益と退職制度の費用減が、退職金やXboxの減損を上回ったためだ。利益の上振れとクラウド事業の加速は分けて評価する必要がある。

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43%へ跳ねたAzureとその他クラウドサービス

Azureとその他クラウドサービスの売上成長率は2026年度第2四半期の39%から第3四半期の40%、第4四半期の43%へ上がった。第4四半期の直前予想は39〜40%だったため、為替では説明できない上振れである。Microsoftは次の第1四半期についても、同指標が恒常為替ベースで約45%伸びると見込む。これとは別に、年間のAzure単独売上高は初めて1,000億ドルを超え、41%増となった。

決算期 Azureとその他クラウドサービスの前年比成長 CapEx 決算直後の株価反応
2026年度Q2 39% 375億ドル 時間外で5%超下落
2026年度Q3 40% 319億ドル 時間外でおおむね横ばい
2026年度Q4 43% 410億ドル 時間外で約9%上昇

この3四半期を並べると、株価は支出額の増減より、Azure関連売上がどれだけ速く伸びるかに強く反応している。第4四半期の410億ドルは第3四半期より91億ドル多い。それでも市場が買いで応じたのは、売上の伸びが投資に追いつく兆候をはっきり確認できたからだ。

新しいデータセンターの完成に、既存設備の効率改善が重なった。Microsoftは第4四半期に5大陸で31カ所、通年で88カ所のデータセンターを追加し、同四半期だけで1ギガワットの容量を稼働させた。同時に、大規模リージョンでGPUが搬入されてからサービスを始めるまでの時間を1年間でほぼ半減させた。既存のCPUとGPUから取り出せる処理量も増やしたという。

顧客需要は現在も供給を上回る。この状態では、設置日数を縮めたり既存設備の利用率を上げたりすると、空いた計算資源にすぐ注文が入る。Amy Hood最高財務責任者は、追加容量を四半期内に収益化できたと説明した。今回の43%は需要予測の強気さより、設備を稼働させる現場の速度が売上を押し上げた数字である。

1,900億ドルから1,750億ドルへ、会計表示と投資実態のずれ

決算後に2026年暦年のCapEx見通しは約1,900億ドルから約1,750億ドルへ下がった。しかし、Microsoftは物理的な投資計画を引き下げていない。2027年度からデータセンターとオフィスビルの見積耐用年数を15年から25年へ延ばすため、将来契約するリースの一部がファイナンス・リースからオペレーティング・リースへ移る。後者はCapExに含まれないので、表示額が約150億ドル減る。

耐用年数変更には二つの会計上の帰結がある。建物の減価償却期間が延び、将来リースの一部はオペレーティング・リースへ移ってCapExの集計対象から外れる。どちらもAI設備の導入速度を落とす変更ではない。Microsoftも、耐用年数変更の影響を除けば2026年暦年の投資予想は変わらないと明言した。2027年度のCapExは前年比で増え、第1四半期だけで500億ドルを超える見通しである。株価上昇を「投資抑制への安心」と解釈すると、会社説明と反対の結論になる。

CapExの中身にも二つの時間軸がある。第4四半期は約3分の2がCPUとGPUを中心とする短期資産で、残りがデータセンター用地や建物などの長期資産だった。MicrosoftはCPUやGPUを6年かけて減価償却すると説明している。建物の耐用年数を25年へ延ばしても、AI計算を担う半導体の更新負担が軽くなるわけではない。

オペレーティング・リースへ移ればCapExの見出しから支出が外れる一方、賃料の支払いと契約上の負担は残る。Microsoftの営業キャッシュフローはすでにオペレーティング・リース支払いの影響を受けている。今後はCapEx総額に加え、営業キャッシュフローとリース債務を合わせて設備負担を見る必要がある。

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新規受注の裾野を広げる二つの回収経路

Microsoftは計算資源をAzure顧客へ貸す一方、自社のCopilot製品にも振り向ける。Microsoft 365 Copilotの有料席数は第2四半期の1,500万から第3四半期に2,000万超、第4四半期には3,000万超へ増えた。直近四半期の純増数は前四半期の2倍を超す。GitHub Copilotも従量課金への移行後、売上高が前四半期比で60%超加速した。

この二本立ては設備投資の回収方法を広げる。AzureではCPUやGPUをクラウド利用料として販売し、Copilotでは座席料金と利用量に応じた料金へ変える。モデル学習や自社アプリへ回した容量は、その四半期のAzure売上を押し下げることがある。それでもアプリ側の利用と単価が上がれば、Microsoft全体では別の収益として戻ってくる。

新規受注の裾野は広がった。商用RPOは6,780億ドルへ増え、前年同期比84%増となった。OpenAIを除いても25%伸び、前四半期から増えた分はすべてフロンティアモデル企業以外の顧客によるものだった。これはRPOの増加分についての開示である。一方、通年のMicrosoft Cloud売上高では約90%がフロンティアモデル企業以外から生まれ、収益化済みの顧客基盤も広い。

ただし、OpenAIへの集中が解消したとまでは言えない。第2四半期時点では6,250億ドルの商用RPOの約45%をOpenAIが占めていたが、第4四半期は構成比を更新していない。今回確認できたのは、新しい受注が企業顧客へ広がったことだ。既存の大型契約が予定どおり売上へ変わるかという問題は残る。RPO全体の平均期間は2.3年で、今後12カ月に売上計上されるのは約30%である。

粗利65%と年約1,159億ドルの現金支出

AI設備の回収には、売上成長と同時に粗利を守る必要がある。第4四半期のMicrosoft Cloud粗利率は65%で、第2四半期の67%、第3四半期の66%から低下した。会社全体の粗利率も67%だった。Azureの構成比上昇とAIインフラへの投資、Copilotの利用増が原価を押し上げ、設備効率の改善で一部を吸収している。

現金の動きはさらに重い。第4四半期の営業キャッシュフローは554億ドル、設備取得の現金支出は358億ドルで、フリーキャッシュフローは196億ドルだった。2026年度通年では設備取得の現金支出が前年の約646億ドルから約1,159億ドルへ増えた。同期間の営業キャッシュフローも約1,362億ドルから約1,829億ドルへ伸びたが、増えた現金の多くをデータセンターと計算資源が吸収している。

Microsoftが挙げる防波堤は、半導体とソフトウェアの両方で処理単価を下げることだ。自社製AI半導体Maia 200は同社設備内の最新世代機に比べて費用当たり性能が30%高く、Microsoft独自モデルを動かす場合は電力当たり性能が40%高いという。Copilot向け処理量も年初から4倍に増えた。いずれも会社側の測定値だが、45%のAzure関連売上成長を粗利率の急落なしに達成するには、こうした改善を四半期ごとに積み重ねる必要がある。

2027年度について、Microsoftは営業利益率の低下を1ポイント未満に抑え、通年でフリーキャッシュフローを黒字に保つと予想する。最初の検証は次の決算だ。Azureとその他クラウドサービスが約45%伸び、Microsoft Cloud粗利率が65%前後を保ち、500億ドル超のCapExを投じても現金創出力が崩れなければ、市場がAI投資の回収可能性を評価する根拠は強まる。どれかが外れれば、1,750億ドルという見かけ上低い数字では埋められない。