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Microsoft、インディアナ州データセンター計画を拡大 – 追加40エーカーの土地取得へ

Y Kobayashi

2025年4月27日

Microsoftが、米国インディアナ州セントジョセフ郡で計画中の大規模データセンターキャンパスの用地をさらに拡張する動きを見せている。同社は昨年取得した広大な土地に隣接する約16ヘクタールの農地を追加取得するため、土地の用途指定変更(再ゾーニング)を申請。郡の地域計画委員会はこの申請を承認し、最終決定は郡議会に委ねられることとなった。

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40エーカーの追加取得と再ゾーニング承認

Microsoftが新たに対象としているのは、クリーブランドロードとカラントロードの交差点南西に位置する約16ヘクタールの土地である。 この土地は現在、耕作された農地として利用されている。

この約16ヘクタールの土地は、Microsoftが昨年7,750万ドルで購入した約376ヘクタールの土地に三方を囲まれる形となっている。約376ヘクタールの土地は以前、St. Joe Farmと呼ばれる農場の一部であった。 Microsoftはこれらの土地を合わせて、データセンターキャンパスを建設する計画だが、プロジェクトの具体的な設計や規模についてはまだ詳細を明らかにしていない。

今回追加取得を目指す16ヘクタールの土地所有者はHeritage Land Operations LLCであり、昨年Microsoftに約376ヘクタールを売却したPaul Blum氏夫妻とは異なる。 Microsoftの代理人を務める地元コンサルタント会社Danch, Harner and AssociatesのAngela Smith氏は、この16ヘクタールが既存の計画地にある「隙間」を埋めるものであり、開発においてこの部分を取得するのは自然な流れだと説明している。 同氏はまた、「このプロジェクトはまだ設計プロセスの非常に早い段階にある」とも述べている。

セントジョセフ郡地域計画委員会(Area Plan Commission, APC)は、2024年4月15日(現地時間)、この40エーカーの土地を農業用地から工業用地へと再ゾーニングする申請について審議し、6対1の賛成多数で承認勧告を決定した。 委員会は、この土地の農業への適性が低いこと、上下水道サービスの提供が限定的であること、そして周辺に住宅が極めて少ないことから、「工業開発がこの土地にとって最も望ましい利用法である」と結論付けた。

この再ゾーニング申請は今後、セントジョセフ郡議会(County Council)に送られ、5月13日に予定されている会議で最終的な承認が審議される。

地域からの懸念とインフラ問題

一方で、この再ゾーニング計画に対しては、地域住民や一部の委員から懸念の声も上がっている。

環境と農地保護への懸念:
環境・土地保護活動家のSteve Francis氏は、今回の動きが、計画に基づかない「段階的な(piecemeal)」開発による「ドミノ効果」の一部であると批判。農地が次々と開発されることへの懸念を示し、代わりに生息地回復ゾーンとして計画することを提案した。 委員会メンバーのD.J. Tavernier氏は再ゾーニングに賛成票を投じたものの、「いつこれを止めるのか?一度工業用地にしてしまえば、元には戻れない。失われれば、永遠に失われる」と述べ、開発に歯止めをかける必要性を訴えた。 唯一反対票を投じたGene Matzat氏も、農地保護のための限界設定に同意した。 委員長のAdam DeVon氏も、今回の区画を周囲の工業利用と合わせることは合理的としつつ、「停止点を見つける必要がある」との考えを示した。

交通への影響:
建設期間中および完成後の交通量増加も懸念されている。特にTavernier氏は、近隣のクリーブランドロードやキャピタルアベニュー、そしてその交差点の現状を「ゴミ箱火災(a dumpster fire)」と表現し、データセンター建設によって状況がさらに悪化することへの強い懸念を示した。 Microsoft代理人のSmith氏は、交通への影響に関する調査が「順調に進んでいる」と述べている。

その他の懸念:
その他にも、将来的にさらに多くの土地が再ゾーニングされる可能性、地域での雇用創出効果の有無、データセンターが必要とする莫大な電力量、近隣のJuday Creekへの影響などが懸念事項として挙げられている。

インフラ問題(水道供給):
さらに、データセンターに不可欠なインフラである水道供給を巡っても問題が浮上している。Microsoftの計画地はミシャワカ市の市境すぐ外側に位置するが、将来的な水道供給について、ミシャワカ市とセントジョセフ郡の間で見解の相違が生じている。ミシャワカ市は数年前からこの地域の成長を見越して水道サービスを計画してきたが、郡は現在、Microsoftのために代替となる水源を検討している状況だ。

Microsoftの世界戦略との関連:
今回のインディアナ州での拡張計画は、Microsoftが最近、世界各地でデータセンターの建設計画やリース契約を縮小・中止しているという報道の中で進められている。 報道によれば、同社は過去数ヶ月で北米、アジア太平洋地域、英国などで合計約2ギガワット(GW)相当のデータセンタープロジェクトをキャンセルしたとされ、最近ではオハイオ州リッキング郡で計画していた10億ドル規模のキャンパス建設も一時停止した。

証券会社TD Cowenのアナリストは、これらのリース契約キャンセルや容量の延期は、「現在の需要予測に対してデータセンターが供給過剰であることを示唆している」と推測している。 しかしMicrosoft側は、計画を戦略的に調整しているだけであり、データセンターおよびAIインフラに対する年間800億ドルの投資計画は順調に進んでいると主張している。

インディアナ州は、Meta(Facebookの親会社)、US Signals、DataBank、Netrality、Digital Crossroadsといった企業もデータセンター拠点を構えるなど、データセンター産業にとって注目される地域の一つとなっている。 Microsoftによる今回の拡張計画が最終的に承認されれば、同州におけるデータセンター集積がさらに進むことになる。


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