Nintendo of Americaが2026年8月17日付でGitHubへ送ったDMCA通知は7件あり、GitHubの注記と通知内のURLを合計すると対象は405リポジトリになる。ただし、この数字は405個の独立したエミュレーターや開発チームを数えたものではない。311件、全体の約76.8%は、vstyler96/suyuを親とする一つのフォークネットワークだった。8月23日(日本時間)に親7件を確認すると、5件はHTTP 451を返した一方、2件はアクセスできるもののルートにはREADME.mdしか残っていなかった。通知の対象数、GitHubがネットワークへ適用した処理、現在見える親リポジトリの状態は、それぞれ別の数字である。

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405件は7通知のどこから生じたか

GitHubの公開DMCA記録には、すべて8月17日受領分として7件の通知が掲載されている。通知ごとの親リポジトリとフォーク数を足すと、311、18、1、8、24、14、29件となり、合計は405件である。内訳は次の通りだ。

通知 親リポジトリ GitHubで処理された件数
1 vstyler96/suyu 311
2 irlbunny-archive/MonoNX 18
3 IpwnedU/yuzu-master 1
4 liushuyu/yuzu-android 8
5 exverge-0/yuzu-EA4176 24
6 NicolasArvani/yuzu 14
7 skyline-emu/skyline 29

最大の311件はSuyuの親とそのフォークを合わせた単一ネットワークである。残る6通知を全て足しても94件にとどまる。「400超」という見出しはGitHub上で通知対象として処理されたリポジトリの総数を表しており、異なるコードベースが同数あったという意味ではない。

通知本文のURL数とGitHubの処理件数が常に同じとは限らない点にも注意が要る。たとえばyuzu-EA4176は、親1件に公開URLで確認できる21件のフォーク、非公開情報として伏せられた2件を加えた24件である。一方、yuzu-androidNicolasArvani/yuzu、Skylineについて、GitHubは通知時点で活発にフォークされていたと注記し、処理時点のネットワークをそれぞれ8件、14件、29件と数えた。405件は、この注記を優先して合計した値だ。

通知ファイルの日付も、削除日や裁判所の判断日を示すものではない。GitHubのDMCAリポジトリは、ファイルの日付を通知の受領日としており、掲載そのものは違法または不正の認定ではないと説明している。

フォーク網をまとめて処理できるGitHubの条件

GitHubは通常、親リポジトリを無効化してもフォークを自動では無効化しない。フォークは別のユーザーが所有し、内容や利用も異なり得るためであり、権利者は原則として個々のフォークを調査して通知で特定する必要がある。

一方、通知時点でフォークが活発に増えており、権利者が既存のフォークを全て特定した場合、GitHubは有効な申立てを処理時点のネットワーク全体へ適用できる。100件を超えるネットワークでは、代表サンプルを確認したうえで、残りも同じ侵害物を含むとする申立人の宣誓が条件になる。Suyuの通知にある311件は、この100件超の扱いで親を含むネットワーク全体を処理したものだ。一つの親に対する申立てが、処理時点のフォーク網全体へ広がる。

7件の通知には、GitHubが無効化前に対象の所有者へ変更の機会を与え、カウンター通知(異議通知)の情報も提供したという共通注記がある。GitHubは一部の内容を直せる案件では、所有者に約1営業日の修正機会を与える。所有者が指定箇所を削除し、権利者がそれを受け入れれば、リポジトリを丸ごと無効化せずに済む。GitHubの方針上は、同じ通知群でもHTTP 451になる親と、READMEだけ残る親に結果が分かれ得る。

405件という数は、Nintendoが通知へ記載したURLにGitHubのフォーク処理方針が加わった結果である。コードベースの多様性より、GitHub上で複製がどれだけ枝分かれしていたかを強く反映する。

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任天堂が挙げたのはTPM回避の主張である

任天堂は通知で、Switch本体とゲームに用いる技術的保護手段(TPM)、特にprod.keysによる暗号化を挙げた。対象のエミュレーターが実行直前または実行時に権限のない鍵でゲームを復号するため、17 U.S.C. 1201(a)(1)と(a)(2)に反する回避、または回避技術の流通に当たるというのが任天堂側の主張である。

同法の1201(a)(2)は、著作物へのアクセスを有効に制御する技術的手段を回避することを主目的とした技術や製品、サービスなどの製造・提供・流通を禁じる。ここで任天堂が立てた論拠は、ROMそのものを各リポジトリが配布したという主張ではなく、実行時の復号を担うソフトウェアを配布したという点にある。対象とされたプロジェクトがこの説明にどう反論できるかは、それぞれの実装と配布物によって変わる。

GitHubは回避技術に関する申立てを技術面と法務面の専門家が審査し、判断できない場合は開発者側に寄せてコンテンツを残すとしている。それでも、プラットフォーム内の審査は裁判ではない。通知の公開ページも、掲載は申立てを受け取った記録であり、対象ユーザーが違法行為をしたとの認定ではないと明記する。

任天堂は、2024年のNintendo v. Tropic Hazeの終局判決も今回の通知で引用している。同判決は当事者の共同申立てに基づき、Yuzuが無許可の暗号鍵でSwitchゲームを復号すると認定し、240万ドルの支払いとYuzuの提供・配布などを禁じた。ただし、永久差止めの対象はTropic Hazeと関係者であり、今回通知された全リポジトリへそのまま及ぶ包括的な命令ではない。

親7件は一様に消えてはいない

8月23日(日本時間)の確認では、vstyler96/suyu、MonoNXの転送先、liushuyu/yuzu-androidexverge-0/yuzu-EA4176NicolasArvani/yuzuの5件がHTTP 451だった。これに対し、IpwnedU/yuzu-masterskyline-emu/skylineはHTTP 200でアクセスできたが、GitHub APIでルート直下を確認すると、どちらもREADME.mdしかなかった。

親リポジトリの状態 件数 8月23日に確認できた内容
HTTP 451 5 法的理由によるアクセス不可
HTTP 200 2 ルートはREADME.mdのみ

GitHubの方針では、所有者が指定箇所を変更しなければアクセスが止まり、修正すればリポジトリ自体を残せる。ただし、HTTPステータスは8月23日時点の観測であり、その後の異議通知や再修正で変わり得る。

yuzu-masterのREADMEはソースがarchive.orgにあると案内する。SkylineのREADMEは開発終了を記し、任天堂の権限ある代理人からの要請に応じ、所有者が管理するすべてのブランチとタグからソースを削除したとしている。GitHub上の親リポジトリが応答することと、元のソース一式が残っていることは別問題だ。

また、GitHubでの無効化やソース削除から、ローカルの複製、別ホスト、アーカイブまでコードが消滅したとは結論づけられない。405件全ての現在状態も個別には確認していない。有効なカウンター通知が出され、任天堂が無効化の維持を求めるなら、GitHubの方針上は差止命令を求める法的手続きが次に必要になる。READMEだけの親がコードを戻すのか、451の親が異議を申し立てるのか。その動きが、今回の処理が恒久的な配布遮断になるかを分ける。