LinuxとmacOSでXboxのPCゲームを動かそうとするオープンソース計画「Xodus」が、ストアへのログインからゲームパッケージの取得、ライセンスの入手、実行ファイルの復号までをつないだ。Microsoftが示すPC Game Passの公式動作環境はWindows 10/11のversion 22H2以降であり、Linuxは対象外である。Xodusは、この認証・配信経路をLinux上に組み直そうとしている。ただし、現段階は一般利用者向けサービスの開始ではない。
Xbox認証から復号まで通った
Xodusの公式READMEでは、デバイスとユーザーのログイン、Xbox認証が完了項目になっている。MSIXVC形式のパッケージ取得と実行ファイルのオンデマンド復号にも対応し、ゲームのライセンスも取得できるという。PC Game Passの契約者が正規の権利を使い、Microsoftの配信基盤からゲームを受け取るまでの主要工程が、WindowsのXboxアプリ外でつながり始めたことになる。
中核のXodusはRustで書かれており、現在の利用手段は開発用のコマンドラインだ。用意されたコマンドも、パッケージのダウンロードと展開、ライセンス情報の取得、ログインといった低水準の操作が中心である。完成したランチャーを導入し、ライブラリから作品を選んですぐ遊ぶ段階には達していない。
XodusはMicrosoftやXboxが公認・支援する製品ではなく、自己責任で使うよう明記されている。Minecraft Bedrockをいつ遊べるかというFAQでも、Wine上で必要なXbox Servicesを支える作業が多く残ると回答しており、公開日を示してはいない。
Protonの外側にある4つの壁
XboxのPCゲームをLinuxへ運ぶには、Windows向けゲームを動かすProtonに加えて複数の実装が要る。Xodusが分解している壁は大きく四つある。まずMicrosoftアカウントとXboxの認証、次に購入・Game Pass契約に基づくライセンスである。さらにMSIXVCパッケージの取得と展開を処理し、ゲームが呼び出すGDKランタイムも再現する。
この構造は、Xodusが複数のリポジトリに分かれている理由でもある。中核プロジェクトが認証と配信を扱い、別の「xgameruntime」がWindowsのxgameruntime.dllを再実装する。さらに、MSIXVCを読むためのNTFS関連コード、Xodus向けの変更を入れたWine、そのWineを組み込むProtonが並行して開発されている。サービスプロセスはUnixドメインソケットのxodus.sockを介し、互換ランタイムとゲームの橋渡しを担う設計だ。
MicrosoftのGDK文書も、パッケージを入手すれば実行条件がすべて揃うわけではないことを示している。GDK製PCゲームのテストにはWindows上のGaming Servicesパッケージが必要である。Xodusはゲーム本体に加え、Gaming Servicesに依存する処理をWine上で再現しなければならない。
そのため、対応範囲は当面、GDKで作られ、MSIXVC形式で配布されるタイトルに限られる。開発側は大半のカタログを目標に掲げる一方、「Gears of War 4」を現時点の代表的な非対応作として挙げている。取得に成功した作品と、起動からプレイまで進める作品は同じ集合にならない。
2026年10月へ動くMSIXVC2
Microsoftは2026年4月版GDKで、PC向けの新しいパッケージ形式「MSIXVC2」をプレビュー公開した。一般提供は2026年10月版GDKを予定しており、XodusのREADMEではMSIXVC2対応が未完了項目として残っている。
MSIXVC2は、更新で変わった部分を従来より細かく扱う。Microsoftによると、出荷済みタイトルを使った試験では更新サイズを従来のMSIXVCより64〜94%減らせた例がある。ファイルの移動や並べ替えだけで大きな再ダウンロードが起きにくくなるため、容量の大きいゲームを頻繁に更新する運用には効く。
ただし、配信形式が変われば、外部実装は解析と追随を迫られる。Xodusが従来MSIXVCの認証・取得・復号を通した直後に、Microsoft側では次世代形式への移行が始まった。2026年10月の一般提供後、新規タイトルがどの速度でMSIXVC2へ移るかは、Xodusの実用範囲を左右する。
「もうすぐ」を何で測るべきか
Xodusが完了したのは、認証と配信、ライセンス管理、実行ファイルの復号である。一般利用者が「使える」と判断するには、少なくとも配布リリース、複数の実ゲームでの互換性、Xbox Servicesに依存する処理の動作という三つの確認が要る。
ゲームごとの差も大きい。XodusはXbox Backward Compatibility on PCのタイトルを取得して起動できる能力があると説明するが、実際の動作にはWine、DXVK、vkd3d-protonへの追加パッチが必要になる可能性を認めている。セーブ同期、マルチプレイ、アンチチートを含む対応表も、まだ提示されていない。
当面の節目は、開発者向けCLIから一般利用者向けの配布物が出ること、そして再現可能な互換性データが蓄積することである。さらに2026年10月以降は、MSIXVC2で配信されるタイトルを同じ経路で扱えるかが加わる。これらを確認できるまでは、「LinuxでPC Game Passが使える」と結論づける段階ではない。



