米カリフォルニア北部地区連邦地裁は2026年7月20日、Paramount SkydanceによるWarner Bros. Discovery(WBD)の買収について、完了と統合作業を14日間差し止めた。1100億ドルの取引が違法だと確定したわけではない。それでも、6月に米司法省が調査を終えた案件は、8月3日の予備的差止め審理を待たなければ動かせなくなった。裁判所を動かしたのはストリーミング市場の規模ではなく、全米公開映画の配給を巡る集中度だった。

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14日間の命令は統合作業まで止める

Araceli Martínez-Olguín連邦地裁判事の命令は、両社が買収を完了することに加え、取引に基づいて直接または間接に事業を統合・集約する行為も禁じた。対象には両社の役員や従業員、代理人なども含まれる。署名済みの契約を14日間待機させるだけの措置ではない。

差止めの目的は、裁判所が本案を検討できる状態を残すことにある。両社が先に機密情報を共有し、部門をまとめ、従業員を解雇または配置転換すれば、後から競争状態を元に戻すのは難しい。判事は、この「元に戻せなさ」を回復不能な損害として認めた。

州側は7月23日までに予備的差止めを申し立て、両社は27日までに反論する。州側の再反論は30日が期限だ。審理は8月3日午後3時にオークランドで開かれる。両当事者が日程延長に合意する場合も、その審理までは一時的差止めを続けることが条件になる。

映画配給27%とHHI 2074の重み

カリフォルニア州など12州は、買収がクレイトン法7条に違反するとして7月13日に提訴した。訴状が挙げる市場は、全米公開映画の配給、ヒットが見込まれる大作映画の配給、そしてベーシックケーブル局のライセンス供与の三つである。今回の命令で判事が詳しく検討したのは、最初の全米公開映画だけだった。一つの市場で十分な証拠があれば、緊急の差止めを出せるためだ。

州側の分析では、統合後のシェアは27%に達する。市場集中度を表すHHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)は約359ポイント上昇し、2074になる。判事はこの数値を踏まえ、州側が競争を大きく損なうとの強い主張を示したと判断した。両社は市場の区切り方を争っているが、今回の審理に限って州側の定義を前提に議論し、集中度を直接覆す証拠は示さなかったと命令は記している。

ただし、裁判所は反トラスト訴訟の勝敗を決めていない。企業側は、映画配給への新規参入や市場の変化を州側が正しく捉えていないと反論した。判事も事実と法的評価に争いがあることを認め、完全な証拠記録がない段階では「本案について重大な疑問が残る」と判断するにとどめた。27%という数字が最終判決までそのまま通用するかは、これから検証される。

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司法省が見た市場、12州が切り取った市場

米司法省反トラスト局は6月12日、8カ月にわたる調査を終了した。80人超の管理者から提出された200万件超の文書を調べ、定額制動画配信、リニアテレビ、劇場映画の開発・製作・配給のいずれでも、買収が競争を害する可能性は低いと結論づけた。むしろ統合後の会社が大手配信事業者への競争圧力を強めるとの見方を示している。両社が情報共有に同意したことで、司法省と州側は情報を共有し、州司法長官の各事務所も調査に参加していた。

それでも12州は、全米公開映画とケーブル局の取引条件を別個の市場として訴えた。Paramountは、Netflixや大手テクノロジー企業に対抗するには両社の資本とコンテンツを束ねる必要があり、州側は現在の競争を誤って描いていると反論する。議論のずれは明確だ。Paramountと司法省は広い映像市場で競争相手が増える効果を重く見ており、州側は映画館やケーブル事業者がParamountとWBDを互いに競わせる機会が消えることを問題にしている。

今回、判事は後者の枠組みだけで緊急措置を判断した。ストリーミング事業で効率が上がるという主張についても、全米公開映画という関連市場の競争減少を埋め合わせる抗弁にはできないと退けた。司法省の調査終了を覆す命令ではないが、行政の結論だけでは州の訴訟を封じられないことがはっきりした。

8月3日と9月30日、取引を左右する二つの期限

ParamountとWBDが2月27日に結んだ契約は、WBD株1株を現金31ドルで買い取る。株式価値は810億ドル、債務を含む企業価値は1100億ドルである。WBD株主は4月23日に17億4284万3087票の賛成で契約を承認しており、当初は2026年第3四半期の完了を見込んでいた。

予備的差止めが認められれば、14日間の小休止は訴訟中の長期凍結へ変わる。否定されれば一時的差止めは失効に向かうが、買収には残る完了条件を満たす必要がある。まず8月3日が、州側の市場定義と集中度の証拠に長期の差止めを支える力があるかを測る日になる。

もう一つは9月30日だ。契約では、買収が同日を過ぎると、ParamountがWBD株主に1株当たり1日0.00277778ドルを上乗せする。上乗せは90日当たり最大0.25ドルである。裁判所も、両社が9月末までは遅延に伴う保有コストを負わないと認めた。8月の審理が法的な分岐点なら、9月末は遅れが直接の買収費用に変わる境目となる。