Appleが、Vision Proを軽くする新たなヘッドセット「N224」の設計を検討していると、BloombergのMark Gurman氏が9月27日に報じた。候補には、素材を変える案に加え、演算装置を本体の外へ移す案があるという。現行Vision Proも電池は外付けだが、コンピューターは頭に載せたままであり、今回の案はその配置に踏み込む。実現すれば顔が支える重さを減らせる可能性がある一方、外部機器との接続や処理の分担まで設計し直すことになる。

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4つの案を検討、発売時期もまだ見通し

Gurman氏の報道によると、AppleはN224について4つの設計案を検討している。プラスチックやチタンなどの材料を試すほか、演算装置とバッテリーをまとめた外部ユニットも選択肢に入っているという。一方、社内には外部ユニットを好まず、より一体型に近い設計を求める幹部もいるとされる。

新型の姿はまだ固まっていない。素材を変えて軽くするのか、主要部品を頭から離すのかでは、使う人が持ち歩く機器も変わる。今回の報道が示すのは、完成した製品の仕様よりも、Appleがどこまで構造を変えるかを探っている段階だ。

登場時期として挙がるのは2028年末から2029年初頭だが、これは報道上の見通しであり、発売が決まったわけではない。目標重量や価格、採用チップもAppleから発表されていない。安価なVision Proが確実に出ると受け取るには早い。

なお、原報道の全文は購読制限により確認できていない。N224の詳細は、原報道を引用した記事同士で一致する内容に限っている。

現行Vision Proは、重りでバランスを取っている

Appleはすでに、Vision Proの装着感を改善するために重さの配分を変えている。2025年10月にM5搭載モデルとともに発表したデュアルニットバンドには、下側のストラップにタングステンの重りが埋め込まれている。Appleはこれを、快適性やバランス、安定性を高めるための重りだと説明した。

軽くしたい機器に、あえて重りを加える。矛盾するように見えるが、総重量と、顔や頭のどこが荷重を受けるかは別の問題である。バンド側で釣り合いを取る設計は、部品そのものを減らす軽量化とは違う方法で装着感に働きかける。Appleの説明は、その違いをよく表している。

公式仕様に記載されたM5版Vision Proの重量は750〜800gだ。この数字にはライトシーリングとデュアルニットバンドが含まれ、構成によって変わる。さらに別体のバッテリーが353gある。したがって、本体の数字だけを見て持ち運ぶ機器全体の重さと考えることも、バッテリーを含めた重さをそのまま顔への負荷と考えることもできない。

N224が演算装置を外へ移すなら、狙えるのは装着側に残る部品の削減である。ただし、どの部品をどこまで移すかは分かっていない。現行バンドの重りが不要になる、一定の重量まで減らせる、といった結論にはつながらない。

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約100gのMeta機と比べる前に、重さの範囲をそろえる

Metaは9月24日の日本語発表で、2027年春に発売予定の「Meta VR Glasses」を約100gと説明した。グラス側にはセンサーとディスプレイを置き、演算処理とバッテリー、ストレージは外部パックへ分離する。両者をつなぐのは光ファイバーケーブルだ。外部パックはポケットやバッグに取り付ける構造になっている。

Apple Vision Pro(M5)の750〜800gはバンドなどを含む装着部分の重量で、Meta VR Glassesの約100gも外部機器を除いたグラス部分の数字だ。

Appleの仕様表とMetaの発表を、重さに含まれるものと機能の置き場所で分けると、次のようになる。

比較する項目 Apple Vision Pro(M5) Meta VR Glasses
製品の段階 販売済みのM5搭載モデル 2027年春発売予定
装着部分の公称重量 750〜800g 約100g
重量の対象 ライトシーリングとデュアルニットバンドを含む。構成で変動 グラス部分。外部パックを含まない
外部機器 353gのバッテリー 演算装置、バッテリー、ストレージを収めたパック
演算装置の配置 M5とR1をヘッドセットに搭載 主な演算処理を外部パックへ分離

表は2026年9月28日時点で確認した公式資料を、装着部分と外部機器に分類したものだ。Metaの発表には外部パックの重量が記載されておらず、持ち運ぶ機器全体の重量差はこの数字から求められない。また、販売製品と発売前の公称値の比較であり、同じ条件で装着感を測った結果でもない。

それでも、設計の違いは明確だ。Vision Proは電池を外へ出しながら頭側に演算装置を残しているのに対し、Metaは演算装置も分離する。Metaの数字は、単に軽い材料を使った結果として読むより、顔に載せるものを絞った設計と合わせて読むほうが実態に近い。

この方式をAppleが採るかは未定だが、N224の報道を考えるうえで具体的な比較対象にはなる。頭側を軽くする代わりに、外部ユニットをどこに収め、ケーブルをどう取り回すか。映画を観るときや机で作業するときの使いやすさは、グラス部分の重量だけでは決まらない。

演算を外へ出しても、反応速度は手放せない

現行Vision Proでは、M5に加えて専用のR1チップがセンサー入力を処理している。Appleによると、R1はカメラなどからの入力を処理し、新しい映像を12ミリ秒以内にディスプレイへ送る。周囲をカメラ越しに見る機器にとって、頭を動かした際の映像が素早く追従することは、表示の細かさと並ぶ設計上の要件だ。

ここで、演算を外へ出す案には別の問いが生まれる。カメラから受け取った情報をどこで処理し、どのデータをケーブルへ流すのか。頭側に残す処理と外部側に任せる処理を決めなければ、部品の配置だけでは動作の全体像が定まらない。これは現行機の構成から導ける設計上の論点であり、N224の内部仕様が判明したという話ではない。

12ミリ秒という現行機の値も、外部ユニットとの通信速度を示す数字ではない。R1がそのまま外へ移るとも、同じ構成が新型に引き継がれるとも言えない。今後、軽量化の数字が出てきたときには、映像やセンサー処理の反応をどう維持するのかを一緒に見る必要がある。

また、外へ移した演算装置は、外部側で電力を使い、熱を出す。装着部分の軽量化は、その処理や放熱を不要にするわけではない。Metaが発表した分離構造はひとつの実装例だが、Appleが同じ分担や冷却方法を選ぶ根拠にはならない。

N224を評価できるのは、装着部分の重さに加え、外部ユニットの大きさや接続方法、映像の反応が見えてからだ。そこが使いやすい形にまとまれば、軽量化は仕様表の数字を変えるだけでなく、映画を観終えるまで、あるいは作業を終えるまで装着を続けられるかという、Vision Proの実用性に直結する改善になり得る。