Microsoftは、Windows 11の累積セキュリティ更新プログラム「KB5121003」後に報告されているゲームクラッシュについて、RGB照明を扱う周辺機器またはPC内部コンポーネントとの関係を公式のRelease Healthで具体化した。8月21日21時36分(太平洋時間)の更新では、こうした機器が「inpoutx64」に似た名前のドライバーやコード部品を導入している場合、特定のゲームの起動で問題を引き起こし得ると説明した。

同時にMicrosoftは、該当ドライバーを削除せず、次回の再起動時に読み込まれないようにするレジストリベースの一時回避策を示した。ゲームごとの個別手順しかなかった段階から、Windows 11 24H2/25H2で該当するinpoutx64サービスキーが存在するシステムを対象にした一時回避策が、公式項目へ加わった。

ただし、Release Healthの状態は「Investigating」のままである。Microsoftは、Microsoft自身が原因の問題かどうかを調査中としており、RGB制御ソフトだけがすべてのクラッシュを起こした、あるいはKB5121003との因果が確定したとは述べていない。

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8月21日に加わったRGBと「inpoutx64」の手掛かり

発端となったKB5121003は8月11日に公開されたWindows 11 24H2/25H2クライアント向け更新である。Microsoftはサーバー製品を影響対象に挙げておらず、「ARC Raiders」「MARVEL Tōkon: Fighting Souls」「THE FINALS」で、ゲームが応答しない、予告なく終了する、EXCEPTION_ACCESS_VIOLATIONが出る、端末が予期せず再起動するといった現象を掲載している。

以前の公式項目は、Microsoftが問題を調べていることと、対象ゲーム・症状を中心に伝えていた。今回の更新は、RGB照明に対応する一部の機器や内部コンポーネント、それらが導入する「inpoutx64」に似たファイル名の部品へ調査対象を具体化した。ゲームの側で起きる現象を、PCに残るドライバーまで遡って切り分ける材料が初めて公式に示された。

とはいえ、この説明は原因の確定ではない。Microsoftは影響を受けるRGB製品やユーティリティの一覧、影響台数、3タイトルが同じ仕組みで失敗するかどうかを公表していない。「inpoutx64」という名前だけで、すべてのRGB製品を問題の対象とみなすこともできない。

また、Microsoftが今回示した関係は「特定のゲームを起動したとき」に問題が起こり得るというものだ。通常のRGB照明機能が直ちに危険だという話ではなく、対象ゲーム、導入済みのドライバー、PCの構成という条件が重なるかを調査している段階である。

Start=4はドライバーを消さず、次の起動から止める

Microsoftの暫定手順は、まずレジストリをバックアップし、現在の値を記録したうえで、HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\inpoutx64 を開き、Start の値を 4 に変更するというものだ。変更後は再起動が必要になる。Windowsのドライバー用レジストリ設定では、Start=0x4 はサービスを無効にし、読み込まれない状態を表す。

この操作はKB5121003をアンインストールする手順ではない。問題との関係を調べているドライバーを次回起動から読み込ませないための回避であり、更新プログラムに含まれるセキュリティ変更を取り除くものでもない。該当するゲームを起動したい利用者にとっては、更新を外す前に検討できる選択肢になる。

一方で、Microsoftはドライバーを無効にすると、RGB照明そのものや設定を担うソフトウェアが使えなくなる可能性を明記した。変更前のStart値を控える理由はここにある。元へ戻す場合、Microsoftは一律の数値を指定しておらず、記録した元の値を復元するよう案内している。値を推測して書き換えるのではなく、バックアップと記録を済ませたPCだけで実施すべきである。

レジストリの対象はinpoutx64サービスである。名称が近いファイルや別のサービスまで一括して無効化する手順ではない。該当するキーがないPCに同じ操作を広げても、Microsoftの案内に沿った切り分けにはならない。

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Microsoftは無効化、Embarkは削除

「THE FINALS」の開発元Embark Studiosは8月17日、同作でクラッシュする利用者向けに別の手順を公開していた。サービスを停止・削除し、C:\Windows\System32\drivers\inpoutx64.sys を削除し、必要に応じてレジストリキーも削除するという内容で、長期的な修正に取り組むとしている。8月20日のUpdate 11.6.0でも、プレー時にドライバーのアンインストールを求める表示が出る可能性を告知した。

両者は同じ名前のドライバーに触れるが、復元のしやすさと適用範囲が異なる。Microsoftの手順はサービスの読み込みを止め、元の値を戻せば再有効化できる余地を残す。Embarkの手順は「THE FINALS」向けに示された削除であり、ファイルとサービス、場合によってはレジストリの状態まで変える。

比較項目 Microsoftの8月21日案内 Embarkの8月17日案内
対象 Windows 11 24H2/25H2で、該当するinpoutx64サービスキーが存在するシステム向けの一時回避策 「THE FINALS」でのクラッシュ対策
主な操作 Start4にし、再起動後にドライバーを読み込ませない サービスと.sysファイルを削除し、必要に応じてキーも削除
元に戻す方法 控えておいた元のStart値を復元 削除した状態を戻す手順は同じ案内にはない
注意点 RGB機能または制御ソフトに影響する場合がある タイトル固有の案内であり、他ゲームへの転用は確認されていない

表が示す通り、Microsoftの案内を「ファイルを消すべきだ」という一般的な指示に読み替えることはできない。逆に、「THE FINALS」でEmbarkの表示が出た利用者がMicrosoftの設定変更だけで、Embarkの削除手順と同じ結果になるとは限らない。どのゲームで、どの公式案内に従うかを分けて判断する必要がある。

古いポートアクセス用ドライバーが残る理由

InpOut32/InpOutx64は、ユーザーレベルのプログラムからハードウェアポートへ直接アクセスできるようにするDLLとドライバーである。配布元のHighresolution Enterprisesは、このプロジェクトをレガシーでサポート対象外とし、InpOutx64はWindows 10 x64まで試験した一方、Windows 11 x64では動作すると考えていたものの検証していないと説明する。

そのため、inpoutx64はゲーム本体が導入したものとは限らない。RGB機器を扱うソフトウェアを含め、過去に導入した別のユーティリティが残している場合がある。ただし、どの製品がどのように導入するかは未公表であり、ここから特定のユーティリティを原因と断定することはできない。

Microsoftは、アンチチート、特定のカーネル検証、ゲームの保護機構が今回の相互作用を起こしたとは説明していない。現時点で確かなのは、RGB対応機器に関係する一部のドライバーと、特定ゲームの起動の間に関連を見いだし、読み込みを止める回避策を公開したことまでである。

恒久修正が出るまで、利用者はゲームの起動問題を避けるためにRGB制御へ影響が出る可能性を受け入れるか判断することになる。Release Healthの状態が変わるか、対象機器と導入元が具体化されるか、恒久修正が出るまでは、この副作用を伴う回避策が判断基準になる。