Anthropicは、Claudeの学習と推論に使うAMD製AI基盤を最大2GWまで導入する。AMDとAnthropicが7月22日に発表したもので、最初の1GWは2027年上半期に配備を始める。Anthropicが公表してきた半導体基盤はAWS Trainium、Google TPU、NVIDIA GPUの3系統だったが、今回の発表でAMDが4系統目に加わった。両社の関係は、将来の大口調達から始まるわけではない。Anthropicは現行のInstinct MI355Xをすでに利用しており、次世代機の導入、ソフトウェアの共同開発、AMDによる最大50億ドルの出資へと協業範囲を広げる。

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最初の1GWは2027年上半期から配備

最初の1GWには、Instinct MI450シリーズのMI455Xを収めるHeliosラックスケール基盤を使う。ホストCPUは次世代EPYC「Venice」、ネットワークはAMD Pensando、ソフトウェアはROCmで構成する。GPUを売る契約というより、演算、通信、ソフトウェアをAMDの設計で束ねたラック単位の採用だ。

AMDの仕様では、Heliosは1ラックに72基のMI455Xを搭載し、合計31TBのHBM4を備える。演算性能はFP4で最大2.9エクサFLOPS、FP8で最大1.4エクサFLOPSとされる。ただし、これはAMDの内部分析に基づくプラットフォーム仕様であり、Claudeを実際に動かした際の処理速度を表す数字ではない。

発表が確約した時期は、2027年上半期に最初の1GWの配備を始めるところまでだ。初回1GWを超える追加分については、導入の有無も時期も示していない。既存のMI355Xも利用規模、用途、設置場所が非公開である。今回確認できたのはAMDを加える導入経路と上限であり、2GWがすべて稼働する日程ではない。

3基盤から4基盤へ、Claudeの調達戦略

Anthropicは2026年5月時点で、ClaudeをAWS Trainium、Google TPU、NVIDIA GPUで学習・運用していると説明していた。AMDの追加により、公開情報で確認できる半導体基盤は4系統になる。特定メーカーから別のメーカーへの切り替えではなく、複数の演算基盤へ用途を割り振る調達戦略が一段広がった。

半導体基盤 公表済みの主な契約 導入時期・規模
AMD Instinct HeliosにMI450シリーズを導入 最大2GW、最初の1GWを2027年上半期から配備
AWS Trainium Amazonから新たな計算資源を確保 最大5GW、2026年末までに1GW近く
Google TPU Google、Broadcomと次世代TPUを拡張 5GW、2027年から導入開始
NVIDIA GPU Azure経由の契約とSpaceXのColossus 1を利用 Azureは300億ドル、最大1GW。SpaceXは300MW超、22万基超

これらの数字は単純に合計できない。購入とクラウド利用が混在し、契約上限、稼働容量、導入予定の時点も異なるからだ。それでもAMDの追加には明確な意味がある。Anthropicは用途に合うハードウェアへ処理を割り振る方針を掲げており、MI455XとROCmが学習や推論のどこを担えるかを実運用で比較できるようになる。

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最大50億ドルで売り手が買い手の株主になる

AMDは将来、Anthropicへ最大50億ドルを出資すると約束した。半導体の供給者が大口顧客の株主にもなる契約であり、MI450シリーズの採用拡大と資本参加を同じ協業に組み込む。発表文は出資時期と評価額を明かしていない。持分比率や分割実行の条件も不明であり、最大額と実際の投資額は分けて見る必要がある。

AMDが2025年10月にOpenAIと結んだ6GW契約では、資本の向きが逆だった。AMDはOpenAIに最大1億6000万株の新株予約権を発行し、最初の1GWや追加購入、株価、技術・商業上の条件に応じて権利が確定する仕組みを採った。Anthropicとの発表では、AMDが買い手へ出資する。どちらも供給者と顧客の利害を資本で結ぶ点は共通するが、AMD株の新株予約権と非公開企業Anthropicへの出資では、AMDの財務・資本への作用が異なる。

性能より先に確かめるべき実装条件

Heliosは、AMDが完成品として販売するラックではなく、OEMやODMが製品化するための参照設計である。AMDは量産配備を2026年後半から見込む一方、Anthropic向けに何社が製造を担い、何拠点へ何台を設置するかは公表していない。2GWという上限を現実の計算資源へ変えるには、MI455Xの供給に加えてラックの製造能力が要る。データセンター側でも、電力と冷却、ネットワークを準備しなければならない。

ソフトウェア側では、両社が複数年の技術協力を始める。Claudeを使ってInstinct向けワークロードを最適化し、ROCmの開発を速めるほか、AMD自身も設計・製品開発部門へClaudeを広く導入する計画だ。これは成果の発表ではなく、MI455X上でClaudeを効率よく動かすための開発工程である。最初の1GWが予定どおり配備され、ROCmで学習と推論の運用実績が示されれば、AMDは一度の大型受注をClaudeの継続的な演算基盤へ育てられる。成否を分けるのは、2027年上半期の配備実績と、上限2GWへ向けた追加分が実際に決まるかどうかだ。