AlphabetがAI向け計算資源への投資をもう一段引き上げる。2026年の設備投資見通しを従来の1,800億1,900億ドルから1,950億2,050億ドルへ増額した。同じ四半期にGoogle Cloudは前年同期比82%増の247億6,800万ドルへ伸び、営業利益も3倍を超えた。経営陣は増額理由を、社内外の需要に応える計算容量の納入加速と説明しており、Cloudの受注残5,140億ドルはその需要を示す一部である。

この四半期で、企業のAI需要を売上へ変えられることは確認できた。ただし、Alphabet全体のAI投資が回収局面に入ったと結論づけるには早い。設備投資はCloud以外にも配分され、Cloudの利益には一部の共通AI研究費が含まれない。さらに、1,121億9,300万ドルという純利益は巨額の株式評価益に押し上げられている。投資の成果を読むには、Cloudの成長、全社の現金収支、将来費用を分ける必要がある。

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82%増と35.6%、Cloudが全社の約21%を稼ぐ

2026年第2四半期のGoogle Cloud売上は247億6,800万ドル、営業利益は88億1,400万ドルだった。前年同期は売上136億2,400万ドル、営業利益28億2,600万ドルである。営業利益率は20.7%から35.6%へ14.9ポイント上がった。売上と営業利益はいずれもAlphabet全体の約21%を占め、Cloudは検索広告を抱えるGoogle Servicesに次ぐ収益の柱になった。

成長の中身も広がった。CFOのAnat Ashkenazi氏は、コアGCP、企業向けAIソリューション、AIインフラがいずれも増収に寄与したと説明している。加えてQ2には、顧客のデータセンターへ納入するTPUシステムの売上を初めて計上した。Google Cloudは利用課金とサブスクリプションを中心とするサービスに、ハードウェア製品販売を加えた事業へ変わりつつある。

TPU販売が82%増を押し上げたのは確かだが、それだけで急成長を説明することはできない。Alphabetによると、TPUシステム売上の影響を除いてもCloudの成長は大きく加速した。AIソリューション、AIインフラ、コアGCPのサービス利用と、TPUの製品販売が同時に伸びている。

5,140億ドルの受注残とTPU販売の混在

Cloudの需要を一四半期の売上より先まで映すのが、5,140億ドルの受注残だ。前四半期から500億ドル超増え、その大半を幅広い顧客との技術系GCP契約が占める。Alphabetは総額の50%強を今後24カ月で売上として認識する見込みであり、既存契約が向こう2年の成長を支える。

もっとも、受注残は現時点の売上でも現金でもない。サービスの利用、設備の稼働、ハードウェアの出荷など、契約条件を満たした段階で順次売上になる。5,140億ドルにはTPUシステム販売契約も入り、特定契約の売上の大半は2027年に計上される予定だ。出荷時期によってCloud売上の伸び率は四半期ごとに揺れやすくなる。

その準備は貸借対照表にも表れた。棚卸資産は2025年末の24億3,900万ドルから2026年6月末には99億9,100万ドルへ増えた。Ashkenazi氏は、TPU販売に備えた在庫積み増しが営業キャッシュフローを押し下げたと説明した。受注残の増加は需要の強さを示す。同時に、ハードウェアを先に作る運転資金もAlphabetが引き受ける。

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1,950億〜2,050億ドル、投資は2025年の2倍超へ

AlphabetのQ2設備投資は449億2,400万ドルで、前年同期の224億4,600万ドルから倍増した。売上に対する比率も23.3%から37.5%へ上がった。技術インフラ投資の約60%をサーバー、40%をデータセンターとネットワーク機器へ振り向けている。発注してすぐ売上が立つ設備ではなく、調達、建設、稼働を経て容量になる投資だ。

2025年通年の設備投資は914億4,700万ドルだった。最新の2026年見通しである1,950億2,050億ドルは、その2.1〜2.2倍に当たる。上期に使った805億9,800万ドルを差し引くと、下期には1,144億200万1,244億200万ドルを投じる計算だ。上期を42〜54%上回るペースである。

増額は今年で終わらない。Alphabetは2027年の設備投資が2026年から「大幅に増える」と見込んでいる。2026年の投資上限を使い切った後に支出が減るのではなく、さらに高い水準へ向かう計画だ。計算資源は基盤モデルの開発、SearchやYouTube、Cloudへ配分される。今回の決算では、全社の好業績と社内外の需要、供給制約を踏まえた追加投資が同時に示された。

Cloud利益率とAI全体の採算は別勘定

35.6%というCloud営業利益率は、AIインフラを販売できる事業の強さを示す。ただし、Alphabetのセグメント会計では、基盤AIモデルの開発に使う一部の研究開発費、人件費、技術インフラ利用費をCloudへ配賦していない。これらを含むAlphabetレベルの費用はQ2に57億8,900万ドル発生した。Cloudの利益率を全社AI投資の収益率として読むことはできない。

全社の現金収支は、利益率とは違う景色を見せる。営業キャッシュフロー390億6,900万ドルに対し、設備投資は449億2,400万ドルだった。Alphabetの定義によるQ2フリーキャッシュフローは58億5,500万ドルの赤字である。直近12カ月では532億7,300万ドルの黒字を保つものの、前年同期から20%減った。

純利益の急増も本業だけの成果ではない。Q2の純利益1,121億9,300万ドルには、株式などの評価益990億3,100万ドルが含まれ、税引き後で771億ドルを押し上げた。本業を見るなら、407億7,000万ドルの営業利益と現金収支を優先した方が実態に近い。

Alphabetは営業キャッシュフロー、株式、社債を並行して使っている。Q2には普通株と強制転換優先株で純496億ドル、無担保社債で純203億ドルを調達した。6月末の現金・現金同等物・市場性有価証券は2,424億7,400万ドルあり、直ちに資金が尽きる状況ではない。同じ四半期に設備投資が営業キャッシュフローを上回るなか、Alphabetは内部資金と資本市場の双方から手元資金を確保した。

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第三者容量、減価償却、Wizが次の利益率を試す

足元では、計算容量を増やしても需要が追い越している。AlphabetはQ3、自社容量を建設する間の橋渡しとして第三者の計算容量を増やす。大口顧客の需要に応えながら顧客基盤を広げる狙いだが、追加コストがCloudの営業利益率を短期的に押し下げる。Wiz買収の影響も2026年の利益率に重なる。

設備が稼働した後も費用は消えない。Q2の減価償却費は前年同期比42%増の71億400万ドルとなった。CFOは、減価償却に加えて電力などのデータセンター運営費が損益を圧迫し、フリーキャッシュフローへの圧力も続くと見込む。投資時の現金流出が終わってから、費用が損益計算書へ長く残る。

経営陣は、長期契約と更新需要、投入コストを価格へ反映できるかを見ながら、複数年の投下資本利益率で判断すると説明した。Q2は需要と販売能力を証明した四半期である。投資回収を測るには、5,140億ドルの受注残の50%強が24カ月以内に計画通り売上認識されるか、第三者の計算容量とWizの影響を受けるCloud利益率がどう動くか、2027年の追加投資下でもフリーキャッシュフローが回復するかを確かめる必要がある。その三つがそろって初めて、AI投資全体の回収速度を評価できる。