Bloombergは8月21日、AppleがVision ProSiri、ソフトウェアの各チームで200人超を削減すると報じた。内訳はVision Pro組織で約100人、Siriとソフトウェアのチームで約100人である。Appleは一部チームを再編して事業を進化させ、利用体験を改善すると説明した。今回の再編は、Vision Proでは高コストなコンテンツ内製を減らし、Siriでは一般公開前の新アーキテクチャに合わせて職務を組み替える、二つの異なる動きである。

AppleはBloombergに対し、新しい職を作る一方、限られた既存職に影響が及ぶと述べた。対象者には移行を支援し、社内の別職種へ応募する機会を用意するという。職種別の削減数や新設職の内容は公表していないため、Siriの開発規模そのものが縮むとまでは言えない。むしろ今回の人事を読むには、Vision Proで誰がコンテンツを作るのか、Siri AIでどの技術を出荷段階へ進めるのかを分けて見る必要がある。

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約100人が対象となるVision Pro組織

Bloombergによると、Vision Pro側ではヘッドセット向けゲームのチームを大幅に閉じ、Apple Immersive Videoを制作する組織も縮小する。Appleは社員に対し、利用者の使い方に優先順位を合わせ、将来製品へ資源を移すための変更だと説明したという。Bloombergは、Vision ProとvisionOSがなくなるわけではないと伝えている。少なくとも、製品ラインやOSの終了を示す材料ではない。

近い時期には没入型映像や高度なゲームを扱わないスマートグラスへ注力し、別のVision Proモデルも2028年後半に向けて検討しているとBloombergは報じた。ただし、これらはAppleが発表した製品計画ではない。今回の組織変更から確定できるのは、Appleが次のハードウェアをどうするかではなく、現在のVision Proで自社が直接制作する範囲を狭めることまでである。

再編の背景には、コンテンツの制作費、限られた利用状況、将来製品への資源移動が重なっている。Bloombergは、Apple Immersiveの1エピソードに数百万米ドルを要し、Appleの社員と契約スタッフからなる複数チームが関わると報じた。Vision Proの利用が限られる段階では、この制作モデルを続ける負担が大きい。Appleは社内で制作する没入型映像の本数を減らしつつ、外部企業による制作を促す方針だという。

ただし、ゲームの供給経路はAppleの社内チームに限られない。Appleは2025年10月、M5搭載Vision Proを3499米ドルで発売し、対応アプリは100万本超、visionOS向けに作られたアプリは3000本超、Apple Arcadeのゲームは200本超が利用可能だと説明していた。このうち100万本超は互換アプリを含む数であり、3000本超のネイティブアプリや200本超のApple Arcade作品と同じ意味ではない。それでも、社内のゲーム推進組織が縮んでも、既存アプリの互換性や外部開発者の供給まで直ちに消えるわけではない。

内製を減らしても、外部の供給経路は残る

M5版Vision Proでは、PlayStation VR2 Senseコントローラーへの対応を追加し、空間ゲームのほかPC・家庭用ゲーム機からのストリーミングアプリも紹介した。Appleのゲーム戦略は当初から、iPad向けアプリの互換利用、visionOSネイティブアプリ、外部のPC・ゲーム機とのストリーミングを組み合わせていた。今回の報道で細るのは、そのうちApple自身がヘッドセット固有のゲームを後押しする組織である。対応機能や第三者の供給経路を終わらせる発表ではない。visionOS 27のFoveated Streamingは、MacやPCで動く体験を、視線追跡型の映像圧縮を使ってVision Proへ送る。ネイティブ作品とは別の入口である。

没入型映像にも、すでに外部企業が制作するための基盤がある。Appleは2025年、Audi F1 ProjectやBBC、CANAL+によるApple Immersiveの作品を予告した。CNNとHYBEも同じ作品群に名を連ねる。MotoGP、Red Bullによる作品も加わった。初期プロジェクトでは、Blackmagic URSA Cine ImmersiveカメラとDaVinci Resolve Studioを使う制作経路も示している。市販の撮影機材と編集ソフトがそろい、Appleの直営制作に頼らず作品を作る条件は整った。ただし、限られた視聴者に対して制作費を回収できるかは別の問題である。社内スタジオを小さくする判断は、撮影から編集までを外部が担えるようにし、その採算を外部の制作会社と配信事業者が判断する方向へ重心を移す。

visionOS 27の開発者向けセッションも、プラットフォームへの投資が続くことを示す。Appleは2026年6月、RealityKit、Unity・Unreal・Godot向けの更新、Spatial Preview、Foveated Streaming、コントローラーAPI、Apple Immersive Videoのツールチェーンを紹介した。Appleが社内制作に支出する額は減るとしても、外部が空間アプリや映像を作るための経路は残す。今後は、その経路から実際に何本の作品とアプリが出るかが、Vision Proのコンテンツ戦略を測る数字になる。

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新しいSiriアーキテクチャと職務の組み替え

Siri側の変更は、製品を出荷へ近づける時期に起きた。Appleは6月8日、Siri AIを開発者テスト向けに提供し、一般ユーザー向けのベータ版を2026年後半に予定すると発表した。Siri AIは、端末上とPrivate Cloud Computeで動く次世代Apple Foundation Models、全体を制御するシステムオーケストレーター、Spotlightのインデックス、App Toolboxを組み合わせる。個人の文脈、画面上の情報、アプリをまたぐ操作を扱う設計である。

Bloombergは、Siriと、端末のAI機能の一部を担うソフトウェアエンジニアリング部門Intelligent Systems Experience(ISE)にも削減が及ぶと報じた。新しいアーキテクチャでは必要な専門性が変わるため、Appleは一部の職をなくして資源を再配分し、刷新後のSiriを支える新規職も作るという。ただし、報道の情報源は削減・採用の対象となる個別の技能や職種を明らかにしていない。AI基盤の変更と人員削減を、特定の技術が原因だと結び付けることはできない。

Siri AIはまだ一般提供前である。開発者テストから年内のベータ版までの間に、Appleが公開版の品質と時期を維持できるか、新設職をどの分野で増やすかが見えてくる。Vision Proでは、社内制作を減らした後に外部作品の公開頻度が保たれるか、visionOS 27の制作ツールが実際に使われるかを確かめる必要がある。200人超という数字だけでは、二つの製品の将来は決まらない。Appleが自ら抱えるコンテンツ制作と、外部開発者やSiriの新設職へ移す仕事の境目こそが、次に追うべき変化である。