AMDのRadeonでDLSS 5のニューラルレンダリングを動かす非公式ツール「DLSS-NR on AMD」が、日本時間9月26日の連続更新で大幅な性能改善を打ち出した。開発者のDaniel Blanco氏は、Alpha 0.3.3で前版比23%、続く0.4.0でさらに42%の改善を公表しており、同じ条件の性能比として掛け合わせれば74.66%の向上になる。翌27日には追加の高速化を掲げる0.4.1も公開された。Radeonで試す際は、この伸び率と併せて、FSRによる拡大の前後どちらでAIを動かすか、動きや色をどう処理するかを押さえておきたい。

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23%と42%を掛けると何が分かるか

Alpha 0.3.3と0.4.0は、UTCでは9月25日に公開された。日本時間に直すと、26日午前0時54分と午前2時24分。二つの更新の間隔は約90分だった。

開発者がそれぞれの版で示した比較対象を並べると、次のようになる。

公開版 公開日時(日本時間) 開発者公表の性能改善 比較対象
Alpha 0.3.3 9月26日0:54 23% Alpha 0.3.2
Alpha 0.4.0 9月26日2:24 42% Alpha 0.3.3

v0.3.3の23%とv0.4.0の42%を同一指標・同条件として連結すると1.7466倍、74.66%増。実測FPSや全GPUへの保証ではない。

計算式は 1.23 × 1.42 = 1.7466 だ。23と42を足すのではなく、いったん向上した性能を次の版がさらに引き上げたものとして計算する。基準は0.3.2であり、DLSS NRを無効にしたゲームや、NVIDIAの公式実装と比べた値ではない。また、処理時間が74.66%短くなったという意味にもならない。

ただし、両版のリリースノートには測定に使ったゲーム、GPU、解像度が記されていない。「performance improvement」がゲーム全体のFPSを指すのか、ニューラル処理の性能を指すのかも明示されていない。したがって、約74%という数字は公表値をつないだ条件付きの計算として読む必要がある。手持ちのRadeonで同じ伸びが出ると予測できるベンチマークではない。

FSRの前に処理する設計と、内部解像度の関係

DLSS-NR on AMDは、NVIDIAの実行用コードをそのままRadeonで動かす互換レイヤーではないと、Blanco氏はプロジェクトのFAQで説明している。AMD向けにGPU上の計算処理をHIPで実装し、メモリー配置やゲームとの接続も作り直したニューラルネットワーク実行系だという。これは作者による実装の説明であり、内部コードを第三者が検証した結果とは区別しておく必要がある。

そこで動かすニューラルレンダリングは、ゲームが描いたフレームに照明や材質の表現を加える処理である。NVIDIAの公式説明でも、一枚を入力して一枚を出力する機能と位置付けられている。解像度を高めるSuper Resolutionや、間に新しいフレームを挿入するFrame Generationとは独立している。

この違いが、FSRとの組み合わせを理解する手掛かりになる。Blanco氏は0.3.0で、ニューラル処理をFSRによるアップスケーリングより前に実行するモードを導入し、既定で有効にした。低い解像度で描いた画像を拡大する場合、拡大前にAIを動かせば、処理する画素数を減らせる。

つまり、画面に表示される解像度が同じでも、AIが計算する画像の大きさは同じとは限らない。FSRの品質モードや処理順序が違う二つのFPSを比べれば、ソフトウェア更新の効果に加えて、計算対象を減らした効果も入り得る。性能を比較するなら、出力解像度とともに内部解像度をそろえる必要がある。

さらに0.3.0では、このモードでニューラル処理側の「時間方向の蓄積」を無効にし、FSRに任せると説明している。過去のフレームを使って映像を安定させる役割も、組み合わせる処理に応じて変わるわけだ。静止画の見栄えに加え、カメラを動かしたときの残像や細部のちらつきまで確かめたい理由がここにある。

なお、処理順序の変更は0.3.0で導入済みだ。0.4.0で発表された42%改善の原因を、この変更だけで説明することはできない。最新の大幅改善がどの計算やメモリー処理を最適化した結果なのかは、公開された更新説明からは分からない。

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最新0.4.1で加わった高負荷時の改善

日本時間9月27日午前4時51分に公開されたAlpha 0.4.1では、0.4.0から8%の性能改善が示された。加えて、新しい優先キューモードにより、ゲームプレイの負荷が高いときにさらに9%改善すると開発者は説明している。

ここでは8%と9%に付いている条件が違う。前者は前版比の改善、後者は高負荷時の追加効果として書かれているため、単純に足して全場面で17%速いと読み替えることはできない。優先キューの具体的な実装や測定条件も記されておらず、他の改善率とまとめて一つの普遍的な倍率にするのは避けるべきだ。

ゲームに組み込む実行系では、計算そのものに加えて、処理の待ち合わせも性能や安定性に関わる。0.3.1でも、待機方法を変更して性能を高め、処理が止まる可能性を下げたと説明されていた。同じ版では、メニューや動きの少ない場面でフレーム生成が古い画像を表示する不具合や、メモリー漏れも修正している。

一連の更新を見ると、最適化の対象はAIの計算速度からゲームとの協調動作まで及んでいる。平均FPSが伸びても、負荷の高い場面で一瞬止まるなら操作感は改善しきらない。0.4.1を評価する際には、平均値に加えて各フレームの処理時間がどれだけ安定したかが有効な比較材料になる。

色と動きまで含めた画質の調整

0.3.3では、速度と同時に画質を調整する仕組みも増えた。設定編集機能を備えたGUIインストーラーに加え、ゲーム内でDefault、Natural、Cinematicのスタイルを選べるようになった。トーンカーブにはReinhardとACESを用意し、黒レベルや露出も調整できる。

トーンカーブは、映像の明るさや色の見え方に関わる。Blanco氏はReinhardについて、通常はよりよい色が得られるとする一方、Cyberpunkのようなゲームでは彩度が強くなりすぎるためACESを勧めている。設定名だけで画質の優劣が一律に決まるわけではなく、ゲームが元から持つ色調との相性を見る必要がある。

公式DLSS 5との比較でも、この調整を誰が担うかは見逃せない。NVIDIAの公式導入では、ゲーム開発者がモデルを選び、場面ごとの適用や効果の強さを決める。照明や色に関わるTone Intensityと、細部に関わるStructure Intensityを調整し、プレイヤーには基本的に有効・無効の切り替えとして提供する仕組みだ。

一方、今回の非公式ツールは、利用者が既存のゲームへ追加し、オーバーレイで見え方を調整する。ニューラル処理が実行できることと、制作側の意図に合わせて場面ごとに仕上げられていることは、別々に評価しなければならない。同じシーンの色や人物の細部を確認したうえで、動いているときも違和感がないかを見ることが、性能向上を実用に結び付ける。

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試せるRadeonと、残る利用条件

READMEが掲げる対象は、Windows 11上で動くFSR対応のDirectX 12ゲームだ。GPUはRadeon RX 9000シリーズを中心に、RX 9070 XTでテストしたとされる。RX 7000シリーズも対象に挙げるが、要件欄は「動作するはず」として報告を募る書き方であり、全機種で同等に検証済みとは読めない。さらに古いGPUは現時点で対象外となる。

利用にはAdrenalin 26.1.1以降と、正規に入手したDLSS 5のDLL「nvngx_dlssnr.dll」のビルド310.8.0.0が必要だ。作者はNVIDIAのコードやデータを同梱していないと説明しており、必要なDLLは利用者が用意する。NVIDIA、AMDいずれの公式サポートによるものでもない。

対応APIにも制約がある。Vulkan対応は将来の予定であり、現在のDirectX 12向け機能と混同できない。また、作者はアンチチートを備えるゲームではDLLがブロックされると記している。Radeonを搭載していれば、どのゲームでも同じように導入できるツールではない。

今回の連続更新は、すでにDLSS-NR on AMDを試している利用者にとって、同じ設定で再評価する理由になる。ただ、GeForce上の公式実装との速度差を論じるには、同じゲームと描画条件で、ニューラル処理の対象解像度やフレーム生成の有無を合わせた比較が要る。そのうえでフレーム時間と動きの中の画質が安定すれば、Radeonで追加の描画負荷を引き受ける価値を、更新率の大きさではなく実際の遊びやすさから判断できる。