
メモリ相場は一枚岩でない、旧世代DRAM高とNAND安が同時進行
DRAM市場では供給能力の偏りから旧世代品が小幅続伸する一方、NAND市場では高値による買い控えで価格が下落しており、強気なAI需要の裏で二極化が進んでいる。この対照的な動きは供給制約と買い手の限界を露呈しており、今後の相場は取引量の推移が鍵となる。
TLC(Triple-Level Cell)とは、1つのメモリセルに3ビットの情報を記録するNAND型フラッシュメモリの記録方式である。1ビットを記録するSLC、2ビットを記録するMLCと比較して記録密度が高く、コスト効率に優れる一方、4ビットを記録するQLCよりも書き換え耐性や読み書き速度で優位性を持つ。この特性からTLCは、コンシューマー向けSSDから企業向けストレージ、スマートフォンの内蔵ストレージまで、幅広い用途で標準的な記録方式として採用されている。
NANDフラッシュメモリのセル方式は、記録するビット数に応じてSLC、MLC、TLC、QLCの順に高密度化する。ビット数が増えるほど1セル当たりの記憶容量は増すが、電圧の状態管理が複雑になり書き換え耐性や速度は低下する傾向にある。TLCはこのトレードオフの中で、容量とコストと信頼性のバランスが取れた方式として、現在の主流製品の多くに採用されている。
TLCは3次元(3D)積層技術と組み合わせることで、単純な微細化に依存せずビット密度を高められる点が特徴である。層数を増やすことでチップ当たりの容量を拡大しつつ、TLCのビット構成を維持することで信頼性を確保する開発方針が、大手メモリメーカー各社で共通して採用されている。QLCがコスト重視のエントリー向け製品に用いられる一方、TLCは性能と耐久性が求められるメインストリーム以上の製品領域で選ばれる傾向が続いている。
2026年に入り、AI需要の拡大を背景にNANDフラッシュ市場全体で構造的な変化が進んでいる。2026年7月にはキオクシアが332層の第10世代3次元フラッシュメモリ技術を適用した1Tb TLC製品のサンプル出荷を開始し、独自の接合技術によって従来比でビット密度を59%向上させつつ電力効率も改善したと発表した。これはAI向けSSD市場の強化を狙った動きであり、TLCが最先端の高層化技術の主要な適用対象であることを示している。
同年6月には、キオクシアがクライアント向けSSDの新シリーズ「BG8」「EG7」を発表し、PCIe 5.0対応のBG8と、QLC NAND採用でコストパフォーマンスを追求するEG7という形で、TLCとQLCそれぞれの特性を活かした製品ラインを展開している。また同時期には、TrendForceの調査により2025年後半のNANDフラッシュ価格が記録的な急騰を見せていることが報じられ、Samsung、SK hynix、キオクシアらによる協調減産がSSD価格の更なる上昇要因になっていると指摘された。PhisonのCEOも2026年分のNANDが既に完売しており、高価格傾向は2027年以降も続く新常態になり得ると警告している。
こうした供給側の動きは、TLCを含むNAND製品全般のコスト構造や製品戦略に直接影響を及ぼしており、AIインフラ向け需要とコンシューマー市場向け供給のバランスが、今後のTLC製品の価格や性能競争を左右する重要な要因となっている。

DRAM市場では供給能力の偏りから旧世代品が小幅続伸する一方、NAND市場では高値による買い控えで価格が下落しており、強気なAI需要の裏で二極化が進んでいる。この対照的な動きは供給制約と買い手の限界を露呈しており、今後の相場は取引量の推移が鍵となる。

キオクシアは、332層の第10世代3次元フラッシュメモリ技術を適用した1Tb TLC製品のサンプル出荷を開始した。独自の接合技術等により、従来比でビット密度を59%向上させつつ電力効率も改善しており、AI向けSSD市場の強化を図る。

AIインフラ特需による部品価格高騰がコンシューマーPC市場に逆風となる中、キオクシアはクライアント向けSSDの新シリーズ「KIOXIA BG8」と「KIOXIA EG7」を発表した。BG8はPCIe 5.0対応でメインストリームPCに高速ストレージをもたらし、EG7はQLC NAND採用でコストパフォーマンスを追求しつつ、両シリーズともにDRAMレス設計とHMB技術でTCOを最適化している。

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