
NAND不足は2027年後半に緩和へ、高密度化と中国勢19%が供給を押し上げる
TrendForceは、NANDの供給不足が2027年後半に緩和すると予測した。既存ラインの高密度化、中国勢の増産、スマートフォンとノートPCの需要減が需給反転を支える。
別名: Quad-Level Cell, QLC
QLC(Quad-Level Cell)は、1つのNAND型フラッシュメモリセルに4ビット(16段階の電圧状態)のデータを記録する技術である。SLC(1ビット)、MLC(2ビット)、TLC(3ビット)に続く高密度化世代として位置づけられ、同一のダイ面積でより多くのデータを格納できるため、ビットあたりのコストを大きく下げられる点が最大の特徴である。一方で、セルごとに区別すべき電圧状態が増える分、書き込み速度や書き換え耐性(P/E耐久性)はTLCに比べて劣る傾向があり、用途に応じた使い分けが必要になる。
NAND型フラッシュメモリは、セル内に閾値電圧の異なる状態を作り出すことでデータを記録する。QLCは16通りの電圧レベルを識別する必要があるため、読み書きの制御はTLCよりも複雑になるが、その分1セルあたりの記録密度が高まり、同じウェーハ面積からより多くのビットを得られる。この特性から、QLCは読み込みが中心でコストパフォーマンスを重視するコンシューマー向けSSDや、アーカイブ用途のストレージで広く採用されている。
QLCは高密度化によるコスト優位の一方で、書き換え耐久性や書き込み速度の低下という課題を抱える。これを補うため、コントローラ側ではLDPC誤り訂正やSLCキャッシュ、DRAMレス設計とHMB(Host Memory Buffer)技術などが組み合わされ、実用性能とTCO(総保有コスト)の最適化が図られている。TLCが性能と耐久性のバランス重視型として据え置かれる一方、QLCは容量とコストを優先する製品ラインに用いられる構図が定着している。
2026年に入り、AI関連需要によるNANDフラッシュの需給逼迫がQLC市場にも大きな影響を及ぼしている。2026年6月にはキオクシアがクライアント向けSSDの新シリーズ「KIOXIA BG8」と「KIOXIA EG7」を発表し、EG7にはQLC NANDを採用してコストパフォーマンスを追求する一方、DRAMレス設計とHMB技術によりTCOを最適化する方針を示した。同月にはSamsungも、自社開発のRISC-Vコントローラを採用した次世代PCIe 5.0対応QLC SSD「BM9K1」を中国フラッシュ市場サミット(CFMS 2026)で公表し、性能・コスト・電力効率のバランスを追求する姿勢を明確にしている。
こうした製品展開の背景には、2025年後半以降のNANDフラッシュ価格の急騰がある。2026年6月に報じられた市場動向では、AI需要の爆発的な高まりと旧世代製造ラインの縮小が重なり、NANDフラッシュ価格が記録的な水準まで上昇したことが指摘されている。さらに同時期、SamsungとSK hynixがNANDの減産を計画しているとの報道もあり、需要が旺盛な中でも供給側が価格防衛のために生産調整を行う異例の動きが見られた。キオクシアからも2026年内の生産量が全量完売する見通しが示されるなど、QLCを含むNANDフラッシュ全体が、AI関連ストレージ需要の高まりを受けて構造的な転換点を迎えていることがうかがえる。
こうした状況の中で、SanDiskは2026年6月に既存の「WD Black」「WD Blue」ブランドを廃止し、新ブランド「Optimus」を立ち上げるなど、コンシューマー向けストレージ市場の再編も進んでいる。QLCは、こうした価格変動と製品戦略の見直しが同時に進む2026年のNANDフラッシュ市場において、コストと容量を重視する製品群の中核技術として引き続き位置づけられている。

TrendForceは、NANDの供給不足が2027年後半に緩和すると予測した。既存ラインの高密度化、中国勢の増産、スマートフォンとノートPCの需要減が需給反転を支える。

キオクシアは、332層の第10世代3次元フラッシュメモリ技術を適用した1Tb TLC製品のサンプル出荷を開始した。独自の接合技術等により、従来比でビット密度を59%向上させつつ電力効率も改善しており、AI向けSSD市場の強化を図る。

AIインフラ特需による部品価格高騰がコンシューマーPC市場に逆風となる中、キオクシアはクライアント向けSSDの新シリーズ「KIOXIA BG8」と「KIOXIA EG7」を発表した。BG8はPCIe 5.0対応でメインストリームPCに高速ストレージをもたらし、EG7はQLC NAND採用でコストパフォーマンスを追求しつつ、両シリーズともにDRAMレス設計とHMB技術でTCOを最適化している。
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