中国・深圳で、SwaySureのメモリ工場が少なくとも半導体プロセスを動かす段階に入っている。7月に再燃したHuaweiDRAM内製説では、12インチウェハーを月14万枚処理する28nm工場として紹介された。しかし、この数字は4年前から出回っており、新工場の発表ではない。公開資料から確かめられるのは、SwaySureの生産ラインが実在し、Huaweiの半導体網との結び付きが米国の輸出管理にも反映されたことだ。そこからHuaweiが掲げるHBMの量産までは、まだ埋まっていない工程がある。

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「月14万枚・28nm」は2022年からある

Blocks & Filesは2026年7月16日、HuaweiがSwaySureとの共同事業を通じてDRAM工場を建設・運営しているとの観測を報じた。記事が挙げた計画は、12インチウェハー、28nmプロセス、月14万枚の処理能力である。5日前に掲載されたHuaweiCentralの記事も同じ数字を使い、XのSemiconductor Insiderアカウントと共有画像を情報源にしていた。

ところが、画像に書かれた会社説明そのものが、SwaySureは2022年3月に設立され、12インチラインを建設中だとしている。EET Chinaも2022年6月、同社が28nmからDRAMへ参入し、最終的に月14万枚を目指すと報じていた。当時の日程は2023年第3四半期に装置を搬入し、2024年第1四半期に試作するというものだった。

したがって、今回の報道から「Huaweiが新しいDRAM工場を今から建てる」とは読めない。再び浮上したのは既存プロジェクトとHuaweiを結ぶ観測であり、14万枚という能力の達成ではない。

そもそも月間ウェハー投入能力は、出荷できるメモリ量を表さない。DRAMの生産量は、1枚から取れるダイ数と欠陥密度、歩留まりで変わる。製品ごとのビット容量も効く。月14万枚が設計上の上限だとしても、装置が入り、工程が安定し、顧客認定を通った良品が同じ規模で出ているとは限らない。

行政資料が裏づけるプロセス稼働

SwaySureの公式サイトは、同社が2022年3月に設立され、深圳市国有資産監督管理委員会の傘下にある深圳市重大産業投資集団から出資を受けたと説明する。事業範囲はメモリチップの研究開発、設計、生産だ。2024年の採用資料では、ウェアラブル、自動車電子、セットトップボックス向けの利基型新型メモリを主要製品に挙げた。募集対象には、製造工程を統合する技術者や、欠陥と信頼性を管理する技術者、工場設備の担当者が含まれていた。

工場の進捗は、深圳市の資料でさらに具体的になる。市工業情報化局は2025年9月、SwaySureの「新型メモリ生産ライン建設プロジェクト」を同年度の重大工業プロジェクト一覧の先頭に置いた。名称はDRAMや28nmに限定していないが、メモリ生産ラインへの公的な投資管理が続いていることは分かる。

より直接的なのが深圳市水務局の公示だ。同局は2025年5月、SwaySureの全工場で生産用水が湿式エッチングと研磨、生産洗浄に使われると確認した。機器冷却にも使われ、排水は工場内の設備で前処理される。2026年5月の公示でも同じ工程が記録され、免除措置は2028年5月末まで続く。建屋だけが存在する状態ではない。少なくともウェハー工程に関わる設備が動き、継続的に用水を消費している。

ただし、水務資料から量産規模までは導けない。研究開発ライン、試作、顧客認定用の小規模生産でも、エッチングや洗浄は必要になる。28nm DRAMを月14万枚処理していること、安定した歩留まりを得たこと、製品を出荷したことは、どの行政資料にも書かれていない。

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所有より先に、供給網を束ねる関係

HuaweiとSwaySureの関係には、単発のSNS投稿より強い材料がある。米商務省産業安全保障局(BIS)は2024年12月、SwaySureをEntity Listへ追加した。BISは理由として、同社がHuaweiによる先端ノード集積回路の国産化に寄与する重大なリスクがあると認定した。規則が示すのは輸出管理上のリスク判断であり、出資や製造契約を立証するものではない。

Financial Timesも2025年5月、衛星画像と現地取材を基に報じた。関係者への聞き取りも行い、Huaweiが深圳・観瀾の3製造拠点を動かす中核だと伝えている。3拠点のうち一つをSwaySureが運営するとされる。一方、Huaweiは同紙に対し、SwaySureなどのスタートアップとの関係を否定した。

問い 公開情報で確認できること まだ確認できないこと
SwaySureの工場は動いているか 深圳市が生産ライン建設とウェハー工程用の水利用を確認 14万枚の実稼働、歩留まり、出荷量
Huaweiとの関係はあるか BISがHuawei支援のリスクを認定し、FTが製造網の中核と報道 出資比率、共同事業契約、製造指図権
HuaweiがDRAMを自社製造しているか Huaweiは自研HBMとAscendへの合封を公表 DRAMダイの製造主体、SwaySure製品の採用

三つを並べても、HuaweiがSwaySureを法的に所有するDRAMメーカーになったとの断定はできない。BISが示したのは規制上のリスクで、FTは運営上の結び付きを報じたが、Huaweiはこれを否定している。FT報道を前提にすれば、Huaweiが需要と半導体設計を握り、製造装置やウェハー工程を担う別法人を近い距離で束ねる構図は描ける。これは法的所有ではなく機能面の垂直統合という記事側の仮説であり、出資関係や契約が開示されるまでは確定できない。

28nm DRAMとHiZQ 2.0の間にある三つの壁

報道上の28nm DRAMラインが動いても、それだけでAIアクセラレータ向けHBMを作れるわけではない。メーカー間でプロセス名を単純比較はできないものの、2026年の先端HBMは10nm級DRAMを使う世代に進んでいる。Samsungが2月に量産を発表したHBM4は、第6世代10nm級の1c DRAMと4nmロジックベースダイを組み合わせる。

第一の壁はDRAMダイそのものだ。微細なメモリセルで容量と速度を稼ぎながら、リーク電流を抑え、積層に回せる良品を高い比率で確保しなければならない。1枚の不良ダイが積層後の製品価値を大きく損なうため、通常の利基メモリで得た歩留まりをそのままHBMへ移せない。

第二は積層と合封である。HBMは複数のDRAMダイを薄く加工し、シリコン貫通電極などで垂直接続する。さらにロジックベースダイ、インターポーザー、Ascend本体を接続し、信号品質と電力供給を保ちながら熱を逃がす必要がある。ウェハー前工程を持つことと、使えるHBMスタックを量産することは別の能力だ。

第三は顧客認定と継続供給だ。Huaweiは2025年9月、Ascend 950PR向けの低コストHBM「HiBL 1.0」と、Ascend 950DT向けの「HiZQ 2.0」を自研品として発表した。HiZQ 2.0は144GBの容量と4TB/sのメモリアクセス帯域を掲げ、950DTは2026年第4四半期の投入予定である。しかしHuaweiは、DRAMダイのメーカーとプロセス世代を明らかにしていない。積層方法や量産歩留まりも非公開だ。「自研」はメモリ仕様や制御、パッケージ設計を含められる言葉であり、前工程までHuaweiが自製した証拠にはならない。

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月産能力ではなく、出荷できる良品ビットを見る

SwaySureのラインは、HBMに直結しなくてもHuaweiに価値を持つ。Micronは2026年6月、DRAMとNANDの需要が供給を大幅に上回り、AI需要と構造的な供給制約による逼迫が2027年より後まで続くとの見通しを示した。HuaweiはAIサーバーでHBMとDDRを使い、スマートフォンではLPDDRを使う。通信、車載、ウェアラブル機器にもメモリが要る。SwaySureが掲げる利基型メモリは、この裾野と重なる。

量産DRAMメーカーとの違いは、公開情報にも表れる。中国最大手のCXMTは、2019年に8Gb DDR4を量産し、現在は最大8000Mbpsの16Gb/24Gb DDR5、最大10667Mbpsの12Gb/16Gb LPDDR5Xまで仕様を公開している。SwaySureの公式サイトには製品型番や速度、容量の記載がなく、量産開始日や顧客認定の実績も見当たらない。この差は宣伝量の違いではなく、外部から量産能力を判定する材料の差である。

確認すべき数字は、計画上の月間ウェハー枚数から、実際のウェハー投入量と良品率、出荷ビット数へ移る。そこに製品型番と顧客認定が加わり、HiBL 1.0またはHiZQ 2.0のDRAMダイ供給主体が開示されれば、SwaySureとHuaweiの関係は「工場説」から検証可能な内製網へ変わる。HuaweiをDRAMメーカーと呼べるかどうかは、その時点で判断できる。