ハードウェア情報を発信するLC Tech Leaks氏が日本時間2026年10月2日、Intelの次期デスクトップCPU「Nova Lake-S」とされる7モデルの型番一覧をXへ投稿した。28コア構成の「Core Ultra 9 4970K BFC」を含む3モデルには、大容量の最終レベルキャッシュを示す「BLLC」の表記と、「BFC」という接尾辞が付いている。

ただし、これはIntelが正式発表した製品仕様ではなく、表の真偽や最終的な製品名は確認されていない。それでも、通常版とは別に大容量キャッシュを備えたモデルを用意する可能性が、具体的な型番とともに浮かんできた。表に記載がない機能を「非搭載」と決めつけず、コア構成、キャッシュ、電力を分けて見ると、今回のリークから何が分かり、何がまだ分からないのかが見えてくる。

AD

7モデルのうち3モデルに「BFC」とBLLC表記

LC Tech Leaks氏の添付画像には、Core Ultra 9が3モデル、Core Ultra 7と5がそれぞれ2モデル並んでいる。仕様説明欄とモデル名を7行すべて照合すると、次のようになる。

流出表のモデル名 Pコア Eコア LP-Eコアの記載 BLLC表記 電力表記 内蔵GPUの記載
Core Ultra 9 4970K BFC 8 16 4 あり 125W 32EU
Core Ultra 9 4950K 8 16 記載なし なし 125W 32EU
Core Ultra 9 4900 BFC 6 12 4 あり 65W 32EU
Core Ultra 7 4870K BFC 8 12 4 あり 125W 32EU
Core Ultra 7 4850K 8 12 記載なし なし 125W 32EU
Core Ultra 5 4650K 6 12 記載なし なし 125W 32EU
Core Ultra 5 4650KF 6 12 記載なし なし 125W 記載なし

日本時間10月2日の投稿画像に記載された内容を整理したもので、Intelの正式仕様を比較した表ではない。「記載なし」は非搭載を意味しない。BFC付きモデルについて、Pコア、Eコア、LP-Eコアを合計すると、4970K BFCは28コア、4870K BFCは24コア、4900 BFCは22コアとなる。

流出表では、BFCが付く3モデルすべてにBLLCの表記があり、BFCが付かない4モデルにはない。BFC付きモデルの系列欄にも「Nova Lake S 28C BLLC」などと記され、通常版の「Nova Lake S 28C」と区別されている。

このことから、BFCという接尾辞は、大容量のLLC(最終レベルキャッシュ)を備えたモデルを区別するために使われている可能性がある。ただし、BFCが何の略なのか、最終的な製品名にもこの表記が使われるのかは分かっていない。

今回の7モデルには、以前から噂されている52コア構成の候補は含まれていない。したがって、4970K BFCをNova Lake世代全体の最上位モデルと断定したり、この7モデルだけが発売されると考えたりすることはできない。今回具体的になったのは、あくまでこの表に掲載された7モデルの型番と構成の組み合わせだ。

通常版にもLP-Eコアか、「記載なし」を非搭載とは読めない

流出表の通常版では、低消費電力で動作するLP-Eコアと、企業向け機能のvProについて記載がない。表だけを見ると、BFC付きモデルだけが両方に対応するようにも見える。

しかし、ハードウェア情報を発信するJaykihn氏は同日、表に掲載された通常版にもLP-EコアとvProがあり、単に記載が省略されていると補足した。

これもIntelによる公式確認ではないものの、「表に書かれていないから非搭載」と判断することは難しくなる。補足投稿では通常版のLP-Eコア数までは示されていないため、この表と補足だけから通常版の総コア数をすべて確定することもできない。

比較しやすいのは、4970K BFCと4950K、4870K BFCと4850Kの組み合わせだ。前者はともに8P+16E、後者は8P+12Eという主要なコア構成を持ち、流出表の電力表記も125Wで共通している。

この構成が正しければ、PコアやEコアの数を増やして上位モデルを作るだけでなく、同じ主要コア構成に大容量キャッシュ版を用意する可能性がある。ただし、クロックやキャッシュ容量、価格は今回の表から分からない。BFC版によってどの程度性能が向上するのかを判断できる段階ではない。

製品ブランドの序列も、単純なコア数順にはならない可能性がある。流出表のCore Ultra 9 4900 BFCは6P+12Eで、Core Ultra 7 4870K BFCの8P+12EよりPコアが少ない。

この仕様で製品化されるなら、「Core Ultra 9」というブランドだけを見て、ゲーム性能やマルチコア性能がCore Ultra 7より高いと判断するのは難しくなる。実際の位置付けを知るには、キャッシュ容量やクロック、電力設定まで含めて各モデルを見る必要がある。

AD

「144MB」は今回の型番表に書かれた数字ではない

144MBというキャッシュ容量は、今回流出した画像には記載されていない。

Jaykihn氏は2025年11月25日の投稿で、Nova LakeのbLLC容量について尋ねられ、「144MB」と回答していた。今回の型番表と過去の情報を組み合わせれば、144MB級の大容量キャッシュを備える候補に具体的な製品名が見えてきたとはいえる。ただし、4970K BFCのキャッシュ容量を今回新たに144MBと確認したわけではない。

さらに、3つのBFCモデルすべてが同じキャッシュ容量になるとも限らない。今回の画像には容量の記載がなく、モデルごとにどれだけのキャッシュを有効にするのかも示されていない。

144MBという数字が、通常のL3キャッシュとは別に追加される容量なのか、それとも合計容量を示すのかについても、今回の表だけから判断することはできない。

比較対象になるのは、すでに販売されているIntel製品だ。Intelの現行デスクトップ製品一覧では、Core Ultra 9 285KとCore Ultra 7 270K PlusのIntel Smart Cacheはいずれも36MBとなっている。

Nova Lakeで144MB級のキャッシュが実現すれば、容量だけを見れば現行の36MBを大きく上回る。ただし、キャッシュ容量が何倍になったからといって、ゲーム性能も同じ倍率で伸びるわけではない。どのコアからアクセスできるのか、遅延がどの程度なのかといった構造も性能を左右する。

AMD X3Dとの競争は、容量だけでは決まらない

AMDは第2世代3D V-Cacheの説明で、64MBのL3キャッシュダイをCPUコアの下側に配置する構造を示している。同社によると、CPUコア側を冷却器に近い位置へ置くことで放熱しやすくし、従来より高いクロックで動作させやすくしたという。

キャッシュは、CPUが頻繁に使うデータをプロセッサの近くに保持し、より時間のかかるメインメモリへのアクセスを減らす役割を持つ。ゲーム側がCPUからのデータ供給を待つ場面では、キャッシュを増やすことで性能を伸ばせる可能性がある。

一方、GPU側の処理が性能の上限になっている場面では、CPUのキャッシュを増やしてもフレームレートが大きく変わらない場合がある。

IntelのbLLCがどのような構造になるのか、どのコアからどの程度の遅延でアクセスできるのかは、今回の流出表からは分からない。BFCという接尾辞が付いているからといって、AMDの3D V-Cacheと同じ構造や、同程度の性能向上が得られることを意味するわけではない。

実際の性能を比べるには、同じGPUと解像度を使い、メモリや電力の設定もそろえる必要がある。平均フレームレートだけでなく、処理が重い場面での落ち込みを見る1% lowや、フレームタイムのばらつきも重要になる。

さらにゲーム中の実消費電力まで測れば、大容量キャッシュによって純粋な性能が伸びたのか、それとも同程度の性能をより低い電力で実現できたのかも比較できる。

AD

65WのCore Ultra 9が魅力的かは、上限電力と価格次第

Core Ultra 9 4900 BFCに記載された65Wは、今回の一覧で唯一125Wを下回る数字だ。6P+12E+4LP-EにbLLCを組み合わせた候補で、Pコア数や電力枠を大きく増やさずにゲーム性能を伸ばせる製品になるのかが注目点になる。

ただし、この65Wをゲーム中の実消費電力や最大消費電力と捉えることはできない。

現行製品を見ると、その違いは明確だ。Intelが公表しているベース電力と最大ターボ電力を並べると、同じ125Wというベース電力でも最大値は異なる。

Intelの公表製品 ベース電力 最大ターボ電力
Core Ultra 9 285K 125W 250W
Core Ultra 7 270K Plus 125W 250W
Core Ultra 5 250K/250KF Plus 125W 159W

これはIntelのCore Ultra Series 2について公表されている仕様を比較したもので、Nova Lakeの最大電力を予測するための表ではない。

4900 BFCについても、正式な電力設定や動作クロックが明らかになるまでは、「65Wだから冷却しやすい」「小型PCに適している」とまでは判断できない。CPU本体の価格に加え、対応マザーボードや必要な冷却性能が分からなければ、通常版と比べた価格面での魅力も評価できない。

Nova Lakeそのものが開発されていることは、Intelの公開資料から確認できる。Intelの命令セット拡張資料には、デスクトップ向けNova LakeのCPUID識別値「12_01H」と、モバイル向けの「12_03H」が記載されている。

ただし、この資料は将来のプロセッサに関する技術情報であり、BFCという製品名やキャッシュ容量、発売日を裏付けるものではない。

また、Jaykihn氏の別投稿では、ノートPC向けHXシリーズも4桁の型番を採用する一方、Hシリーズや接尾辞のないモバイル向け製品は従来の3桁型番を続けるとされている。これもリーク情報であり、今回見つかった4桁の命名規則がNova Lake全体で使われると決めつけるのは早い。

正式発表で重要になるのは名称だけではない。各モデルがどれだけのキャッシュを搭載し、どの電力設定と価格で販売されるのかが、製品の位置付けを左右する。

BFC版と通常版の価格差が明らかになり、同じ条件で測ったゲーム性能や実消費電力がそろえば、大容量キャッシュへ追加費用を払う価値を具体的に判断できるようになる。65Wの候補が低い電力設定でも十分なゲーム性能を維持できるのであれば、Intelは最高性能を狙う製品だけでなく、冷却能力や予算に制約のあるPCにも大容量キャッシュという選択肢を広げられる。