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Microsoft CEO、同社コードの30%をAIが生成と報告、今後も増加を予測

Y Kobayashi

2025年4月30日

Microsoft CEOのSatya Nadella氏が2025年4月29日、同社のコードベースの約20〜30%が人工知能(AI)によって生成されていることを明らかにした。この発言はMetaが主催する初のLlamaCon AIデベロッパーイベントで、Mark Zuckerberg CEOとの対談中に行われた。ナNadella氏によれば、この割合は着実に増加しているという。

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Satya Nadella CEO、Metaのイベントで現状を語る

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この注目すべき発言は、Meta社が開催した初のAI開発者向けイベント「LlamaCon」で飛び出した物だ。 Satya Nadella CEOは、MetaのCEOであるMark Zuckerberg氏との対談の中で、AIによるコード生成の現状について問われた際にこの数字を明らかにした。

Nadella氏は「我々のリポジトリ(コード保管庫)にあるコードの、そうだな、おそらく20%から30%は、ソフトウェア(AI)によって書かれたものでしょう」と述べた。 さらに、この割合は着実に増加しているとも付け加えた。

しかし、AIによるコード生成は万能ではないようだ。Nadella氏は、プログラミング言語によって成果にばらつきがあることを指摘。特にPythonのような言語ではAIの能力が高く評価される一方で、C++のような言語ではまだ改善の余地があるという。 これは、現在のAI技術が特定のタスクや言語において特に優れた能力を発揮する一方で、普遍的な適用にはまだ課題があることを示唆している。

興味深いことに、Nadella氏から同様の質問を受けたZuckerberg氏は、Meta社におけるAI生成コードの正確な割合については「即答できない」と答えた。 ただし、Meta社もAI開発には注力しており、将来的には同社のAIモデル「Llama」ファミリーの次世代版を構築できるAIモデルを開発中であると述べている。 Zuckerberg氏は、来年中には開発作業の半分が人間ではなくAIによって行われるようになるかもしれない、との見通しも示した。

業界全体に広がるAIコード生成の波

MicrosoftやMetaのような巨大テック企業だけでなく、AIによるコード生成は業界全体のトレンドとなりつつある。GoogleのSundar Pichai CEOは、先日の決算発表で、同社の新しいコードの30%以上がAIによって生成されていると述べている。 これはMicrosoftと同等か、それをわずかに上回る水準である。

ただし、MicrosoftとGoogleが具体的にどのように「AI生成コード」を計測しているのかは不明確であり、これらの数字はあくまで目安として捉えるべきだろう。

他の企業でも同様の動きが見られる。EコマースプラットフォームのShopifyのCEO、Tobi Lutke氏は従業員に対し、人員増強を要求する前にAIではその仕事ができないことを証明する必要があると伝えた。 また、言語学習アプリのDuolingoのCEO、Luis von Ahn氏も、人間の契約社員の代わりに徐々にAIを活用していく方針を発表している。 これらの動きは、ソフトウェア開発にとどまらず、様々な業務においてAIが人間の役割を代替、あるいは補完していく未来を予見させる。

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Microsoftの未来予測:2030年には95%がAI生成コードに?

MicrosoftはAIによるコード生成を積極的に推進している企業の筆頭である。同社のCTO(最高技術責任者)であるKevin Scott氏は、さらに野心的な予測を示している。Scott氏は、2030年までには全てのコードの95%がAIによって生成されるようになると考えているのだ。

しかし、Scott氏は同時に「オーサーシップのより重要で興味深い部分は、依然として完全に人間のものであり続けるだろう」とも述べており、人間のプログラマーの役割が完全になくなるわけではないとの見解も示している。 AIがコード記述の大部分を担うようになっても、設計思想や創造性、問題解決といった核心部分は人間の領域として残る、ということだろう。

AIは新たな「電力」か? 生産性向上への期待と課題

LlamaConでの対談では、AIがもたらす生産性向上についても議論が及んだ。Zuckerberg氏は、AIへの期待が大きい一方で、それが実体経済の指標であるGDPの大幅な増加に繋がるには「複数年、おそらくは長い年月がかかるだろう」との見方を示した。

これに対しNadella氏は、AIの登場をかつての「電力」の普及になぞらえた。 電力という革新的な技術が登場しても、それが社会全体の生産性を大きく向上させるまでには、工場がその利点を理解し、活用方法を確立するための時間(約50年かかったとされる)と、「ソフトウェアの変化」そして「マネジメントの変化」が必要だったと指摘。 つまり、AIという技術が存在するだけでは不十分で、人間がAIと効果的に協働するためのプロセスや組織文化の変革が伴わなければ、真の生産性向上は実現しない、という考えだ。

このやや保守的な見通しに対し、Zuckerberg氏は「我々は皆、50年もかからないという前提で今投資しているので、そうならないことを願う」と応じ、AI革命のスピード感に対する期待と、それに伴う投資の現実を覗かせた。

Satya Nadella氏の発言が示す「AIによるコード生成率20-30%」という数字は、ソフトウェア開発の現場がすでに大きな変革期にあることを示すマイルストーンと言えるだろう。 しかし、その計測基準の曖昧さや、言語による能力差、そして真の生産性向上に必要な時間と組織変革といった課題も同時に浮き彫りになっている。AIがコードを書く時代は、まだ始まったばかりなのである。


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