Samsung Electronicsは2026年7月30日、4〜6月期の売上高が過去最高の171.5兆ウォン、営業利益も過去最高の89.5兆ウォンになったと発表した。営業利益は前年同期比1,814%増という異例の伸びだが、直前の1〜3月期と比べても56%増えている。半導体を扱うDevice Solutions(DS)部門が89.2兆ウォンを稼いだ一方、スマートフォンやテレビ、家電を含むDevice eXperience(DX)部門は0.8兆ウォンの営業赤字へ転落した。AIサーバー需要で上がったメモリ価格と完成品側の部材高が、Samsungの事業ごとに正反対の損益をもたらしている。
1,814%増は、低い前年と今の加速が重なった
前年同期の営業利益は4.7兆ウォン、営業利益率は6.3%だった。2025年4〜6月期のDS部門では、メモリの在庫評価調整に加え、中国向け輸出規制の影響に伴う非メモリ事業の一時費用が利益を押し下げた。DS部門の営業利益はわずか0.4兆ウォンにとどまっていた。今回の1,814%増には、この低い比較基準からの反動が含まれる。
低い比較基準に、足元の増益が重なった。2026年1〜3月期にSamsungは営業利益57.2兆ウォン、営業利益率42.8%という当時の過去最高を記録していた。4〜6月期はそこから営業利益を32.3兆ウォン積み増し、利益率を52.2%へ引き上げた。売上高の前四半期比28%増より営業利益の56%増が速く、収益性が一段と高まった。
損益計算書を見ると変化がはっきりする。売上原価は前年同期の49.1兆ウォンから52.2兆ウォンへ約6%増えた一方、売上高は74.6兆ウォンから171.5兆ウォンへ130%増えた。売上総利益は25.5兆ウォンから119.3兆ウォンへ拡大し、売上総利益率は69.6%に達した。Samsungは価格、販売数量、製品構成がそれぞれ利益へ寄与した金額を開示していないものの、業界全体のメモリ価格上昇とサーバー向け高付加価値品の拡大を増益要因に挙げている。
四半期の営業利益89.5兆ウォンは、2025年通期の43.6兆ウォンの約2.1倍に相当する。比較期間が違うため、この倍率から収益の持続性は判断できない。ただ、前年の一時費用が消えた反動を超え、利益水準そのものが変わったことは確かだ。
普通株1株当たり利益(EPS)は10,849ウォンだった。発表文にある52%増は、1〜3月期の7,123ウォンとの比較である。前年同期の737ウォンと混同すると、営業利益の1,814%増とEPSの伸びを同じ基準で読んでしまう。
今回の連結数値はK-IFRSに基づくが、外部レビューはまだ完了していない。Samsungは、レビュー結果により一部が変わる可能性を決算資料に明記している。
サーバー優先で広がったメモリの稼ぐ力
DS部門の売上高は127.5兆ウォン、営業利益は89.2兆ウォンだった。営業利益率は70%で、全社営業利益89.5兆ウォンのほぼ全額を同部門が担った。DSにはメモリのほかSystem LSIとFoundryが含まれるため、89.2兆ウォンをメモリ単独の利益とはみなせない。それでも、メモリ事業の売上高120.8兆ウォンがDS売上高の大半を占め、前四半期の74.8兆ウォンから62%伸びたことは、利益の源泉をよく表している。
Samsungは限られた生産能力をサーバー製品へ優先配分した。DRAMとNANDはいずれもビット換算販売量が過去最高となり、サーバー向け売上高の構成比も過去最高を記録した。HBM4の販売を拡大し、次世代品HBM4Eのサンプルを主要顧客へ出荷した。さらに通常のサーバーDRAMや企業向けSSDまで需要が広がり、サーバー向け売上の裾野が広がった。
Foundryの利益改善には条件が付く。HBM用ベースダイの需要と米国顧客からの注文により、インセンティブ関連の引当金を除く利益が大幅に改善したとSamsungは説明している。2nmのHPC案件を含む設計採用も増えた。ただしFoundry単独の売上高と営業利益は開示されておらず、部門が黒字化したとは断定できない。第2世代2nmのモバイル製品増産と4nmのLPU・ベースダイ販売拡大は、2026年後半の計画である。
売上増でも赤字、DX部門を襲った部材高
DX部門は売上高48.0兆ウォンに対して0.8兆ウォンの営業損失を計上した。MXとNetworksの合算では、売上高が前年同期比14%増の33.2兆ウォンになったにもかかわらず、0.7兆ウォンの赤字である。前年同期は3.1兆ウォン、直前四半期は2.8兆ウォンの営業利益を確保していた。Galaxy S26シリーズとAシリーズが売上を支えたが、業界全体の部材コスト上昇を吸収できなかった。
テレビと家電を含むVD・DAも、売上高14.5兆ウォンに対して0.01兆ウォンの営業損失となった。スポーツイベントによるテレビ需要とエアコン販売は増収に効いたが、コスト増で前四半期の0.2兆ウォンの黒字を失った。一方、Samsung Displayは0.7兆ウォン、Harmanは0.4兆ウォンの営業利益を計上した。両社の合計1.1兆ウォンがDXの0.8兆ウォンの損失を上回り、DS以外の部門は差し引き0.3兆ウォンの黒字となった。これをDSの89.2兆ウォンと合わせた全社営業利益が89.5兆ウォンである。
部品と完成品を一社で抱えるSamsungは、同じ需給変動から利益と損失の両方を受ける。AIサーバー向けメモリの価格上昇と、スマートフォンやテレビを作る側の部材高が同じ四半期に進んだ。もっとも、SamsungはDXのコスト増を部材別に分けておらず、社内取引価格も開示していない。DSの利益をDXが移したと捉えるのではなく、メモリ需給の逼迫に対する事業構成の違いとして読むべきだ。
70%台の利益率を支える供給不足
高い利益率はSamsung固有の現象でもない。SK hynixは前日に発表した2026年4〜6月期決算で、売上高79.3187兆ウォン、営業利益60.5426兆ウォン、営業利益率76%を記録した。DRAMとNANDの価格が前四半期から大幅に上昇し、HBMやAIサーバー向けDRAM、企業向けSSDが収益を押し上げた。同社は主要顧客を含む約10社と長期供給契約を結んだとしている。事業範囲はSamsung DSと一致しないが、70%台の利益率がAIメモリ市場の需給逼迫と結びついていることは確認できる。
Samsungは2026年後半も、AIインフラ投資とエージェントAIの普及により、サーバーDRAM、企業向けSSD、HBMの需要が加速すると見込む。モバイルとPCの需要が一部鈍化しても供給不足は続くとの予想だ。これに備え、4〜6月期の研究開発費を前年同期比78%増の16.0兆ウォンへ積み上げた。HBM4Eのサンプル出荷や2nmの設計採用が、次の量産と売上につながるかが問われる。
利益はすでに現金へ変わり始めている。4〜6月期の営業キャッシュフローは105.08兆ウォンに達し、6月末の現金等は190.00兆ウォン、負債を差し引いたネットキャッシュは167.59兆ウォンとなった。有形固定資産の取得には14.11兆ウォンを使った。供給能力の増強と次世代品の開発を進めながら、メモリ価格が正常化した後も投資効率を保てるかという課題が残る。
89.5兆ウォンという利益の持続には、メモリ価格に加えて二つの条件が要る。サーバー向け製品の供給を増やしても70%のDS利益率を保てるか、完成品部門が部材高を吸収して黒字へ戻れるか。この二つが同時に成立したとき、Samsungの記録的決算は一四半期の極端な数字から、複数事業が支える成長へ変わる。



