Valveが公開した2026年9月のSteamハードウェア&ソフトウェア調査で、システムメモリ32GBの割合が42.22%となり、16GBの37.82%を初めて上回った。GPUの機種別ではGeForce RTX 5070が首位となり、全OSを合算した割合は5.86%に達した。8月時点では16GBが32GBを上回っていたため、ゲーム用PCの構成が変化していることを示す目立った動きだ。
ただし、同じ9月にはSteamの設定言語の構成にも大きな変化があった。メモリ容量やGPUの順位だけを見て、PC市場全体の買い替え傾向と結び付けることはできない。32GBが最多になったことと、自分のPCを32GBへ増設すべきかどうかも別の問題だ。調査の数字と、実際のゲームが求める容量を分けて見る必要がある。
32GBが42.22%、16GBを初めて上回る
32GBは前月から4.77ポイント増えて42.22%となり、16GBは3.38ポイント減って37.82%となった。Valveの全OS合算の調査表に掲載された9月の割合と前月差から8月の値を逆算すると、32GBは37.45%、16GBは41.20%だったことになる。
| システムメモリ容量 | 2026年8月(復元値) | 2026年9月 | 前月差 |
|---|---|---|---|
| 16GB | 41.20% | 37.82% | -3.38ポイント |
| 32GB | 37.45% | 42.22% | +4.77ポイント |
Windows、macOS、Linuxを合算したSteam調査内の割合。8月値は9月の割合と公表された前月差から算出した。いずれも小数第2位までの表示値であり、各月の回答者が同じ集団とは確認できない。
8月には16GBが32GBを3.75ポイント上回っていたが、9月には逆に32GBが4.40ポイント上回った。両者の差は1カ月で8.15ポイント動いたことになる。
ただし、これは32GB搭載PCの台数が8.15%増えたという意味ではない。Steam調査に占める16GBと32GBの割合の差が、それだけ変化したということだ。
また、42.22%はメモリ容量別では最多だが、過半数には達していない。16GBも37.82%を占めており、依然として大きな割合を占める。32GBが最多になったからといって、「16GBでは現在のゲームを遊べない」ということにはならない。
RTX 5070も首位に、全OSでは5.86%
GeForce RTX 5070は全OS合算で前月から2.30ポイント増え、5.86%となった。同じ集計で主なGPUを見ると、RTX 5060やRTX 5060 Tiも割合を伸ばしている。一方、RTX 3060は前月から低下した。
| GPUの機種 | 2026年9月・全OS合算 | 前月差 |
|---|---|---|
| GeForce RTX 5070 | 5.86% | +2.30ポイント |
| GeForce RTX 5060 | 4.20% | +1.22ポイント |
| GeForce RTX 5060 Ti | 3.87% | +1.46ポイント |
| GeForce RTX 4060 | 3.72% | +0.30ポイント |
| GeForce RTX 3060 | 3.54% | -0.22ポイント |
ValveのGPU機種別項目から抜粋。Laptop GPUなど、別の名称で集計されている項目は合算していない。販売台数やGPU性能の順位を示すものではない。
RTX 5070については6.15%という数字も確認できるが、これはWindowsだけに絞った調査の値で、前月から2.38ポイント増えている。同じWindows限定の集計では、32GBが43.28%、16GBが37.60%となっている。
全OS合算の32GB比率42.22%と、Windows限定のRTX 5070比率6.15%を同じ集計の数字として並べると、比較条件がそろわない。全OSで比較するならRTX 5070は5.86%となる。
また、メモリ容量別の首位とGPU別の首位を組み合わせても、「32GBとRTX 5070を搭載したPCがSteamで最も多い」とは言えない。Valveの公開データには、GPUごとのシステムメモリ容量を組み合わせた内訳がないためだ。
PCを選ぶ際にも、「Steamで最も使われているGPU」という情報だけでは性能を判断できない。この調査が示すのは利用者に占める割合であり、ゲームごとのフレームレートや画質設定別の性能を測ったベンチマークではない。
簡体字中国語が1カ月で7.42ポイント増加
9月のSteam調査では、設定言語の構成にも大きな変化があった。全OS合算で簡体字中国語は31.39%となり、前月から7.42ポイント増加した。一方、英語は34.20%で、4.05ポイント減っている。メモリやGPUだけを取り出して見ると、この回答者構成の変化を見落とすことになる。
Wccftechは、簡体字中国語の割合が急増したことを、RTX 5070の首位浮上や32GBの増加と関連付けている。
ただし、Valveの公開データには、設定言語ごとのGPUやメモリ容量の内訳はない。簡体字中国語を設定している回答者が、どのGPUやメモリ容量をどの程度使っていたのかは確認できない。二つの数字が同じ月に増えたというだけで、言語構成の変化がハードウェア構成の変化を引き起こしたと断定することはできない。
ValveはSteamハードウェア&ソフトウェア調査を毎月実施し、参加は任意かつ匿名だと説明している。一方、公開ページには回答者数や抽出方法、回答率、誤差幅といった情報は示されていない。
そのため、9月の変化のうち、実際のPC買い替えや増設がどの程度を占め、回答者の構成変化がどの程度影響したのかを切り分けることはできない。Steamの設定言語から、回答者の国籍や居住地を判断することもできない。
既存PCのメモリを増設した人、新しいPCへ買い替えた人、9月に初めて調査へ回答した人の割合も分からない。32GBが4.77ポイント増えたという数字から、実際に何人が32GBへ増設したのか、メモリが何枚売れたのかを求めることはできない。
搭載メモリの集計にはDDR4とDDR5の内訳もない。このため、32GB搭載PCの増加をそのままDDR5への移行と捉えることもできない。
32GBが必要かどうかは、遊ぶゲームで変わる
Microsoft Flight Simulator 2024の公式PC要件では、システムメモリとして最低16GB、推奨32GB、理想構成64GBを挙げている。32GBを推奨するゲームは、すでに実際に存在する。
ただし、これは特定タイトルの動作要件であり、Steamで32GBが首位になった理由を説明するものではない。
| Microsoft Flight Simulator 2024の公式構成 | システムメモリ | GPU側のVRAM |
|---|---|---|
| 最低構成 | 16GB | 4GB |
| 推奨構成 | 32GB | 8GB |
| 理想構成 | 64GB | 12GB |
公式要件ではCPU、GPU、ストレージ、インターネット回線なども指定されている。メモリ容量だけを満たせば十分という意味ではない。
システムメモリはPC全体で使う主記憶で、GPUに搭載されるVRAMとは別物だ。表にある32GBのシステムメモリと8GBのVRAMは、それぞれ異なる要件である。システムメモリを増やしても、それだけでGPU側に必要なVRAMを満たせるわけではない。
別の例として、CD PROJEKT REDが2023年に公表したCyberpunk 2077のPC要件改定では、レイトレーシングを使わない1080p・高画質・想定60fpsの推奨構成は16GBだった。
一方、2160pでレイトレーシングOverdriveを使い、60fpsを想定する構成では24GBを挙げている。後者の試験ではDLSSのフレーム生成も利用している。同社による社内試験に基づく条件付きの数字であり、実際の性能はPC構成や設定によって変わる。
こうした違いからも、「ゲーム用PCにはメモリが何GB必要か」という問いに一つの数字で答えるのが難しいことが分かる。遊ぶタイトルや画質設定によって、メーカーが推奨する容量も変わる。Steamで32GBが最多になったことと、自分が遊ぶゲームに32GBが必要かどうかは分けて考える必要がある。
ゲーム以外のアプリを同時に動かすかも重要
必要なメモリ容量は、ゲームと同時に何を動かしているかによっても変わる。
Valveのサポート文書では、16GB以上を搭載したPCでも、ほかのプログラムを多数起動したままゲームを遊ぶとメモリが不足する場合があると説明している。物理メモリの空きが少なくなると、ゲームやSteamが使うデータの一部をディスクへ退避させる必要が生じ、繰り返し発生するフレームの引っかかりにつながることがある。
メモリを増設する効果が出やすいのは、こうして実際に容量が不足している場合だ。
ただし、ゲーム中にカクつきが発生するからといって、それだけでメモリ不足と判断することはできない。まず遊ぶゲームの公式要件を確認し、普段使うアプリを起動した状態でメモリ使用量を見る。そのうえで、ほかのアプリを閉じたときに症状が改善するかを比較するほうが、増設の判断材料になる。
16GBでゲームの要件を満たし、実際のプレイ中にも十分な空き容量があるなら、Steam調査で32GBが首位になったという理由だけで増設する必要はない。
32GBやRTX 5070の首位が一時的なものなのか、今後も定着するのかは、これからの月次調査で分かってくる。その間にPCの購入や増設を考えるなら、Steam全体の順位よりも、遊びたいゲームの推奨条件と、自分の使い方で実際にどれだけメモリを消費しているかを基準にしたい。
32GBがSteamで最多になったことは、ゲーム用PCの構成が変わりつつあることを示す一つの節目ではある。ただし、その数字だけで自分のPCにも32GBが必要だと判断するのではなく、実際の用途と照らし合わせることが重要になる。
