英国の技術メディアOverclock3D(OC3D)は2026年10月28日、PNY製「GeForce RTX 5080 Triple Fan」の価格が前年10月と比べて約50%上昇したと報じた。しかし、英国の販売店Overclockers UKの商品ページを本稿で確認した時点では、OC3Dが報じた価格をさらに60ポンド上回る、税込み1,499.99ポンドで販売されていた。
ただし、今回報じられた約50%という上昇率は、RTX 5080全体の平均価格ではなく、特定のPNY製品について過去の価格と比較したものだ。実際にどれほど価格が上がっているのかを把握するには、報道された価格履歴と現在の販売価格を区別する必要がある。
英国のPNY製RTX 5080は1年間で約56%上昇
OC3Dによると、PNY製RTX 5080 Triple Fanの価格は、2025年10月の959.99ポンドから2026年7月には1,169.99ポンドとなり、10月28日時点では1,439.99ポンドに達した。前年10月からの上昇幅は480ポンドで、上昇率は約50%となる。しかし、今回確認したOverclockers UKの販売価格はさらに高く、1,499.99ポンドだった。
各時点の価格を整理すると、次のようになる。
| 時点 | 価格(英国ポンド) | 根拠 |
|---|---|---|
| 2025年10月 | 959.99 | OC3Dが報じた価格履歴 |
| 2026年7月 | 1,169.99 | OC3Dが報じた価格履歴 |
| 2026年10月28日 | 1,439.99 | OC3Dの報道価格 |
| 本稿での確認時点 | 1,499.99 | Overclockers UKの販売価格(税込み) |
OC3Dは、過去の価格履歴の出典としてPCPartPicker UKを挙げている。ただし、PCPartPicker UKの元データは独立に確認できていないため、表の過去3時点の数値はOC3Dの報道に基づいている。また、Overclockers UKの現行価格には付加価値税が含まれていることを確認できたが、OC3Dが掲載した過去の価格については税込みかどうか明記されていない。この点には比較上の留意が必要だ。
比較する期間によっても、値上がり率は変わる。2026年7月の1,169.99ポンドから10月28日の報道価格1,439.99ポンドまでは270ポンド、約23.1%の上昇となる。一方、現行の販売価格1,499.99ポンドを前年10月の959.99ポンドと比較すると、差額は540ポンド、上昇率は約56.3%に達する。
今回確認した製品は、商品番号「GRA-PNY-05157」のPNY RTX 5080 Triple Fanで、販売ページには「在庫あり」と表示されている。OC3Dの報道価格との差額は60ポンドだが、実際にいつ、どのような理由で価格が変わったのかは確認できていない。そのため、OC3Dの報道後に60ポンド値上げされたと断定することはできない。いずれにしても、現在の表示価格は前年10月の報道価格を大きく上回っている。ただし、この結果が示すのはあくまで英国における特定製品の価格変化であり、RTX 5080全体や日本市場の値上がり率を表すものではない。
RTX 5090は約7,000ポンド、それでも在庫あり
上位モデルのRTX 5090についても、英国では非常に高い販売価格が確認されている。Overclockers UKに掲載されている「Zotac GeForce RTX 5090 Solid OC」は、本稿で確認した時点で税込み6,989.99ポンドとなっていた。商品番号は「GRA-ZTC-04048」で、こちらも「在庫あり」と表示されている。少なくともこの販売ページでは、在庫がなく購入できない状態ではなく、極めて高額ながら販売対象として掲載されていることが分かる。
NVIDIAが英国向けに設定しているRTX 5090のメーカー希望小売価格は1,799ポンドであり、今回のZotac製品の販売価格は約3.9倍に相当する。ただし、NVIDIAの基準価格と、Zotacが独自に設計した製品の販売価格を比較している点には注意が必要だ。この倍率はメーカー希望小売価格と実際の販売価格の開きを表すものであり、Zotac製品が発売当初から3.9倍に値上がりしたことを意味するわけではない。
OC3DはRTX 5090の入手の難しさを強調しているが、今回の販売店表示からは、少なくとも高額な価格設定で在庫が掲載されている製品が存在することが分かる。もっとも、1店舗の1製品だけでは、英国市場全体の在庫状況や最安値までは判断できない。また、今回確認したのは商品ページ上の価格と在庫表示であり、実際に注文が成立し、発送されることまで検証したわけではない。
RTX 5080を選ぶ場合は16GBのVRAM容量にも注意
RTX 5080の英国におけるメーカー希望小売価格は909ポンドだ。今回確認したPNY製品の1,499.99ポンドという価格は、それを590.99ポンド、約65.0%上回っている。ただし、NVIDIAも実際の販売価格はメーカー希望小売価格と異なる場合があると説明している。PNYの独自設計製品とNVIDIAの基準価格に大きな差があるからといって、NVIDIAがRTX 5080全体の価格を一律に引き上げたことにはならない。
また、高価なRTX 5090の代わりにRTX 5080を購入する場合は、GPUのメモリ容量にも注意が必要だ。NVIDIAの公式仕様によると、RTX 5080は16GBのGDDR7メモリを搭載する一方、RTX 5090は32GBのGDDR7メモリを備える。今回確認したPNY製RTX 5080とZotac製RTX 5090も、それぞれ16GBと32GBの構成だ。
特に、AIモデルの実行や大規模なデータを扱うGPU処理など、16GBを超えるVRAM容量が必要な用途では、RTX 5080がRTX 5090の代替にならない場合がある。単純に価格が安いという理由だけで選ぶのではなく、実際の用途で必要となるメモリ容量を確認する必要がある。一方、VRAM容量の違いだけで両製品の処理性能の差を判断することもできない。
今回の値上がりの原因について、OC3Dは明らかになっていないとしている。供給不足や中国のAIサーバー向け需要との関係にも言及しているが、いずれも可能性として挙げられたもので、価格上昇との因果関係が確認されたわけではない。今回の販売価格や在庫表示だけから、特定の要因が値上がりを引き起こしたと結論づけることはできない。
日本でRTX 5080やRTX 5090の購入を検討する場合、英国で報じられた約50%という上昇率をそのまま国内市場に当てはめるべきではない。購入予定の型番について国内の税込み価格と在庫状況を確認し、必要なVRAM容量も踏まえて選ぶことが重要だ。
