BOEは2026年9月22日の投資家説明会で、24層・100×100mm超の半導体向けガラス基板を製作し、顧客での検証を進めていると明らかにした。社内の信頼性試験を終え、CPUやGPUを実装してサーバーで動かす評価にも着手している。目指すのは2027年上期、可能なら第1四半期に量産投資を判断できる条件をそろえることだ。サムスン電機と東友ファインケムの合弁計画、SKC傘下のAbsolics、LG Innotekも商業化へ動くなか、各社が掲げる年には、投資判断から供給体制の整備まで異なる意味がある。

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24層基板を顧客のサーバーで試す

BOEの説明によれば、ガラス基板の試験ラインでは、穴加工から銅めっき、配線層を重ねる工程を経て、後工程まで一貫して処理できるようになった。陳炎順会長は、24層の製品を顧客へ渡して検証していると説明する。一貫工程で作った基板を、顧客のチップと組み合わせて検証する取り組みである。

ただし、基板単体の試験が終わっても、実際のチップを載せたときの動作は別に確かめる必要がある。BOEの徐暁光氏は、顧客のチップを接合・封止する工程を通し、電気的な接続や全体の信頼性を検証する作業が残ると説明した。陳会長も、CPUやGPUを載せた基板をサーバーに組み込んで動かす取り組みを始めたとしている。量産へ進むには、顧客が使うシステムで成立することが条件になる。

もう一つの課題は、要求品質を満たす製品の割合を示す歩留まりだ。徐氏によれば、7月時点から改善しているものの、量産設備へ投資するために必要な水準まで引き上げる作業が続く。具体的な数値は公表していない。どれだけの生産能力を設け、どの設備を組み合わせるかも、この改善と関係するという。

このため、BOEが示した2027年上期という目標は、量産投資の判断に向けた節目と読む必要がある。陳会長が条件に挙げたのは、顧客からの注文量と歩留まり、さらに技術面の要求である。投資額や生産能力については開示を控えており、量産開始日を約束した段階とは区別される。

各社の目標を工程で並べる

サムスン電機と住友化学傘下の東友ファインケムは、ガラスコア基板を事業化する合弁会社GlaSSEM(仮称)の設立で合意している。住友化学が7月2日に示した計画は、必要な承認などを経た2026年内の設立と、2027年度下期を目標とする供給体制の整備だ。その後、供給能力を段階的に増やす方針を掲げる。

SKCでは製品ごとに評価の段階が分かれる。9月4日の発表によると、Absolicsの埋め込み型製品は米ジョージア工場の試作品で予備評価を終え、信頼性試験に入っている。一方、非埋め込み型は2026年末までにPoC(概念実証)へ進むための準備中だ。SKCは同日、Absolicsへの約2810億ウォンの現金出資を決議したと発表し、顧客検証に合わせて歩留まりと品質を高め、本格的な量産体制を整えるとしている。

各社の開示を、対象とする工程を残したまま並べると、予定年の読み方が変わる。

企業・事業 開示された到達点・計画 目標時期の意味
BOE 24層基板の顧客検証、CPU・GPUを実装したサーバー評価を開始 2027年上期、可能なら第1四半期に量産投資の判断条件をそろえる
サムスン電機・東友ファインケム ガラスコア基板の合弁会社設立を計画 2027年度下期を目標に供給体制を整備
SKC/Absolics 埋め込み型は信頼性試験、非埋め込み型はPoC入りを準備 非埋め込み型のPoC入りは2026年末までが目標
LG Innotek ガラス基板の技術開発を加速 2028年の量産が目標

BOEの投資判断、合弁の供給体制整備、SKCの製品評価、LGの量産目標は工程が異なる。表はBOEの9月22日説明会、住友化学の7月2日発表、SKCの9月4日発表、LG Innotekの9月9日発表を基に、各社が対象とする工程と期間を抜き出したものだ。いずれも目標時期を確定した実績と見なすことはできず、表の年だけで量産の先行順位をつけると実態を見誤る。

LG Innotekの発表には、特に区別したい日程がある。同社が2027年の量産を目指すのは、AI学習・推論向けの高付加価値FC-BGAだ。FC-BGAは半導体チップとメインボードを結ぶパッケージ基板の一種で、同じ発表にあるガラス基板の量産目標は2028年となっている。展示会で両方を紹介したからといって、2027年をガラス基板の量産時期へ置き換えることはできない。

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大型化を支えるガラス、量産を左右する加工

ガラスコア基板は、パッケージ基板の内部で土台となるコア層にガラスを使う。住友化学は、ガラスの剛性と寸法の安定性、反りや熱膨張の小ささが、大型パッケージと高密度な配線に適すると説明している。LG Innotekも、コア層をガラスへ置き換えることで基板の反りや回路の変形を抑える利点を挙げた。AI向け半導体の高集積化が進むほど、チップを載せて結び付ける基板にも、大きさと配線密度の両立が求められる。

製造では、そのガラスにTGVと呼ぶ貫通穴を加工し、金属を形成して配線層を重ねていく。BOEが一貫工程として示したのも、この穴加工と銅めっき、ABFを使った積層から後工程までのつながりである。24層という数字は多層の基板を製作できたことを示すが、同じ品質で繰り返し作れる割合まで表す数字ではない。

実際、徐氏は多層化に伴ってガラスへかかる応力や、穴加工で生じる破片の処理を製造上の難所として挙げている。細かな異物を管理する清浄度も歩留まりに影響するという。BOEはディスプレイ製造で蓄積した薄膜・界面処理の経験を強みと説明するが、その評価は同社自身のものだ。製造経験を顧客が求める品質へ結び付けるには、前述のシステム評価と量産を見据えた工程改善が要る。

サムスン電機と東友ファインケムの組み合わせも、材料の変更に伴う製造課題を考えるうえで示唆的だ。住友化学によると、東友ファインケムは薄いガラスを扱う技術や、大面積ガラス向け自動化設備の運営経験を持つ。サムスン電機が担う強みは、高多層・高密度の配線と大型パッケージの設計・製造技術であり、先端半導体メーカーへの対応経験も含まれる。合弁にはガラスを安定して加工する能力と、半導体パッケージとして仕上げる能力を合わせる狙いがある。

次の節目は受注と歩留まり

BOEが示した投資判断の条件に従えば、24層という仕様に加え、顧客が必要とする数量を安定した品質で作れるかが事業化を左右する。サーバーでの動作検証を進めても、受注量と歩留まりが投資に見合う条件へ届くまでは、どの規模の設備を用意すべきか決めにくい。技術評価と設備投資は、この点でつながっている。

SKCも、埋め込み型と非埋め込み型を分けて顧客検証の進捗を説明している。信頼性試験にある製品と、PoC入りを準備する製品では、次に確かめる到達点が違う。企業単位で「量産間近」とまとめるより、どの製品がどの評価を終えたかを追う方が、商業化までの距離をつかみやすい。

BOEの2027年上期という目標に向けては、顧客注文と歩留まりが投資判断に足る条件を満たすかが試される。そこで量産投資へ進めれば、24層基板を試す現在の取り組みは、顧客が継続して調達できる供給能力を築く段階へ移る。