Intelが台湾のディスプレーメーカーAUO(友達光電)と、Micro LEDを使う先進パッケージングで協力を模索していると、台湾の経済日報が2026年9月21日に報じた。狙いは、光学部品を演算チップと同じパッケージに収めるCPOと、高密度なチップの集積だという。AUOはすでに短距離の光通信モジュールとガラスコア基板の開発を公表しており、表示装置で培った製造技術をAI向けに広げようとしている。ただし、両社の提携は公式に確認されておらず、報道で結び付けられたIntelの特許も、それだけで光通信の実用化を示すものではない。

経済日報によると、Intelは関連する話にコメントしなかった。AUOの彭双浪会長は以前、先進パッケージングやガラス基板でパートナーと共同開発していると説明したものの、相手の名前は明らかにしていない。したがって、協力の具体的な範囲や契約、量産時期まで決まったと受け取るのは早い。

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画面づくりから、短距離の光通信へ

AUOが8月31日に公表した光通信技術は、AIデータセンター内の最大10mの短距離接続を対象とする。9月2〜4日のSEMICON Taiwan 2026に向けた発表で、同社はパートナーと開発するシステムレベルのMicro LED CPO光学モジュールを紹介した。微小なLEDをデータの送信光源に使い、受光素子で受け取る仕組みである。

設計上の特徴は、多数の低速チャネルを並列化する方式にある。少数の光チャネルを高速化して通信量を増やす代わりに、多数のMicro LEDのチャネルへデータを分散させる。一本ずつの速度を抑えても、同時に送る経路を増やせば、全体として大きな帯域を得られる。AUOはこの構成によって、電力を消費する信号補償への依存を減らし、発熱の負担を軽くできると説明している。

ここでディスプレー技術の経験が効く。小さな発光素子を多数扱うには、必要な位置へまとめて移す大量転写と、素子につながる細かな配線が要る。さらに通信では、発した光をファイバーへ送り込む光結合も組み合わせる。AUOは大量転写に加え、再配線層(RDL)を使うパッケージング、光結合、システム設計を担当するとしている。画面をそのままCPUに載せるという話ではなく、発光素子を並べて接続する製造技術を、データの伝送へ使う構想だ。

光源はEnnostar、受光素子はTyntekが供給し、Corningの光ファイバー技術を組み合わせる。AUOが担うのは、個々の部品を一つの通信モジュールとして動かす工程である。発表ではCPOのほか、光電変換機能を持つアクティブ光ケーブル(AOC)への応用も挙げている。どこに光電変換部を置くかで実装は変わるため、「Micro LED CPO」という呼び名だけで、特定のCPUやGPUへの搭載が決まったとはいえない。

ガラスコア基板と光源、それぞれの仕事

AUOとCorningが同じ発表で紹介したガラスコア基板は、チップを載せるパッケージ側の技術だ。Corningの半導体用ガラスとAUOのRDL工程を組み合わせ、大型化するAI向けチップの高密度な配線に対応する。光通信用のMicro LEDとは別の役割を持つ。

ガラスを使う狙いについて、AUOは熱膨張の小ささや寸法の安定性、信号損失の低さを挙げる。パッケージが大きくなるほど、温度変化による反りを抑え、細かな接続位置を保つことが重くなる。RDLは端子から配線を引き回す層であり、ガラス貫通ビア(TGV)はガラスを貫いて上下を電気的につなぐ構造である。ガラスという材料が共通でも、TGV自体が光を通す通信経路という意味ではない。

AUOは、TGVの形成や穴の金属化、信頼性の検証を段階的に進めていると説明する。これは、ガラスの加工経験がそのまま半導体パッケージの量産能力になるわけではないことも示している。細かな配線を形成した後に接続を保てるか、熱や使用時間に耐えられるかを確かめる工程が残る。光通信と基板の双方に技術的な接点はあるが、両者を組み合わせた製品の仕様は別途示される必要がある。

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同じMicro LEDでも、特許と光通信は役割が違う

Intelが9月8日に取得した米国特許「IC package with micro LEDs」(US12733303)は、Micro LEDを付けた半導体ダイをガラス基板に少なくとも一部埋め込み、TGVを通じて給電する構造を記している。出願は2022年9月6日で、今回の提携報道に合わせて生まれた設計ではない。

対応する出願公開公報の段落0013が挙げる用途は、装飾的な発光、電気試験の状態表示、CPU上で文字を光らせることだ。IntelのMicro LED特許は発光・表示用途を記しており、AUOの光通信モジュールとは、資料が示す機能も確認段階も異なる。

この違いは、各資料に明記された用途と開発・実証の状態を並べると見えやすい。

技術・資料の時点 記載された機能・構造 確認できる段階
IntelのMicro LED特許(2026年9月登録、2024年3月出願公開) ガラスへのダイの埋め込みとTGVによる給電。説明には発光・状態表示の用途 特許の構造記載。AUOとの共同開発や光通信の動作実証を示す資料ではない
AUOのMicro LED光通信(2026年8月発表) 多数の発光チャネルと受光素子、光ファイバーによる短距離伝送 パートナーとモジュールを開発し、展示を案内
AUOとCorningのガラスコア基板(2026年8月発表) 半導体用ガラスとRDLを組み合わせたパッケージ基板 開発中。TGV形成や金属化、信頼性検証を段階的に推進
IntelのOCIチップレット(2024年6月発表) レーザーを内蔵した光回路と電気ICを統合し、CPUと同じパッケージに搭載 実データの通信を実証。発表時は試作品

表は、特許の説明・請求項と、AUOの発表IntelのOCI発表を、用途と確認段階で分類したものだ。時点も方式も異なるため、性能の優劣を比べた表ではない。また、特許に列挙された用途から、ほかの応用可能性や法的な保護範囲を限定することもできない。ここで分かるのは、発光素子を実装する特許と、データを送った通信実証を同一視できないということだ。

Intel自身は、光通信の動作実証を別の技術で公表している。2024年6月のOCI発表では、オンチップレーザーを含むシリコンフォトニクスの光回路と電気ICを統合し、CPUと同梱した状態で実データを送った。仕様は各方向64チャネル、1チャネル32Gbpsで、双方向合計最大4Tbps。これはMicro LED特許の通信性能ではなく、レーザーを使うOCI試作品について当時示された数字である。

この区別を保つと、提携観測の読み方も変わる。両社の技術に組み合わせる余地があることと、同じ光源・基板を使う共同製品が成立したことは別だ。特許は技術的な蓄積を示すが、共同製品の接続図や性能試験の代わりにはならない。

実用化を測るには、光源からモジュール全体へ

AUOはMicro LED光源について、最大125°Cでの温度安定性と3万時間超の動作寿命を挙げている。ただし、これは送信側の光源に対する同社の説明であり、受光部や接続部まで含めたモジュール全体の保証ではない。125°Cという条件で3万時間動かした結果とも書かれていない。温度の数字と寿命の数字をつなげれば、発表以上の性能を約束してしまう。

8月31日の発表本文には、モジュール全体の通信帯域やチャネル数、ビット誤り率の具体値はない。省電力をうたう一方で、どの回路まで含めて消費電力を測ったのかも示していない。このため、既存のレーザー方式に対して何倍効率がよい、といった比較はまだできない。

多数のチャネルを使う構成なら、それらをまとめて接続し、安定して動かす製造条件も評価の対象になる。AUOが強みとする大量転写や光結合について、必要な帯域を満たすモジュールをどの程度の歩留まりで作れるかが分かれば、製造経験が事業上の優位につながるかを判断しやすくなる。これは現時点で不具合があるという指摘ではなく、方式の利点を量産製品へ移す際に確かめるべき条件だ。

Intelとの協力が正式に示されるなら、採用する光源と基板、担当する工程が最初の判断材料になる。そのうえで、同じ接続距離と帯域を満たしたときのモジュール全体の電力や信頼性を確認したい。そこまで示されれば、ディスプレー向けに蓄積した技術が、AIシステムでデータを運ぶ電力と熱をどれだけ減らせるかを具体的に評価できる。