iFixitがiPhone 18 ProとPro Maxを分解し、可変絞りの微細な羽根や、画面の下へ移ったFace IDの赤外線カメラを公開した。Appleが発表済みの機能を実物で追うと、磁石で動く絞りや、赤外線を通すために間引かれた画素の配置まで見えてくる。一方、分解した4台のうち3台では、画面を外す際に周囲の樹脂フレームが破損した。冷却と撮影を進化させた内部には、電池やカメラを一式で取り外しやすくする工夫と、そこへたどり着く難しさが同居している。

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髪の毛ほどの6枚羽根、交換はカメラ一式で

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(Credit: iFixit)

メインカメラの可変絞りは、髪の毛ほどの厚みしかない6枚の羽根で光の通り道を変える。iFixitの分解では、機構に磁石を近づけると、周辺の部品を取り外した状態でも絞りが開閉した。羽根に設けた小さな穴や溝が駆動機構のピンと組み合わさり、互いに引っ掛からないよう重なって動く。

Appleはすでに6枚のレーザー加工した羽根を公表していた。今回見えたのは、その小さな機構の作りと、分解した後に元へ戻す難しさだ。iFixitはレンズカバーを加熱してこじ開ける過程で羽根を飛び散らせ、再び動かせたのは1枚だった。許容できる位置ずれが小さく、接着剤も扱いにくいため、内部の羽根だけを直す作業は極めて難しいと評価している。

ただし、カメラ全体が交換不能になったわけではない。カメラは一式で取り外せるモジュールになっており、iFixitによれば両モデルともその交換は容易だった。羽根の不具合を部品単位で直せなくても、カメラ一式を交換する道はある。細かな故障に対して大きな部品を交換する必要がある、という問題の指摘なわけだ。

絞りはカメラアプリでf/1.48からf/4.0までの4段階を選べる。中間はf/1.8とf/2.8だ。iFixitが公開した比較写真では、絞りを開くにつれて背景のぼけは増えたものの、背景の工具やロゴはなお識別できた。同じ撮影例からは、大きく背景をぼかす効果への期待には限界が見える。

一方、Appleの説明は、暗所で光を取り込むことや、絞って集合写真の奥側まで鮮明にする用途も含む。可変絞りの価値は背景ぼけだけでは決まらない。iFixitの写真比較をあらゆる撮影条件へ広げることも、精密な可動部があるという理由だけで故障が増えると断定することもできず、実際の耐久性と交換費用は今後の判断材料になる。

画面下の赤外線カメラ、画素は1列おきに

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Face IDの赤外線カメラは画面左上の下に移っていた。iFixitがその部分を顕微鏡で観察すると、ディスプレイの画素列が1列おきに欠け、赤外線を通す隙間を作っている様子が分かった。周縁では画素の配置が徐々に変わり、肉眼では境目が目立ちにくくなっているという。

画面の下にカメラを隠すには、その上の表示層が光を遮る問題を解かなければならない。Appleは赤外線カメラの上で画素を間引き、画面表示と光の通り道を両立させた。Dynamic Islandを小さくできた理由が、部品の移動と画素の配置という両面から確認された形だ。

自撮りカメラと、顔へ赤外線の点を投射するドットプロジェクタは中央の開口部に残る。Face IDのすべてが画面下に収まったわけではなく、自撮りカメラも表示層越しに撮影する構造にはなっていない。写真を撮るカメラの視界を保ちながら、認証に使う赤外線カメラを別の場所へ移した点が今回の変更である。

前面カメラのユニットは、接続を外せばねじや接着剤なしで取り出せた。ただし、その前には画面を開く工程があり、交換後にはソフトウェアによる校正も残る。部品の取り外しやすさと、Face IDを再び使える状態に戻す作業は分けて考える必要がある。

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A20 Proは基板の外側へ、ストレージは内側へ

A20 Proは、重ねた基板の外側に配置されていた。前世代のA19 Proは積層基板の内側にあり、メモリーを上に重ねていたが、今回はメモリーもプロセッサーの横へ移っている。熱を出すチップから冷却部材までの間にメモリーを挟まない配置だ。

Appleが発表時に説明した横並びの実装を、iFixitの分解が実物で示したことになる。A20 Proとベイパーチャンバーの間には、接触面の隙間を埋める柔らかい熱伝導材も見つかった。顕微鏡写真では網状にも見える表面を確認できるが、iFixitは材料の組成を特定していない。

ベイパーチャンバーは、内部の液体が熱い場所で蒸発し、冷たい場所で凝縮する仕組みで熱を広げる。Appleによると、今回はiPhone 17 Pro世代の3倍の表面積を持つ。チップの配置変更と大型の放熱部材は一続きの設計だが、分解写真だけで温度が何度下がるか、性能がどれだけ上がるかは測れない。3倍という数字も放熱部材の面積であり、冷却性能の倍率ではない。

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左側がiPhone 18 Proのベイパーチャンバー/バッテリートレイ、右側がiPhone Pro Max (Credit: iFixit)

基板の反対側では、データを保存するNANDフラッシュが積層基板の内側へ移っていた。NANDに触れる修理には基板を分離する作業が必要となり、加熱や作業時間、他の箇所を傷めるリスクが増えるとiFixitは指摘する。日常的な部品交換とは異なる、基板修理の領域での制約だ。

データ復旧でも、NANDだけを別の端末へ移せば保存内容を読めるわけではない。Appleのデータ保護の説明では、暗号鍵を階層的に管理し、ハードウェアの暗号化機能と組み合わせている。iFixitも、一般に専門業者は元の基板を起動できる状態まで直し、バックアップを取り出すと説明する。今回の配置変更が作業を増やすのは、元のNANDへのアクセスを要する場合であり、すべての復旧作業に基板分離が必要になったという意味ではない。

通信部品には地域差もある。iFixitは米国向けiPhone 18 Pro MaxではQualcomm製モデムを、それ以外の18 Pro/Pro MaxではApple製C2を使うと報告した。米国向けPro Maxの分解結果を、他地域のモデルや小型のProへそのまま当てはめることはできない。

ねじ留め電池の手前で、画面の枠が破損

バッテリーを載せた金属トレーは13本のねじで固定され、電池と一緒に取り外せる。これは前世代のiPhone 17 Proで導入された構造を引き継いだものだ。トレーごと交換するなら、電池の接着剤を剥がす必要はない。

電池そのものはトレーに接着されている。iFixitは電気で剥がせる接着剤も確認しており、同社の作業では12Vを約90秒加えると電池をきれいに分離できた。トレー一式の取り外しと、電池単体をトレーから分離する作業は別である。

問題はトレーへ届くまでの工程だった。背面ガラスは開けられるが、背面側で扱えるのはパネルに内蔵されたワイヤレス充電コイルで、電池には画面側からアクセスする。iFixitが開けた4台のうち3台では、画面の周りにある白い樹脂フレームが割れるか剥がれた。

表示パネル自体は取り外した後も動いている。しかしフレームは画面ユニットの一部であり、周囲の接着剤を新しくしても割れた樹脂は直らない。元どおりに密着させ、隙間なく閉じられるかという問題が残る。電池交換のための作業が、画面側の補修まで伴う恐れがある。

4台という数から、一般的な破損率は推定できない。iFixitでも1台は無傷で開けられ、他の分解例では破損を避けたものがあるという。接着剤や加熱条件、作業方法など、何が差を生んだのかは未確定である。通常使用中に画面が壊れた話でもない。

電池ラベルからは、分解したeSIMモデルの容量も確認された。

iFixitが分解したモデル 電池のエネルギー量 電池容量
iPhone 18 Pro(eSIMモデル) 16.76Wh 4,288mAh
iPhone 18 Pro Max(eSIMモデル) 21.751Wh 5,567mAh

出典はiFixitが読み取った電池ラベル。物理SIMモデルはこれより小さいと同社は説明しているため、上の数値を全地域の製品に共通する値として扱うべきではない。また、容量の確認だけでは実使用時の持続時間は分からない。

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交換しやすい部品でも、修理全体が簡単とは限らない

iFixitの分解で確認された構造では、バッテリーとカメラは一式で取り外しやすい一方、画面の開口、カメラ内部の修復、交換後の校正には別々の制約が残る。

9月の分解報告と、9月21日に確認したAppleの修理アシスタントの説明を、作業の段階ごとに並べたのが次の表だ。物理的な構造と、交換後のソフトウェア要件を分けている。

修理対象・工程 iFixitが実機で確認した構造や作業 Appleが示す交換後の一般要件
画面を開く工程 大半の修理の入口。4台中3台で周囲の樹脂枠が破損 ディスプレイ交換は修理アシスタントの対象
バッテリー ねじ留めトレーごと外せる。セルの接着剤を剥がす工程と分離可能 バッテリー交換は修理アシスタントの対象
背面カメラ 一式の交換は容易。絞り羽根の内部修復・再組立は極めて難しい 背面カメラ交換は修理アシスタントの対象
前面カメラ・Face ID ユニットはねじ・接着剤なしで取り外せる Face IDは校正が完了するまで認証に使えない
USB-C端子 独立部品だが、長いケーブルの経路に他の部品や接着剤がある この表ではソフトウェア要件を判定しない
NANDへのアクセス 積層基板の分離が必要 この表ではソフトウェア要件を判定しない

表は修理費や成功率のランキングではない。iFixitの分解観察を作業工程で分類し、Appleの対応部品に関する一般説明を加えたものだ。今回の全モデル・全交換部品で校正が成功したことを示す表でもない。USB-C端子のように単独部品として交換できても、そこまでの取り外しに手間がかかる例を含めると、モジュール化だけでは修理全体を評価できないことが分かる。

Appleによれば、修理アシスタントは交換部品に必要な校正データをインストールする。実行にはWi-Fi接続と最新OSが必要で、電池残量も20%を超えていなければならない。Face IDは校正が済むまで、ロック解除や支払い、アプリへのサインインには使えない。部品を取り付けて通電するだけでは、修理が終わらない場合がある。

iFixitの修理しやすさの評価は、両モデルとも暫定で10点中7点だった。電池トレーや取り外せるカメラを評価する一方、多くの修理で画面を外す構造が減点要因になっている。ただし、今回の樹脂枠の破損そのものは、原因や再現性が分からないため、まだ直接の減点に反映していない。部品の販売状況とソフトウェアによるペアリングの確認も続いている。

この7点を長期所有の判断に使うには、画面の枠を壊さずに開ける条件と、交換部品の入手・校正がどこまで確実に行えるかを見届ける必要がある。それが確認されれば、ねじで外せる電池トレーの利点を、電池が劣化した後も使い続けやすいという実益に結び付けられる。