DRAMの主力品であるDDR4 8Gb(1Gx8)3200MT/sの平均スポット価格が、2026年7月15日の39.8ドルから7月21日の41.1ドルへ上昇した。TrendForceが7月22日に公表した週間調査によると、上昇率は3.27%で、問い合わせはDRAMメーカーのブランド品へ集まった。ただ、供給者は安値での売却を避け、買い手も高値を追っていない。値上がりと低調な成約が同居しており、価格だけでは需要回復と判断できない局面だ。

同じ週、NAND Flashでは512Gb TLCウェハーの平均スポット価格が1.28%下落し、7月20日に18.931ドルとなった。企業向けSSD受注を見込む特定のモジュールメーカーが積極的に仕入れたものの、消費者向けの弱さを覆すには至らなかった。DRAMとNANDの逆方向の値動きは、メモリ市場を一括りに見たときに隠れる、製品と販売経路ごとの需給差を映している。

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3.27%上昇でも、成約は広がらない

DDR4の週間上昇額は1.3ドルである。表面上ははっきりした値動きだが、TrendForceは取引が全般に限られたとも報告した。供給者は安値での売却に消極的で、買い手は上昇後の価格を追うことをためらっている。この価格差が、引き合いを成約へ結びつけにくくしている。

ブランド品へ問い合わせが集中した点も、対象を狭く読む必要がある。調査では、どのメーカーの製品が求められたのか、問い合わせ元の業種や地域、成約件数は開示されていない。確認できるのは、ブランド品を求める買い手が現れ、その引き合いが価格を支えたことまでだ。DRAM市場全体で発注が増えたとは言い切れない。

スポット取引は、その時点で必要な製品を都度売買する市場であり、OEMなどが結ぶ長期契約とは価格形成が異なる。売り手が在庫を引き締めれば、出来高が少なくても提示価格は上がり得る。今回の3.27%はその性格が強い。価格上昇の持続性を測るには、次週以降もブランド品の問い合わせが続くかに加え、買い手が提示価格を受け入れるかを見る必要がある。

5週間で14.8%、DDR4供給の細さが価格を支える

7月21日の41.1ドルは、6月16日の35.8ドル14.8%上回る。これは2時点の単純比較であり、途中の値動きや出来高を示す数字ではない。ただ、6月中旬と7月下旬の両時点で、買い手の問い合わせと供給者の売り惜しみが併存していた。少なくとも両時点では、成約の薄さが価格下落へ直結していない。

供給側では、高収益のHBMとサーバー向けへの能力配分が、DDR4の即納在庫を増やしにくくしている。TrendForceは3月末、DRAMメーカーが2026年第2四半期に生産能力をHBMとサーバー用途へ振り向け、PCメーカーとモジュールメーカー向けの出荷を減らしたと説明した。PC需要は下方修正されたが、割り当てが不足する顧客はメーカーやモジュール会社から高値で調達せざるを得ない。最終製品の需要が鈍くても、供給配分が価格を支える理由はここにある。

DDR4の供給拡大策は動き始めているが、7月のスポット市場には間に合わない。Micronは5月、米Virginia州Manassas工場で1α世代のDDR4生産を始め、同工場のDDR4ウェハー供給を4倍にすると発表した。一方、認定済み製品の生産は2026年末までを予定し、主な供給先は自動車、防衛・航空宇宙、産業機器など長期供給を必要とする分野である。増産計画は存在しても、主力PC向けDDR4の即納品が短期に潤沢になるとは限らない。

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企業向けは強く、消費者向けは弱いNAND

NANDでは逆の力が働いた。企業向けSSDの強い受注を見込む特定のモジュールメーカーは、供給者のウェハー不足と提示価格の上昇を受け、スポット市場で在庫を積み増した。この買いは価格下落を一時止めたが、多くの買い手はコスト許容の上限に達している。消費者向け受注が弱く、大口購入の支えを欠く中、512Gb TLCウェハーは週間で1.28%下がった。

下落は1週間の動きに限らない。512Gb TLCの価格は6月15日の21.431ドルから7月20日の18.931ドルまで、約11.7%低下した。7月20日までの週に確認された特定企業の積み増しは、週間下落を反転させるには足りなかった。企業向けSSDの需要が強いという事実を、NANDウェハー全般のスポット需要回復へ広げて読むことはできない。

これは、NAND市場全体の供給不足見通しとも矛盾しない。TrendForceは7月21日、2026年のNAND市場が4〜5%の供給不足になると推計した。サーバーは総ビット需要の40%超を占める一方、スマートフォンとノートPCの合計も約40%を占める。サーバー向けがビットベースの需要を押し上げても、消費者向けに近いモジュールメーカーでは在庫が積み上がる。製品仕様と流通段階が違えば、年間の供給不足と特定ウェハーのスポット下落は同時に起こる。

次の分岐は価格より成約量

DDR4では、41.1ドルという価格水準そのものより、買い手がその水準で発注するかが次の判断材料になる。問い合わせが続いても成約が細ければ、値上がりは売り手の在庫姿勢に強く依存する。反対に、複数の買い手がブランド品を確保し始めれば、供給の細さに実需が重なり、上昇の性格が変わる。

NANDでは、企業向けSSDを背景にした補充が、社名非開示の1社から他のモジュールメーカーへ広がるかを確認したい。消費者向け受注が弱いままなら、年間需給が不足でも512Gb TLCのスポット価格には下押し圧力が残る。DRAMは成約を伴う上昇へ移れるか、NANDは局所的な補充を市場全体へ広げられるか。次回の週間データでは、価格の方向とともに取引の広がりを読む必要がある。