AI学習と著作権をめぐる米国の訴訟は、2025年に地裁の判断が割れたまま、控訴審の答えを待っている。そこへ米司法省(DOJ)が2026年9月1日、The New York Times(NYT)がOpenAIMicrosoftを訴えた事件を束ねるニューヨーク南部地区連邦地裁の統合手続(MDL)に、20頁のStatement of Interest(利益陳述書)を提出した。書面は大規模言語モデル(LLM)の開発を「取得」「学習」「出力」の3段階に分け、学習段階の複製だけを取り上げてフェアユース(公正利用)に当たると主張する。結論そのものより、線の引き方に読みどころがある。どの段階を切り出し、どの段階を避けたかで、この書面が訴訟のどこに効くかが決まる。

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取得、学習、出力に切り分けた20頁とフェアユース 4要素の仕組み

書面の法的根拠は合衆国法典28編517条(28 U.S.C. §517)で、司法省が「合衆国の利益に関わる訴訟に出席する」権限を定めた条文である。脚注1が説明するとおり、裁判所の許可も提出期限も要らない。第三者が裁判所の許可を得て提出するamicus brief(法廷助言書)とは手続が異なり、政府が自らの利益を理由に意見を述べる文書だが、裁判所を拘束する効力はない。署名したのは省内第3位のStanley E. Woodward, Jr.司法次官(Associate Attorney General)、民事局長のBrett Shumate司法次官補(Assistant Attorney General)、Woodwardの上級顧問Michael Weisbuchの3人で、事件は「In re OpenAI, Inc. Copyright Infringement Litigation」(25-md-3143、Stein判事)である。

訴訟の経緯を確認しておく。NYTは2023年12月27日に提訴し、2025年3月26日の却下申立の判断で直接侵害と寄与侵害の請求が存続、DMCA1202条(著作権管理情報)の請求は一部が却下された。2025年4月にAuthors Guild、Daily News、The Interceptなどの訴訟とともにMDLへ統合され、現在は略式判決の書面提出の途中にある。NYTは2026年に入ってからも訴状を更新しており、書面が引用するのは2026年8月21日付の訴状である。

書面の骨格は4部構成だ。第1部で合衆国の利益として国家安全保障、AI産業の競争力、独立系メディアへの効用を挙げ、第2部A節でLLM開発を取得(acquisition)、学習(training)、出力(output)の3段階に分ける。第2部B節でフェアユースの枠組みを置き、C節で学習は第1要素の「変容性」を満たすと論じ、D節で第4要素の「市場への影響」は認められないと主張する。

最初の線はA節で引かれる。書面は5頁で「各段階は著作権法上それぞれ異なる問題を提起しうる」(原文:"Each stage may present distinct questions of copyright law")と述べ、合衆国が扱うのは学習段階の複製がフェアユースかどうかだけだと明示した。脚注2では政府による利用を免責する1498条の適用も否定し、OpenAIの行為が政府に帰属しないことを断っている。

米著作権法107条は、目的と性質、著作物の性質、利用された量、市場への影響という4つの要素を総合して侵害の成否を決める。判断は「利用ごと」に行うのが原則で、同じ本を複製しても、検索索引を作る利用と朗読を売る利用では別々に4要素を評価する。書面はこの原則を「学習は出力とは別の利用である」という形で最大限に使う。学習段階で問われるのは、モデルの重みを作るために本文を複製する行為の目的と、その行為が原作の市場を奪うかどうかであって、後にモデルが何を吐き出すかは出力段階の問題だという整理である。

第1要素について書面は、学習を「極めて変容的」(原文:"extraordinarily transformative")だとし、Bartz v. AnthropicのAlsup判事が学習を「変容的、それも目を見張るほどに」と評し、Kadrey v. MetaのChhabria判事が「高度に変容的」と認めた判断を引いたうえで、学習の目的は対話型モデルの構築であり、読者を楽しませ教える原作の目的とは「種類において異なる」と論じる。商業目的である点はCampbell判決を引いて「針を動かさない」と片づけた。第4要素ではAuthors Guild v. Googleを軸に、認められる害は「相当な代替的競合」だけであり、学習は「公衆に何も明らかにしない」から代替を生まないと述べる。第2要素と第3要素は脚注16で「主要な役割を果たさないが、いずれもフェアユースを支持する」と処理した。

Kadreyの市場希釈論と著作権局p.64を「段階の混同」として退ける

書面が最も強い言葉を向けたのは、味方であるはずのKadrey判決である。Chhabria判事は2025年6月25日、当該記録上はMetaの学習をフェアユースと判断しながら、傍論で「間接的な代替」または「市場希釈」の理論を示した。学習済みモデルが原作と競合する大量の作品を生み出せるなら、個々の出力が原作に似ていなくても市場を薄める害が第4要素で考慮されうる、という議論だ。書面はこれを「当事者の主張を経ずに」採用された傍論と位置づけ、「Kadrey裁判所の第4要素の適用は深く欠陥がある」と書く。理由は、学習と出力を一つの連続した利用に不当に潰したからだという。

その反論に書面が持ち出したのがJoan Didionの逸話だ。10代のDidionはHemingwayの文章をタイプして書き写し、文の構造を学んだと1978年のParis Reviewで語っている。Kadreyの論理に従えば、Didionが後に本を出版するたびに、写した行為についてHemingwayへ責任を負うことになると書面は言う。ここでBartz判決の「本を後で新しい形で使うたびに支払わせるのは考えられない」という一節も引かれる。学習で身についた能力が将来生む競争は、学習という複製行為の害ではないという主張である。

同じ論法は米著作権局にも向く。著作権局は2025年5月9日に公表したPart 3報告書(生成AIの学習)の事前公開版64頁で、市場希釈を第4要素の新たな害として提示し、自発的なライセンスや集団的な権利管理を推奨した。書面は脚注17で、この見解を示したのが「現在解任を争っている登録官」だと触れたうえで、「彼女の理解は尊重に値しない」とLoper Bright判決を引いて切り捨て、判例を無視した「貧弱な推論」だと評した。Shira Perlmutter登録官は報告書公表直後の2025年5月に解任されたが、その後の司法判断で職に留まっており、2026年9月3日時点で登録官として在職している。書面自身が現在形で言及しているとおり、「元登録官」ではない。

出力段階について書面は沈黙していない。脚注15は、仮に侵害が認められても救済はTrump v. CASA判決のいう「完全な救済に必要な範囲」に限られ、「異常な再構成的出力のごく一部」が学習全体への広範な責任を正当化しないと述べ、OpenAIが2025年6月27日のMDL提出資料で再現防止措置を示していることに触れた。つまり書面の構造では、出力に問題があるなら出力の救済で対処すべきであり、それを理由に学習段階へ責任を遡らせてはならない。18頁ではNYTの記者自身が記事の「構想と編集」にLLMを使っていると述べて脚注19でFuturismの2026年5月12日付記事を引いたが、The Decoderは、その記事はNYTがフリーランスにAI利用を厳しく警告した内容であり、引用元はむしろ逆の結論を支持していると指摘している。

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5つの判断を同じ軸で並べる

2025年以降にAI学習の適法性を扱った判断は、地裁判決3件と行政機関の見解2件に絞られる。これを学習の変容性、市場希釈論の採否、取得段階(海賊版)の扱い、2026年9月3日時点の手続段階の4軸で分類した。裁判所の判断と行政機関の見解は法的効力が異なるため、種別を別に示す。

判断 種別 学習の変容性 市場希釈論 取得段階の扱い 手続段階(2026年9月3日時点)
Bartz v. Anthropic(N.D. Cal.、Alsup判事、2025年6月23日) 地裁判決 認める(目を見張るほど変容的) 採らない 海賊版ライブラリの保管はフェアユースでない 15億ドルの集団和解を2026年7月20日に最終承認
Kadrey v. Meta(N.D. Cal.、Chhabria判事、2025年6月25日) 地裁判決 認める(高度に変容的) 傍論で提示 torrent配布の請求は継続 中間上訴を2026年7月8日に却下。配布請求のSJ審理は2027年2月25日予定と報じられる
Thomson Reuters v. Ross(D. Del.、Bibas判事、2025年2月11日) 地裁判決 否定(同一目的の代替品) 言及なし 争点でない 第3巡回区が2026年6月11日に口頭弁論、判決未了
著作権局Part 3報告書(2025年5月9日、事前公開版) 行政機関の見解 用途次第 64頁で提示 海賊版ソースは第1要素で不利 最終版は未公表
DOJ意見書(S.D.N.Y. MDL 3143、2026年9月1日) 政府の意見表明 認める(極めて変容的) 「深く欠陥がある」と否定 言及なし summary judgmentの書面提出中

学習の変容性を無条件に認めたのはBartz、Kadrey、DOJの3者で、著作権局は用途次第と留保した。市場希釈論では、採るのがKadreyと著作権局、退けるのがBartzとDOJで、政府の内部と裁判所の内部がそれぞれ二つに割れている。取得段階を見ると、Bartzは海賊版の保管に責任を認め、Kadreyは配布請求を残し、著作権局は海賊版ソースを第1要素で不利に扱うと書いた。DOJ書面だけが、この列に何も書いていない。Rossは生成AIではない法律検索ツールの事案で、書面は引用していないが、第3巡回区の判決が出れば控訴審としては初の判断になる。

なお、Kadreyの市場希釈論は判決理由に含まれない傍論であり、書面自身もそう位置づけている。Bartzの地裁判断はAlsup判事だが、和解の最終承認は引き継いだMartínez-Olguín判事が行った。著作権局報告書とDOJ意見書はどちらも法的効力を持たない見解であり、上の表で判例と同列に扱ってはいない。

書面が語らない取得段階

書面20頁の中に、取得段階の適法性に触れた箇所はない。取得に関する記述は5頁で3段階を定義する箇所と、脚注2で1498条の免責を否定する箇所だけで、海賊版やshadow libraryからの収集が許されるかどうかは論じられていない。書面は「各段階は異なる問題を提起しうる」と自ら断ったうえで、その一つを扱わなかった。これは書面の記述範囲の事実であり、DOJが取得段階について立場を持たないという意味ではない。

避けた論点の値段は、すでに一度ついている。Bartz v. Anthropicで2025年6月23日にAlsup判事は、学習はフェアユースだが、海賊版サイトから集めた本を中央ライブラリとして保管する行為はフェアユースでないと判断した。Anthropicはこの取得段階の責任を巡って15億ドル(2026年9月2日のNY市場終値158円22銭で約2,373億円)の集団和解に応じ、2026年7月20日にMartínez-Olguín判事が最終承認した。1作品あたり約3,000ドルで、支払い開始日は未定である。TechCrunchも整理しているとおり、この金額は海賊版のshadow libraryを使ったことへの支払いであり、学習そのものへの対価には当たらない。

つまり2025年以降に実際に金が動いた論点は、書面が扱わなかった段階にある。NYT訴訟の事実関係はBartzと異なり、争点は海賊版ではなくWeb上の記事の収集なので、取得段階の争い方は同じにならない。しかしMDLには書籍の著者や出版社も含まれ、書面は脚注11で議論がそれらの当事者にも当てはまると書いている。学習だけを切り出した主張は、学習をフェアユースと認めたうえで取得で責任を負わせるBartz型の結論と、正面から衝突しない。書面が守ろうとしたのは学習の自由であって、データの集め方ではないと読める。

政策面の主張も同じ方向を向く。書面は4頁で、学習にライセンスを必須にすれば最大手のテック企業しか対価を払えない可能性があるためLLM市場の競争を損ない、「旧来の主流メディア企業への大規模な補助金として機能する」参入障壁になると論じた。ただし脚注13では、ライセンス制度が財務的にも実務的にも実現可能かどうかについては立場を取らないと留保している。結論部の一文は「フェアユースの判断は各事件の具体的な事実と利用にかかっている。しかし、ライセンスなしのAIモデル学習を一般に許されないものにするような広範な著作権責任を課すことは、問題であり、法的にも誤りである」と結ぶ。

原告側の反応は書面の枠組みそのものに向いた。NYT広報のGraham JamesはAPに対し、AI企業は製品を可能にしているコンテンツに、著作権法が求めるとおり公正に支払えばよいと述べた。The Intercept代理人のMatt Topicは、書面の主張が受け入れられれば「前例のないIP権の移転」になると批判している。News/Media AllianceのDanielle Coffey CEOは、裁判所には法の厳格な適用が求められるとしてNYTの主張が勝てると信じると述べたとHollywood Reporterが伝えた。OpenAIはThe Interceptのコメント要請に応答していない。

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2025年1月から2026年9月までの米政府の足取り

書面は単発の判断ではない。引用された大統領令と立法提言を並べると、政権側の立場は2025年1月から一貫しており、逆方向にいるのは著作権局だけである。日付は一次資料か、当該の出来事を直接報じた記事から取った。

日付 出来事 方向
2025年1月23日 大統領令「Removing Barriers to American Leadership in AI」(書面が引用) 政権
2025年5月9日 著作権局がPart 3報告書(生成AIの学習)の事前公開版を公表。市場希釈を提示 著作権局
2025年5月(報告書公表の直後) 政権がPerlmutter登録官を解任 政権
2025年5月22日 Perlmutter v. Blancheをコロンビア特別区連邦地裁に提訴 裁判所
2025年7月23日 TrumpがAI Action Plan演説で、読んだ本や記事すべてに支払う形では成功するAIプログラムは期待できないと発言 政権
2025年9月10日 D.C.巡回区がPerlmutterの職務継続を保護する差止を2対1で認める 裁判所
2026年3月20日 White Houseが「National Policy Framework for AI」立法提言を公表 政権
2026年6月2日 大統領令「Promoting Advanced AI Innovation and Security」 政権
2026年6月30日 最高裁が政権の緊急停止申立を却下、差止を維持 裁判所
2026年9月1日 DOJがS.D.N.Y. MDL 3143にStatement of Interestを提出 政権

2026年3月20日の立法提言は、書面の立場を先に文章にしていた。提言は「著作権のある素材でのAIモデルの学習は著作権法に違反しない」(原文:"training of AI models on copyrighted material does not violate copyright laws")と政権の見解を述べつつ、反対論の存在を認めて解決を裁判所に委ね、議会にはライセンス枠組みや集団的権利管理の整備を検討するよう求める一方、ライセンスが必要かどうか自体は立法で扱うべきでないとした。書面はこの提言と2本の大統領令を第1部で引用している。Trump大統領は2025年7月23日の演説で、中国はそうしていない(原文:"China's not doing it")とも述べており、書面の国家安全保障の論拠はこの発言と同じ線上にある。

著作権局については一つ注意がいる。同局は議会図書館の下部組織で、大統領府とは系統が異なる。したがって「政府内の対立」と一言で片づけるより、行政府と立法府側の機関が別の見解を持ち、司法が登録官の身分を守っている、と書く方が正確だ。Part 3報告書は2026年9月3日時点でも事前公開版のままである。

日本の30条の4とEUのオプトアウトと比べると

日本とEUも学習のための複製を原則として認めるが、認め方と責任の境界線が米国とは違う。比較対象はテキスト著作物を学習のために複製する行為に限り、2026年9月3日時点の法状態で揃えた。出力(生成物)の侵害判断は別枠として扱う。

法域 学習段階の複製 責任が発生する境界 出力段階との関係
米国(著作権法107条、DOJ書面の立場) 事案ごとの4要素判断。DOJは学習を独立の利用として極めて変容的でフェアユースと主張 出力の実質的類似(書面は出力の救済範囲を脚注15で別扱い) 学習と出力を別の利用として分離
日本(著作権法30条の4) 非享受目的の情報解析は原則許諾不要 ただし書(著作権者の利益を不当に害する場合)、享受目的の併存 生成物の侵害では事業者が「規範的な行為主体」になりうる
EU(DSM指令4条、AI法53条) 適法にアクセスできる著作物に限りTDM例外で可能。機械可読なオプトアウトで除外できる オプトアウトの表明、記憶化(ミュンヘン地裁がGEMA v. OpenAI一審で複製と判断、控訴中) 汎用AIモデル提供者に著作権方針と学習データ要約の公表義務(2025年8月2日から適用)

三つの法域は「学習段階の複製は原則として許される」側で一致している。違うのは責任の境界線の置き方で、米国のDOJ書面は出力の類似性に、日本は学習の目的と取得の態様に、EUは権利者の意思表示に線を引き、ドイツのミュンヘン地裁は一審でモデル内部の記憶にも線を引いた。

日本の著作権法30条の4は、「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」の情報解析を許諾不要とし、ただし書で「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」と定める。文化審議会が2024年3月15日にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」は、意図的な過学習のように享受目的が併存する追加学習を適用外とし、情報解析用に整理されたデータベースの著作物が販売されている場合をただし書の該当例に挙げた。海賊版と知りながらの収集については「厳にこれを慎むべき」とし、生成物が侵害となった場合に事業者を「規範的な行為主体」と認める際の不利な考慮要素になると整理している。DOJ書面が触れなかった取得段階を、日本の整理は責任判断の考慮要素に組み込んでいる。

EUはDSM指令(2019/790)4条のTDM(テキストおよびデータマイニング)例外で、適法にアクセスできる著作物の学習を許しつつ、権利者が機械可読な方法でオプトアウトすれば除外される。AI法53条(1)(c)(d)は汎用AIモデルの提供者に、オプトアウトを尊重する著作権方針の整備と学習データ要約の公表を義務づけ、2025年8月2日から適用が始まった。ミュンヘン地方裁判所は2025年11月11日のGEMA v. OpenAIで、歌詞9曲がモデルに記憶され出力された事実を複製と認定し、TDM例外の適用を否定している(OpenAIが控訴し、ミュンヘン高等地方裁判所に係属している)。DOJ書面が「学習は公衆に何も明らかにしない」と言う場面で、EUの裁判所はモデルの中に残った歌詞を複製と呼んだ。

ただし比較には限界がある。米国のフェアユースは判例法で、DOJ書面は当事者でない政府の意見であって、裁判所の判断を縛らない。文化庁の考え方は法的拘束力のない小委員会の整理で、日本には生成AIの学習を直接扱った確定判決がなく、30条の4の「不当に害する」の解釈は事案ごとに決まる。EUはDSM指令の国内法化の状況が加盟国で異なり、GEMA判決は控訴審で争われている。

書面の線引きが米国で通るかどうかは、二つの判断で決まる。一つは第3巡回区のThomson Reuters v. Ross(2026年6月11日口頭弁論、Restrepo、Montgomery-Reeves、Boveの3判事)で、AI学習のフェアユースについて控訴審が初めて答える。もう一つはMDLのsummary judgment判断で、reply期限は11月6日と報じられているが、審理日は設定されていない。Kadreyのtorrent配布に関するSJ審理は2027年2月25日と報じられており、取得段階の責任はそこでも争われる。学習を独立の利用として切り出す書面の枠組みを裁判所が採れば、AI企業の責任は出力の類似性と取得の態様に集約され、日本の30条の4やEUのオプトアウトと同じ「学習は原則自由、責任は別の段階で負う」構造に米国も並ぶことになる。