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ナトリウムイオン電池

別名: Sodium-ion battery

Overview

最終更新: 2026年7月9日

ナトリウムイオン電池は、ナトリウムイオンを電荷キャリアとして利用する二次電池である。基本構造はリチウムイオン電池と類似するが、地殻中に豊富に存在し地政学的リスクの低いナトリウムを正極・負極間のキャリアに用いる点が特徴だ。エネルギー密度はリチウムイオン電池に及ばないものの、低コスト、高い安全性、寒冷地での動作性能などの利点から、EV、グリッドストレージ、データセンターのバックアップ電源、IoTデバイスなど幅広い用途での活用が検討されている。

概要

リチウムイオン電池はスマートフォンやEVの普及を支えてきた一方、リチウムやコバルトなどの資源が特定地域に偏在し、価格変動や供給網の地政学的リスクが課題となっている。ナトリウムイオン電池はこうした制約を回避できる代替技術として注目され、CATLやBYDなど中国大手電池メーカーを中心に開発が進んできた。近年は米国立研究所や大学の研究機関も参入し、実用化に向けた技術的課題の解決が加速している。

技術的位置づけ

ナトリウムイオン電池の主な課題は、リチウムイオン電池に比べて低いエネルギー密度と、電極界面での溶媒分解によるサイクル寿命の短さである。これに対し、リチウムとナトリウムの両方をキャリアとして活用するデュアルカチオン電池の研究や、電極表面での副反応を抑制する「メタ弱溶媒和電解質」の開発など、性能向上を目指した基礎研究が進められている。また、海水淡水化と蓄電を同時に行う次世代型のナトリウムイオン電池も研究段階にあり、用途は電力貯蔵に限らず広がりを見せている。

主要な動向

2026年5月9日には、米エネルギー省太平洋北西国立研究所の研究チームが、電極界面での溶媒分解を抑える「メタ弱溶媒和電解質」を開発し、サイクル寿命を延ばす成果を報告した。同月20日には、米国がAIデータセンターの電力需要増加に対応するため、2030年までに蓄電池分野に1000億ドル規模の投資を行う方針を発表し、国産バッテリー製造の一環としてナトリウムイオン電池も対象に含まれるとみられる。同月26日には、BYDが2027年に硫化物系全固体電池と1万サイクルのナトリウムイオン電池を組み合わせる「バッテリー二刀流」戦略を明らかにした。

2026年6月に入ると動きはさらに具体化した。6月3日には、リチウムとナトリウムを組み合わせたデュアルカチオン電池の研究成果や、英サリー大学による海水淡水化と蓄電を兼ねる次世代ナトリウムイオン電池の開発が報じられた。6月8日には、CATLとHyperStrongが60GWh規模のナトリウムイオン電池供給契約を締結し、量産技術の確立を示すとともに、CATLとChangan Automobileが世界初のナトリウムイオン電池搭載EVを発表した。さらに6月11日には、GMがスタートアップのPeak Energyと共同でナトリウムイオン電池を用いたAIデータセンター向けグリッドストレージ事業に参入し、2028年の商用化を目指すと発表した。これらの動きは、ナトリウムイオン電池が研究段階から商用インフラへと実用化フェーズに移行していることを示している。

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よくある質問

ナトリウムイオン電池とは何ですか?
ナトリウムイオンを電荷キャリアとして利用する二次電池である。リチウムイオン電池と構造が似ているが、資源として豊富なナトリウムを用いる点が特徴だ。
リチウムイオン電池との違いは何ですか?
エネルギー密度はリチウムイオン電池に劣るが、資源が偏在せずコストが低く、寒冷地での性能や安全性に優れるとされる。地政学的リスクの低減にも寄与する。
どのような用途に使われますか?
EV、送電網規模のグリッドストレージ、データセンターのバックアップ電源、IoTデバイスなどでの活用が検討されており、CATLとChangan AutomobileによるEV搭載例も登場している。
直近ではどのような動きがありますか?
2026年6月にCATLとHyperStrongが60GWh供給契約を締結し、GMもPeak Energyと組んでAIデータセンター向けグリッドストレージ事業に2028年商用化を目指して参入した。
実用化に向けた課題は何ですか?
エネルギー密度の低さと電極界面での溶媒分解によるサイクル寿命の短さが主な課題であり、デュアルカチオン電池や新型電解質の研究で改善が試みられている。

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