Envision Energyは2026年8月6日、中国・内モンゴル自治区ウランチャブで「Envision Galaxy Campus」を開設したと発表した。計画の目を引く数字は、2GWを超える設備容量と、最大100万基のAIアクセラレーターである。だが、100万基は現在の搭載数ではない。6月には建設中だったMission Gobiの初号拠点を始動させ、発電から計算設備までを一つのインフラとして組み上げ始めたことが今回の変化だ。

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100万基は「現在の搭載数」ではない

キャンパスの中核は、延べ床面積12万平方メートルのAIスーパーコンピューティング施設である。Envisionは標準的なサッカー場20面分に相当し、単一建物として世界最大のAIデータセンターだと説明する。だが、同社の発表が示す100万基のAIアクセラレーターと100万PFLOPSは、いずれも「全体完成時」の設計値だ。現在設置済みの台数や計算能力は開示されていない。

性能比較にも留保が要る。Envisionは従来型データセンターの最大10倍の計算出力を1平方メートル当たりで実現するとしているものの、比較対象や測定条件は明らかにしていない。100万PFLOPSについても、演算精度や対象ワークロードの記載がなく、別のAIクラスターと同じ物差しでは比べられない。アクセラレーターのメーカーと機種も未公表である。

数字の大きさより先に、設計上限と現在値を分けて読む必要がある。今回確定したのは拠点の開設であり、100万基の配備完了ではない。

2GWと電力を同時に設計

Galaxy Campusの特徴は、再生可能エネルギーの発電設備、専用送電インフラ、大規模蓄電池を計算負荷と一体で設計した点にある。Envision独自の「AI Power System」が発電と蓄電を制御し、計算設備へ直接電力を送る。計算需要に合わせ、電力設備も最初から組み込む設計である。

なぜ電力側から設計するのか。理由は需要の伸び方にある。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のデータセンターの電力需要は2025年に17%増え、世界全体の電力需要の伸び3%を大幅に上回った。2030年までにデータセンター全体の消費電力は2倍、AI向け施設は3倍になる見通しだ。しかもAI計算は負荷が短時間に大きく変動するため、IEAはオンサイト蓄電池の重要性が増していると指摘する。

再エネ直結だけで安定運転を保証できるわけではない。風力と太陽光の出力変動を吸収するには、蓄電池の出力と容量、送電線の余力、計算負荷を動かせる範囲が効く。Envisionの発表は、この三つの数値を開示していない。2GW超という設計値が、どの段階でどれだけ実負荷になるかも不明である。

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5GW目標の40%に当たる2GW超拠点

Envisionは2026年6月18日、砂漠・乾燥地域にグリーンAIデータセンターを整備する「Mission Gobi」を発表した。目標は2030年までに世界で5GWである。当時の発表で、ウランチャブのGalaxy Campusは建設中とされていた。翌8月、同社は同拠点をMission Gobi初の旗艦プロジェクトとして開設した。

2GW超というGalaxy Campusの最終設計値は、Mission Gobiの5GW目標の少なくとも40%に当たる。これは完成済み容量の比率ではない。それでも、一つの拠点を予定通り増強できるかどうかが、2030年目標の達成を大きく左右する規模である。

この集中は、再エネ資源の豊富な場所へ計算設備を寄せるMission Gobiの考え方を具体化する。一方で、顧客企業、通信網の仕様、段階ごとの運用開始日は示されていない。キャンパスは開設されたが、現在の顧客数や稼働率は不明である。

GPU台数より先に確かめる数字

「グリーンAI」の実効性は、再エネ設備が併設されているかだけでは決まらない。IEAの2025年分析では、2030年までに増えるデータセンター向け電力の半分近くを再エネが賄う一方、40%超は化石燃料が担う見通しである。契約上の再エネ調達と、施設が実際に使う時間ごとの電源構成も区別しなければならない。

Galaxy CampusについてEnvisionは、再エネ発電容量、蓄電容量、時間ごとの再エネ供給率を公表していない。系統電力や非常用電源への依存度、電力使用効率(PUE)も分からない。電力と計算設備を一体設計する構造は明らかになったが、運転実績に基づく環境性能はまだ出ていない。

次の節目は100万基という最終目標そのものではなく、増設の各段階で開示される実装値だ。稼働中のアクセラレーター数とIT負荷に加え、蓄電池のMWh、時間別の再エネ供給率がそろえば、2GW級AI拠点が電力制約をどこまで解けるのかを検証できる。