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Intel 18Aプロセス、NVIDIA・Broadcomなど大手顧客から高評価 – TSMCに先行か

Y Kobayashi

2025年4月26日

Intelの次世代半導体プロセス「18A」の試作品が、NVIDIAやBroadcomなど主要顧客から高い評価を得ている。業界関係者によると検証結果は良好で、Intel Foundry事業の再起と最先端プロセス競争の激化が期待される。

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主要顧客がIntel 18Aをテスト、結果は「良好」

Intelの半導体受託製造部門であるIntel Foundry Services (IFS)が開発を進める18Aプロセス(1.8nm相当)が、業界の注目を集めている。最近のIntelの第1四半期決算説明会でも、外部顧客がASIC(特定用途向け集積回路)設計のテストを行っていると言及された。

台湾メディア工商時報などの報道によると、IntelはNVIDIA、Broadcom、そしてASIC設計企業のFaraday Technology(智原科技)といった複数の大手企業に18Aプロセスの試作チップを提供し、現在評価が進められている段階だ。特にFaraday Technologyは、昨年10月に18Aプラットフォームでのテープアウト(設計完了後の製造工程へのデータ引き渡し)を完了し、その後受け取ったサンプルチップは「順調に接続検証が進んでいる」と報告している。

NVIDIAやBroadcomも現在、製造テストを実施している最中と見られている。さらに、IBMやその他複数のパートナー企業にも18Aの試作品が提供されており、関係者からは「印象的なパフォーマンス」「検証結果は良好」といったポジティブなフィードバックが寄せられているという。これらは、Intel 18Aプロセスが業界の要求水準を満たし、高い関心を集めていることを示唆している。

PowerVia技術で先行、Intel Foundry復活への布石

Intel 18Aプロセスが注目される背景には、技術的な優位性がある。このプロセスでは、Intelが「PowerVia」と呼ぶ裏面電力供給ネットワーク(BSPDN: Backside Power Delivery Network)技術が業界で初めて採用される。これはトランジスタが配置されるウェハー表面とは別に、裏面から電力を供給する技術で、配線層の混雑を緩和し、チップの電力効率や性能、そして集積度(密度)を向上させる効果が期待される。

競合であるTSMCが同様の技術を「A16」プロセスで導入するのは2025年後半と見られており、IntelはBSPDN技術の導入で先行することになる。この技術的アドバンテージが、NVIDIAのような大手チップメーカーの関心を引きつける要因の一つとなっている。

Intel自身も18Aプロセスへの自信を深めているようだ。同社はCPU製品における自社製造比率を70%に高める目標を掲げており、今年後半に登場予定の「Panther Lake」プロセッサーでは、主要な演算部であるコンピュートタイル(Compute tile)に自社の18Aプロセスを採用する計画だ。グラフィックタイルやSoCタイルはTSMCに委託される見込みだが、次世代の「Nova Lake」においても、一部コンピュートタイルはTSMCの2nmプロセスを利用するものの、引き続き自社18Aプロセスを採用するモデルも存在すると報じられている。これは、Intelが「4年間で5つのプロセスノードを実現する」というロードマップを着実に進め、自社ファウンドリの能力に自信を持っていることの表れと言える。

加えて、大手テック企業が地政学的なリスクを考慮し、サプライチェーンの多様化を進める中で、米国に大規模な製造拠点を持つIntel Foundryは、特にNVIDIAのような企業にとって魅力的なパートナーとなり得る。価格競争力も、顧客を引きつける要因の一つと考えられている。

Intel 18Aは、SRAM(キャッシュメモリなどに使われる高速メモリ)のセル密度においてTSMCのN2プロセス(2nm相当)と同等レベルを実現し、Intel自身の既存ノード「Intel 3」からは大幅な性能向上を遂げるとされている。18Aプロセスの真価は、Panther Lakeなどの実際の製品が登場することで明らかになるが、現在の試作品に対する高い評価は、Intel Foundryの本格的な復活と、今後の最先端半導体プロセス競争の行方を占う上で、極めて重要な意味を持つと言えるだろう。


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