ハードウェア情報を発信するJaykihnが、Intelの次世代デスクトップCPU「Nova Lake-S」に12基のXe3Pコアを内蔵する特殊SKUがあると報告した。CPUは4基のPコア、8基のEコア、4基の低消費電力Eコアで計16コアになる。内蔵GPU(iGPU)向けの最大ターボ電力「PL2」は現時点で40W、チップ全体では154Wとされる。Intelはまだ製品仕様を公表していない。ただ、給電回路と共有メモリーがiGPU性能を左右する設計条件は、今回の情報だけでも見えてきた。
40Wと154W、二つのPL2を分けて読む
40Wはチップ全体の消費電力ではなく、iGPU向けに割り当てるPL2だ。Jaykihnは2026年8月9日の投稿で、チップ全体のPL2を154Wと明記した。いずれも「現時点」の値であり、製品版の保証値でも実測消費電力でもない。短時間の負荷で許容する電力上限として読む必要がある。
構成表記は「4P+8E+4LP-E+12 Xe3P」である。前半の合計が16 CPUコア、末尾が12 XeコアのiGPUを指す。Intelの現行デスクトップ向けCore Ultra 200Sは公式資料で最大4 Xeコアなので、リーク通りならXeコア数は3倍になる。ただし、世代やクロック、メモリー条件が異なるため、性能が3倍になるという意味ではない。
154Wはチップ全体のPL2であり、40Wはそのチップに含まれるiGPU向けのPL2だ。対象範囲が重なるため、二つの値はCPU側とGPU側の独立した電力枠として加算できない。実際の持続性能を判断するには、製品版のPL1、冷却条件、CPUとGPUを同時に負荷へかけた際の挙動が必要だ。
2フェーズVCCGTという未確定要件
このSKUは、最大グラフィックス性能を出すために「特定の65W級PDセグメント」と2フェーズのVCCGTを必要とするという。VCCGTはIntelの公式データシートで、プロセッサーグラフィックスを支える動的な電源レールと定義されている。つまり2フェーズという条件は、CPUコア用の主電源回路ではなく、iGPUへ電力を届けるマザーボード側の回路を指す。
65Wという数字はGPUの消費電力ではない。Jaykihnの説明では、指定された電力供給区分から上にも下にも外れるとiGPU性能を犠牲にし、1つの「macro PD segment」に固定される。40WのiGPU向けPL2、154Wのチップ全体PL2とは対象が違う。3つの数字を一つの電力枠として足し引きすることはできない。
条件が製品版にも残れば、同じCPUソケットに装着できても、どのマザーボードでも同じiGPU性能が出るとは限らない。購入者はCPU対応表に加え、VCCGTのフェーズ構成やファームウェアの制限を確認することになる。ただしIntelは、このSKUの互換性、対応チップセット、性能制限の方法を公表していない。
20MB L2は何を解決し、何を解決しないか
GPUのL2キャッシュは20MBとされ、Jaykihnが示したPanther Lakeの12 Xeコア構成の16MBより4MB、率にして25%多い。iGPUは専用VRAMを持たず、CPUとシステムDRAMを共有する。IntelのGPU最適化ガイドによれば、再利用するデータをL2へ保持できればDRAMとの往復を減らせる。キャッシュ容量は帯域を節約する手段になる。
一方で、20MBですべての描画データを収められるわけではない。L2から追い出されたデータを再び必要とすれば転送が増え、経路ごとの帯域上限でGPUが待たされる。12 Xeコアへ40Wを与えて演算能力を高めても、共有メモリーから十分な速さでデータを供給できなければ性能は伸び切らない。
現行Core Ultra 200Sの公式対応は、各メモリーチャネルにつきDIMM 1枚の1DPCで最大DDR5-6400だが、Nova Lake-Sの対応速度は未発表である。20MB L2の効果を見極めるには、キャッシュ容量の比較より、製品版のメモリー速度とチャネル構成、ゲームごとの実効帯域を測る必要がある。
公式資料はどこまで裏づけるか
Intelは2025年1月の決算説明で、Nova Lakeを2026年に導入する計画を明らかにしていた。2026年6月公開のCompute Runtime 26.22でもNova Lakeを対応プラットフォームに載せている。ただし品質区分は「Early support」であり、Intel自身が品質上の期待値を置かない初期対応と定義している。
ソフトウェア側ではもう一歩進んでいる。2026年7月17日公開のoneDNN v3.13は、Nova Lake P向けのXe3p-LPG内蔵GPUに対する性能最適化を明記した。これはNova Lake世代でXe3p-LPGの準備が進む裏づけになるが、今回報告されたNova Lake-Sの12 Xeコア構成を確認する記述ではない。
40Wと20MBという数字だけから実性能を先取りするのは早い。Intelが製品を正式に示せば、12 Xeコアが量産SKUに残るか、2フェーズVCCGTが対応マザーボードをどこまで限定するか、共有DRAMでどの性能を出せるかが検証可能になる。価格と対応ボードを含むプラットフォーム総額が明らかになって初めて、このCPUがディスクリートGPUを使わないデスクトップの現実的な選択肢か判断できる。



