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AMDの次世代Threadripper 9000シリーズの発表が間近か?

Y Kobayashi

2025年3月22日

AMDの次世代ハイエンドデスクトップおよびワークステーション向けプロセッサ「Ryzen Threadripper 9000シリーズ」の登場が迫っている。国際物流データベースの出荷記録から、最新の「Zen 5」アーキテクチャを採用した複数のモデルの存在が確認された。16コアから96コアまでの強力なラインナップが準備されているようだ。

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出荷記録から明らかになった新型Threadripperの詳細

Shimada Peak」というコードネームで開発が進められているAMD Ryzen Threadripper 9000シリーズ。そのエンジニアリングサンプルが業界検証のために各所に配布されている様子が、Global Trade Data and Customs Databaseの記録から明らかになった。確認されたモデルは、32コア/64スレッドの「Ryzen Threadripper Pro 9975WX」と24コア/48スレッドの「Ryzen Threadripper 9965WX」の2種類である。

これらのプロセッサは共に熱設計電力(TDP)が350Wとなっており、現行のRyzen Threadripper 7000シリーズと同等の値を維持している。この仕様は、適切なファームウェア更新を前提に、既存のマザーボードプラットフォームとの互換性を確保する狙いがあるものと考えられる。

AMDは次世代Threadripperに関して強力な情報統制を敷いており、昨年11月以降目立った情報開示がないのが現状だ。しかし、今回の出荷データでの新モデル確認は、正式アナウンスが間近に迫っていることを強く示唆している。

最大96コア搭載の全ラインナップ予測と技術詳細

これまでに漏洩した情報と今回の出荷データを組み合わせると、Ryzen Threadripper 9000シリーズは以下のようなラインナップ構成になると予測される:

  • Ryzen Threadripper 9995WX:96コア/192スレッド、TDP 350W
  • Ryzen Threadripper 9985WX:64コア/128スレッド、TDP 350W(製品ID:100-000001593-40)
  • Ryzen Threadripper 9975WX:32コア/64スレッド、TDP 350W(製品ID:100-000000723-00)
  • Ryzen Threadripper 9965WX:24コア/48スレッド、TDP 350W(製品ID:100-000000724-00)
  • Ryzen Threadripper 9955WX:16コア/32スレッド、TDP 350W

これらのプロセッサは全て最新の「Zen 5」マイクロアーキテクチャを基盤としていると報告されている。Zen 5のコアコンプレックスダイ(CCD)は8コアと32MBのL3キャッシュを1ユニットとして構成されているため、16コアモデルは2基のCCD、32コアモデルは4基のCCD、64コアモデルは8基のCCD、そして最上位の96コアモデルは12基のCCDと合計384MBという膨大なL3キャッシュを搭載することになる。

また、WXシリーズのThreadripperは8チャネルDDR5メモリインターフェースと128レーンのPCIe Gen 5接続を提供する見込みとされている。これにより、大容量メモリと多数の高速ストレージやアクセラレーターカードを接続できる拡張性が確保される。

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プラットフォーム互換性と市場への影響

これまでの情報から、新型ThreadripperはLGA-4844パッケージを採用していることが報告されているが、出荷記録では「SP6」ソケットと記載されている。とは言え、これは厳密には正確ではないようだ。AMDのSP6(EPYC用)とsTR5(Threadripper用)ソケットは物理的な形状とピン数は同一だが、電気的な仕様が異なるため互換性がない。Ryzen Threadripper Pro 9000シリーズは引き続きsTR5ソケットを使用する見通しだ。

AMDはまだThreadripper 9000シリーズについて公式発表を行っておらず、発売時期や価格は明らかになっていない。ただし、エンジニアリングサンプルが国際物流の記録に登場したことから、正式発表は近いと予想される。

過去のリークから3D V-cacheを搭載したバージョンが登場する可能性も報告されている。一方で、最大コア数が96コアに設定されていることから、より電力効率に優れた「Zen 5c」アーキテクチャベースのプロセッサは今回のラインナップには含まれない可能性もある。

次世代Threadripperの登場は、プロフェッショナル向け市場において、インテルのXeon W-3400シリーズとの競争を一層激化させることになるだろう。クリエイターやエンジニアにとって、高性能コンピューティング環境の選択肢がさらに充実することになる。


Sources

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