多くのプロフェッショナルユーザーやガジェット愛好家がその登場を心待ちにしている、ロジクール(Logitech)のフラッグシップマウスシリーズ「MX Master」。その最新モデルと目される「MX Master 4」に関する情報が、ここに来て急速に具体性を増してきた。ブラジルの規制当局による認証取得という確かな動きに加え、ロジクール自身の公式SNSアカウントから“うっかり”漏れ出たとされる製品画像が、世界中のファンの期待をいやが応にも高めている状況だ。果たして、MX Master 4は我々にどのような進化を見せてくれるのだろうか。
ブラジル当局が認証、MX Master 4の「型番MR0118」が公に
今回のMX Master 4登場の噂に大きな信憑性を与えているのが、ブラジルの国家電気通信庁(Anatel)による製品認証である。Anatelは、ブラジル国内で無線通信機器を販売する際に必要となる認証を行う機関であり、米国の連邦通信委員会(FCC)に相当する存在だ。

ブラジルのテクノロジー系ニュースサイト「Tecnoblog」が報じたところによると、「MR0118」というモデル番号のロジクール製デバイスが、2025年5月9日付でAnatelの認証を通過したという。 この認証文書には、製品名として「MX Master 4」と明記されており、これが次期フラッグシップマウスであることの強力な裏付けとなっている。 認証はBluetooth接続機能に関連するもので、「制限放射トランシーバー」のカテゴリで承認されたとのことだ。
この認証取得は、MX Master 4が製品として完成し、市場投入に向けた準備が最終段階に入っていることを示唆していると言えるだろう。
公式からの“ポロリ”? リーク画像が示唆するデザイン変更点とは
認証情報と並んで注目を集めているのが、ロジクールの公式Instagramアカウントで一時的に公開されたとされるMX Master 4の製品画像だ。この画像は、すぐに削除されたものの、複数のユーザーによってキャプチャされ、大手掲示板サイトRedditなどで拡散された。 ロジクール側から法的な削除要請があったとの情報もあり、これが誤って公開された本物のマーケティング素材である可能性を強めている。
リークされた画像から、現行モデル「MX Master 3S」からのデザイン変更点がいくつか浮かび上がった。
サイドスクロールホイールとプライマリボタンの刷新か

最も顕著な変化として挙げられているのが、本体側面に搭載されているサムホイール(サイドスクロールホイール)の位置だ。現行モデルのMX Master 3Sと比較して、MX Master 4ではこのサムホイールがわずかに前方に、そして若干上方に移動しているように見えるという。 この変更が、より自然な親指での操作を可能にするためのエルゴノミクス的改善なのか、あるいは内部構造の変更に伴うものなのかは現時点では不明だが、操作感に影響を与える可能性は高い。

また、メインの左右クリックボタンのデザインにも手が加えられているようだ。MX Master 3Sでは、中央のMagSpeed電磁気スクロールホイールの基部によって左右のクリックボタンがある程度分断されたデザインだったが、リーク画像からは、MX Master 4ではこの基部の主張が抑えられ、左右のクリックボタンがより大きな面積を占めるようになっていると推測されている。 これにより、クリック感の向上や、より多様な手の大きさや握り方への対応が期待できるかもしれない。
半透明デザインの噂も – 単なるエフェクトか、新トレンドの兆しか
TecnoblogがRedditユーザーの指摘として紹介している興味深い点に、クリックボタンが半透明である可能性が挙げられている。 リーク画像では、ボタン部分がやや透けて見えるような描写がされており、これが90年代後半から2000年代初頭にかけて流行したスケルトンデザインの再来を思わせるとの声もあるようだ。
しかし、これは単なる画像レンダリング上の光の反射やエフェクトである可能性も十分に考えられる。 もし本当に半透明素材が採用されるのであれば、デザイン上の大きなアクセントとなることは間違いないが、耐久性や汚れの目立ちやすさといった実用面での影響も気になるところだ。
現時点ではあくまでリーク画像からの推測に過ぎないが、これらの変更点が事実であれば、MX Master 4は現行モデルの優れた基本性能を継承しつつ、より洗練されたエルゴノミクスとデザイン性を追求したモデルとなるのかもしれない。
MX Masterシリーズとは – プロが愛する理由と進化の系譜
ロジクールのMX Masterシリーズは、特にクリエイターやプログラマーといったプロフェッショナルユーザーから絶大な支持を得ている製品ラインだ。その理由は、長時間の使用でも疲れにくいエルゴノミックデザイン、多彩なカスタマイズが可能なボタン配置、そして複数のデバイスをシームレスに切り替えられるFlow機能などに集約されるだろう。
初代MX Masterの登場以来、シリーズは着実に進化を遂げてきた。特にMagSpeed電磁気スクロールホイールは、高速回転時にはフリースピンモードで長大な文書やウェブページを一瞬でスクロールし、低速回転時にはラチェットモードで精密なコントロールを可能にするという画期的な機能で、多くのユーザーを虜にしてきた。現行のMX Master 3Sでは、クリック音の静音化やセンサー解像度の向上(最大8000DPI)といったブラッシュアップが図られている。
MX Master 4がこれらの優れた特徴をどのように継承し、そして発展させていくのか。単なるスペック向上に留まらない、ユーザー体験の本質的な進化が期待されるところだ。
発売は目前か?認証とリークが物語るロジクールの戦略
ブラジルでの認証取得、そして公式アカウントからと思われるマーケティング画像のリーク。これらの状況証拠は、MX Master 4の正式発表と発売が間近に迫っていることを強く示唆している。 企業が新製品の認証を取得するのは通常、発売に向けた最終準備段階であり、マーケティング素材が用意されているということは、製品発表のタイミングを見計らっている状態と考えるのが自然だろう。
もちろん、ロジクールからの正式なアナウンスがあるまでは全てが憶測の域を出ない。しかし、MX Masterシリーズの製品サイクルや、ホリデーシーズンなどの販売戦略を考慮すると、今後数週間から数ヶ月以内に何らかの動きがある可能性は高いのではないだろうか。
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