Meta Platformsが2026年7月29日に発表した4〜6月期決算で、フリーキャッシュフローは前年同期比90.8%減の7.84億ドルまで縮んだ。営業活動で318.62億ドルを稼いだ一方、サーバーやデータセンター、ネットワークに310.78億ドルを投じたためである。純利益も14%減った。ただし、利益の減少と設備取得の現金支出は、同じ原因から同時に生じたわけではない。法務費と人員削減費を切り分け、広告事業が生む収益とインフラ取得の現金流出を分けると、AI投資を回収するまでの時間軸が見えてくる。

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310.78億ドルが営業キャッシュの97.5%を吸収

4〜6月期の営業キャッシュフローは前年同期から24.7%増えた。それでも、設備投資は82.7%増とさらに速く膨らみ、営業キャッシュのほぼ全額を使った。Metaが開示する設備投資には、有形固定資産の取得301.16億ドルとファイナンスリース元本の支払い9.62億ドルが含まれる。

期間 営業キャッシュフロー 設備投資 フリーキャッシュフロー
2025年4〜6月期 255.61億ドル 170.12億ドル 85.49億ドル
2026年1〜3月期 322.26億ドル 198.40億ドル 123.86億ドル
2026年4〜6月期 318.62億ドル 310.78億ドル 7.84億ドル

営業キャッシュを生む力が前四半期から崩れたわけではない。変わったのは設備を取得する速度である。上期累計のフリーキャッシュフローは131.70億ドルで、前年同期比では30.3%減ったものの、四半期の7.84億ドルより大きい。単一四半期の数字には建設やサーバー納入の時期が強く表れる。

もう一つ注意が要る。Meta自身が、同社のフリーキャッシュフローは「自由に使える残余資金」を示すものではないと注記している。4〜6月期の営業キャッシュフローには、株式報酬76.58億ドルと減価償却費63.56億ドルという非現金費用の足し戻しが入る。未払費用などの増減も営業キャッシュを59.33億ドル押し上げた。7.84億ドルは設備取得後に残ったフリーキャッシュフローを表すが、営業キャッシュフローの恒常的な水準や手元流動性を一つで示す数字ではない。

利益14%減の主因は一つではない

売上高は28%増の608.01億ドルに伸びたが、費用は55%増の420.26億ドルとなった。営業利益は8%減の187.75億ドル、営業利益率は前年同期の43%から31%へ下がった。実効税率も11%から16%へ上がり、純利益は158.48億ドルに減った。

費用には、訴訟など法的手続きに伴う24億ドルと、2026年5月の人員削減に伴う11.8億ドルが含まれる。両者を機械的に足し戻した営業利益は223.55億ドルとなり、前年同期を9.4%上回る。Metaも同じ調整では営業利益が9%増えたと説明した。したがって、純利益14%減をAI設備投資の結果とみなすのは正確ではない。

ただし、一時費用を除いても費用は前年同期から42%増える。研究開発費は67%増の216.56億ドルに達した。研究開発費のすべてがAI向けではないが、CFOのSusan LiはAI人材を中心とする技術者報酬が増えたと説明した。減価償却とデータセンター運営費も膨らみ、外部クラウドや第三者AIトークンの費用も増えたという。株式報酬は58%増、減価償却費も46%増である。AIと中核事業を支える設備支出は、設備を買った時点ではフリーキャッシュフローを減らし、稼働後は減価償却として利益率を押し下げる。高給の技術者を株式報酬で採用すれば、利益には直ちに費用が出る一方、営業キャッシュフローでは非現金費用として足し戻される。この時間差が、利益と現金の見え方をずらしている。

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広告AIは稼ぎ始め、新規事業は回収前

Metaの4〜6月期売上高の97.6%は広告だった。広告表示回数は14%増え、広告単価は12%上昇した。Instagramの利用時間は世界全体で2桁増となり、Facebookの動画視聴時間も9%伸びた。既存サービスに投入したAIは、利用時間と広告在庫、広告効果を通じて投資を回収する経路を持つ。

Metaは、その効果を製品単位でも示している。Facebookでは、利用者理解モデルと広告ランキングモデル「GEM」の改善により、広告クリックが8.3%、コンバージョンが15.7%増えたという。InstagramでLLMを使って利用者の好みを捉えた初期試験では、アプリ内イベントのコンバージョンが1%増えた。AIを組み込んだ広告製品「Advantage+」は年間売上高換算で750億ドルを超え、生成AIの広告制作ツールを使う小規模事業者は900万社を超えた。いずれもMetaが報告した製品指標であり、608.01億ドルの四半期売上高のうち、AIだけが生んだ金額を監査済みの区分として示すものではない。それでも、AIが中核広告事業の改善に使われ、収益へ届く経路が存在することは確認できる。

広告外の回収経路は、まだ立ち上がったばかりだ。WhatsAppMessengerで「Meta Business Agents」を毎週使う企業は100万社を超えた。経営陣はサブスクリプションと利用量課金を挙げ、成果報酬も想定する。モデルAPIに加え、計算資源の直接販売も収益候補だ。取得価格より大幅に高い価格で計算資源を借りたいという引き合いがあるとも説明した。しかし、これらは独立した重要事業として売上高が開示される段階には達していない。現在の投資を支えるのは、なお広告である。

下期790.82億〜940.82億ドルをどう賄うか

Metaは2026年の設備投資見通しを1,300億1,450億ドルとし、従来予想の下限を50億ドル引き上げた。2025年実績の722.15億ドルから80〜101%増える計算だ。上期に投じた509.18億ドルを差し引くと、7〜12月だけで790.82億940.82億ドル、四半期平均では395.41億470.41億ドルを使う必要がある。4〜6月期の310.78億ドルは、投資の頂点ではない。

資金配分はすでに変わった。Metaは4〜6月期に249.10億ドルの長期債を発行し、長期債務は2025年末から42%増の836.64億ドルとなった。現金・現金同等物・市場性有価証券は902.62億ドルある。一方、2026年上期の自社株買いはゼロで、前年同期には229.21億ドルを投じていた。会社側は自社株買いの停止と設備投資を直接の資金振替として説明していないが、今上期は株式の買い戻しに現金を使わず、設備投資を前年同期から増やした。

外部資本も使う。MetaとBlackRockは、テキサス州エルパソの1ギガワット級データセンターを約140億ドルで開発する共同事業を設けた。BlackRock側が80%、Metaが20%を保有し、125億ドルの債務調達も組み合わせる。Metaは建設費全額を自社で先払いせずに済む一方、完成後は全施設を当初4年間借りる。さらにMetaは4回の延長オプションを持ち、すべて行使すれば利用期間は合計20年になる。

残価保証も無条件の130億ドル債務ではない。保証は当初16年間が対象で、基準額は約130億ドルから時間とともに下がる。所定の条件を満たした時点で施設の公正価値が基準額を下回れば、Metaが差額を上限として支払う仕組みだ。外部資本は当初の資金負担を分散するが、リースの初期義務と条件付きの残価リスクはMetaに残る。

Metaは2026年の営業利益が2025年を上回るとの見通しを維持した。この見通しと設備投資計画を同時に達成すれば、広告事業が当面の建設資金を支える力は確認できる。ただし、それだけで長期の投資回収が証明されるわけではない。7〜12月の設備投資と営業利益に加え、API・Business Agents・計算資源販売が生む売上、2028年以降の設備稼働率、減価償却とリース費用まで追う必要がある。