NVIDIAは2026年9月4日13時(日本時間)、DLSS 5をNBA 2K27で提供する。3月の初公開ではGeForce RTX 5090を2枚使っていたニューラルレンダリングが、半年後にはRTX 50シリーズの全デスクトップGPUとノートGPUで動く製品機能になる。NVIDIAはモデルの処理性能を5倍に高めたと説明し、RTX 5090で最大797fpsという測定値も示した。ただし、この二つの数字は同じ性能向上を表していない。

5倍は初期モデルに対する処理速度の改善であり、797fpsは超解像と6倍のMulti Frame Generation(マルチフレーム生成)を重ねた後の表示値だ。DLSS 5のニューラルレンダリング自体は、報道陣向け説明によるとフレームレートを約50〜60%下げ得る。RTX 50全機種へ広がった意味をつかむには、生成された表示フレームを含む数字と、ゲームが実際に描くフレームの頻度を分けて読む必要がある。

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3月の2枚構成から全RTX 50へ

 

DLSS 5を有効にするGame Ready Driverは、米太平洋時間9月3日21時に公開される予定だ。NBA 2K27の設定画面で「DLSS Neural Rendering」をオンにすると使えるようになり、プレイ中やリプレイではF9キーで切り替えられる。対象はGeForce RTX 50シリーズのデスクトップとノートに加え、GeForce NOW Ultimateだ。クラウド側ではNVIDIAが運用するRTX 5080搭載環境が処理を担う。

3月の発表時点でNVIDIAが示したのは、最大4Kでリアルタイム動作を目指す技術デモと「秋に提供する」という予定だった。今回、同社は初期デモの2枚のRTX 5090から単一GPUへ減らし、6か月でモデルの処理性能を5倍に向上させたと説明している。パイプラインの最適化とニューラルモデルの改良を重ねた結果であり、ゲームのフレームレートが3月比で5倍になったという意味ではない。

提供開始時のネイティブ対応作はNBA 2K27だけだ。NVIDIAは今後数週間から数か月で対応作を増やすとしているが、個別の配信日は明らかにしていない。RTX 40シリーズ以前も公式対象には含まれない。流出したランタイムを旧世代GPUや別作品で動かす非公式実験と、開発元が画質を調整した製品版は分けて評価すべきである。

797fpsの内訳、表示値を6で割ると見える余裕

NVIDIAの自社測定は、NBA 2K27をUltra設定、レイトレーシング有効で動かし、DLSS 5と6X Multi Frame Generationを併用している。CPUはRyzen 7 9800X3D、メモリーは64GB、OSはWindows 11 x64だ。1080pと1440pではSuper ResolutionのQuality、4KではPerformanceを使うため、解像度をまたいだ画質条件はそろっていない。

解像度 GPU NVIDIAの表示fps 表示fps÷6の概算
1080p RTX 5090 797 約133fps
1080p RTX 5080 602 約100fps
1080p RTX 5070 Ti 530 約88fps
1080p RTX 5070 386 約64fps
1080p RTX 5060 Ti 325 約54fps
1080p RTX 5060 258 約43fps
1440p RTX 5090 594 約99fps
1440p RTX 5080 413 約69fps
1440p RTX 5070 Ti 353 約59fps
1440p RTX 5070 262 約44fps
4K RTX 5090 370 約62fps
4K RTX 5080 233 約39fps

NVIDIAの6倍マルチフレーム生成込み表示fpsを6で割ると、MFG動作中の実描画フレーム相当の頻度は1080pで約43〜133fps、1440pで約44〜99fps、4Kで約39〜62fpsとなる。最大797fpsはゲームが797フレームを毎秒描画した値ではない。

この概算は、6X Multi Frame Generationが実描画1フレームにつき最大5フレームを生成し、合計6フレームを表示する仕様に基づく。たとえばRTX 5090の4Kは370÷6で約62fps、RTX 5080は233÷6で約39fpsとなる。フレーム生成にも処理負荷があるため、機能を切った実測fpsは概算より高くなる可能性がある。それでも、4Kの表にRTX 5070 Ti以下が載らず、RTX 5080の概算が40fpsを下回ることから、全RTX 50対応と各解像度で十分な実描画の余裕があることは同義でない。

表示fpsは操作応答の速さとも一致しない。生成フレームは動きを滑らかに見せるが、ゲーム入力を受けて新しい場面を描く頻度を6倍にはしない。NVIDIAの表はDLSS 5、超解像、マルチフレーム生成を組み合わせた最終出力の例としては有用だが、ニューラルレンダリング単体の費用を切り出す比較には使えない。

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生成した画質を誰が決めるのか

DLSS 5が従来のDLSSと違うのは、低解像度画像の再構成や中間フレームの生成に加え、照明と素材の見え方を新たに作る点だ。3D-Guided Neural Rendering(3D情報を利用するニューラルレンダリング)は、ゲームエンジンが描いたフレームを固定の基準にする。色、表面の反射率、照明情報、法線を読み、人物や素材、光源の関係を推定する。テキスト指示から場面そのものを作る動画生成とは処理の出発点が異なる。

時間方向の一貫性には、ゲーム側のモーションベクトルを使う。NVIDIAによれば、複数フレームをまとめて生成するのではなく、1フレーム入力・1フレーム出力で処理し、同じ入力には一貫した出力を返すよう設計した。これにより皮膚の表面下散乱、髪を透過する光、物体が接する部分の影を補う。ただし、ちらつきや人物の見え方が動きの中でも安定するかは、製品版で確認すべき主張である。

開発者側には複数のモデルが用意され、場面ごとに選べる。Structure Intensity(構造表現の強度)は反射や細かな陰影を調整し、Tone Intensity(色調表現の強度)は広い範囲の照明と色の反応を変える。さらに、意味分類に基づくマスクで人物と背景への効かせ方を分け、エンジン側のマスクでガラス、水滴、植物など特定の対象だけを指定できる。プレイヤーに見える基本操作がオン・オフだけでも、その裏では開発者が適用先と強さを決めている。

NBA 2K27でVisual Conceptsが狙ったのは、実在選手から取得した顔の形を保ちながら、肌、髪、ユニフォームへ当たる光を整えることだ。PCWorldは報道陣向け実演で、手に落ちる影や肌とユニフォームの接触が自然になった一方、人物が動き始めるとアニメーションの不自然さが目立ったと評した。写実的な素材表現が進むほど、骨格の動きや表情など別工程の弱点が見えやすくなる。画質の向上は、ゲーム全体の写実性を自動的にそろえるわけではない。

50〜60%の負荷を独立測定できるか

WccftechとPCWorldが参加した説明で、NVIDIAはDLSS 5単体がゲーム、場面、解像度に応じてフレームレートを約50〜60%下げ得るとした。DLSS 5はSuper Resolution、Multi Frame Generation、Ray Reconstructionとは独立して動かせるが、実際の製品デモでは前二者が負荷を補っている。従来のDLSSが「軽くしてfpsを増やす」印象を作ってきたのに対し、DLSS 5はGPU時間を画質生成へ振り向ける機能である。

遅延の中身も分けて考える必要がある。NVIDIAは、DLSS 5が次のフレームを待たないため、Frame Generationのような系統的な待ち時間は加えないと回答した。一方で、現在のフレームにニューラルモデルを適用する処理時間は残る。マスクの数や選んだモデルによって本体の負荷は変わらないというが、ゲーム側がマスク用バッファーを作る費用は別に発生し得る。

公開された性能表には、超解像とマルチフレーム生成を切り、同じ場面でDLSS 5だけをオン・オフした値がない。50〜60%という説明を確かめるには、9月4日のドライバー公開後に、同一解像度と同一画質で実描画fps、フレーム時間、システム遅延を測る必要がある。静止画に加え、カメラ移動や人物の表情が続く場面で時間方向の安定性も比べなければならない。

DLSS 5の製品化で確定したのは、2枚の最上位GPUを使う研究展示から、RTX 50シリーズ1枚で動く機能へ進んだことだ。画質と負荷の釣り合いが取れたかは、まだ自社測定だけでは決まらない。同じ設定のオン・オフ測定が複数のゲームとRTX 50各機種で再現できたとき、5倍のモデル改善がプレイヤーにどこまで届いたかを判断できる。