NVIDIAのWindows向けSoC「RTX Spark」に、18コアCPUと5,120コアGPUを組み合わせた試作構成が現れた。2026年8月7日付のGeekbench 7には、公式仕様に近い20コア/6,144コア構成と並び、これまでNVIDIAが明らかにしていなかった縮小版が登録されていた。2件はすでに閲覧できないが、掲載された結果画面にはコア構成、動作周波数、64GBメモリまで記録されている。性能競争の順位より先に見えてきたのは、NVIDIAがCPUとGPUの両方を絞ったRTX Spark構成を試している可能性だ。

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18コアと5,120 GPUコアが示す二段構成

20コア側の識別名は「NVIDIA RTX Spark N1X (6144-core GPU, 20-core CPU)」で、CPUは10コアずつの2クラスター、基準周波数は4.00GHzだった。Windows 11 Proを載せた試作機がGeekbench 7.0.0を実行し、シングルコア2,570、マルチコア23,126を記録している。電源プランはBalanced、メモリは64GBである。

もう一方は「NVIDIA RTX Spark N1X (5120-core GPU, 18-core CPU)」と認識されていた。CPUクラスターは10コアと8コアに分かれ、基準周波数は3.90GHz。Windows 11 Enterprise上で、シングルコア2,541、マルチコア21,776となった。こちらもBalanced設定と64GBメモリを使っている。

NVIDIAが5月31日に発表したRTX Sparkの公式仕様は、20コアGrace CPU、6,144 CUDAコアのBlackwell RTX GPU、最大128GBの統合メモリを掲げる。製品ページではCPUを「最大20コア」、メモリを「最大128GB」と表記している。18コア版は未発表だが、ベンチマークの識別名どおりならCPUを10%、GPUを16.7%減らした構成になる。つまりNVIDIAがCPUとGPUの両方を絞った下位構成を試している可能性がある。

ただし、識別名はファームウェアやソフトウェアからGeekbenchへ渡される情報でもある。NVIDIAは18コア版を製品化するか、どの名称と価格で売るかを公表していない。消費電力も不明だ。現段階で確定しているのは、少なくとも試験中のWindows機がこの構成名を報告したことまでである。

20コアを10%減らしてもマルチは5.8%減

2件の内部比較では、18コア版のシングルコア性能は20コア版を1.1%下回った。基準周波数の差は2.5%で、1本の処理を担うコアの構成が大きく変わらないなら、近い点数になること自体は不自然ではない。一方、マルチコアは5.8%低い。CPUコア数の減少幅である10%より点差は小さく、少なくともこの実行では18コア側も並列性能を保っていた。

Tom's Hardwareの記事には注意すべき誤記もある。本文は18コア版の21,776を20コア版より「約6%高速」と説明したが、同じ記事の表はマイナス5.84%と記載している。23,126との差を計算しても、18コア版が5.84%遅い。製品版の優劣を論じる前に、比較の向きを正しく読む必要がある。

とはいえ、2台は同一条件ではない。仮のOEM名が異なり、Windowsのエディションも違う。筐体の冷却能力、CPUの電力上限、バックグラウンド処理も分からない。GPUコアを減らした影響はCPUテストの点数からは判断できず、AI推論や制作、ゲーム性能は別の測定を待たなければならない。

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なぜ単発スコアで市場順位は決まらないのか

Geekbench 7は7月23日に公開されたばかりで、映像・音声処理やゲーム物理などのワークロードを更新した。マルチコアテストも変わり、実際のアプリで並列化される処理だけをマルチスレッドで走らせる。したがって、旧版のGeekbench 6で測ったRTX Spark試作機との点差を、そのままドライバー改善の成果とはみなせない。

Geekbench Browserのプロセッサーチャートは、ユーザーが投稿した結果を集計し、少なくとも5件の固有結果があるCPUだけを掲載する。今回のRTX Sparkは各構成1件で、結果ページも現在は404を返す。20コア版が特定のIntelやAMD製モバイルCPUを上回ったという比較は、その実行については成立しても、平均性能や再現性までは保証しない。

単発の試作機テストから読めるのは、出荷性能の順位ではなく構成差だ。18コア版の存在を検討する材料としては強いが、量産機の購入判断へつなげるには、同じGeekbench 7、同じ電力条件、複数回の測定が欠かせない。

秋の製品で確かめる三つの条件

NVIDIAはRTX Spark搭載ノートPCと小型デスクトップを2026年秋に投入するとしている。ASUS、Dell、HPが初期製品を用意する。Lenovo、Microsoft Surface、MSIも同時期に加わり、AcerとGIGABYTEが続く予定だ。公式発表は20コアCPUと最大128GBメモリを前面に出す一方、今回の2台はいずれも64GBだった。メモリ容量も製品階層の一部になる可能性がある。

量産機では、まず18コア/5,120 GPUコア構成が実際のSKUとして残るかを確認したい。次に、20コア版との価格差と電力枠が分かれば、5.8%というマルチコア差の意味を判断できる。最後に、同一筐体でCPU、GPU、AI処理を反復測定すれば、どの処理で性能差が出るかを切り分けられる。三つの条件が揃って初めて、18コア版が性能と価格の選択肢を広げるかを判断できる。