Samsung Electronics(以下、Samsung)がHBM4と次世代のHBM4Eを2027年に少なくとも2倍へ増産するとの観測が浮上した。Seoul Economic Dailyは2026年9月20日、半導体業界関係者の話として、SamsungがHBM工程で使うガラスキャリアの外部委託洗浄を月2万枚から5万枚へ増やす計画だと報じた。ただし、月5万枚はSamsungが公表した完成品の生産目標ではない。大きな数字が示すのは増産へ向けた工程の動きであり、実際のHBM4系列の出荷量を読むには、ウェハー投入量と製品構成、歩留まりを分けて考える必要がある。

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2027年の増産観測を組み立てる三つの数字

Seoul Economic Dailyの独自報道に現れる最初の数字は、洗浄を外部委託するガラスキャリアの枚数である。2025年は月1万枚、2026年は月2万枚だったとされ、2027年には月5万枚へ増える見通しだ。2026年比で2.5倍、2年間では5倍になる。

ガラスキャリアは、HBM用DRAMウェハーを薄く研削・加工するときに裏面へ一時的に貼り合わせ、反りや破損を抑える支持体だ。加工後に剥がし、洗浄して再利用する。積層数が増えるHBMでは、決められたパッケージの厚みに収めるため個々のDRAMダイを薄くする必要があり、キャリアを使う工程の活動量は増産準備を映しやすい。

同じ報道は、SamsungのHBM全体に対する平均月間ウェハー投入枚数が、2026年の約18万枚から2027年には約25万枚へ増えるとの業界予測も伝えた。増加幅は7万枚で、率にすると約38.9%である。さらに、全HBM出荷に占めるHBM4とHBM4Eの構成比は、約40%から約80%へ上がるという。こちらは40ポイントの上昇であり、構成比としては2倍だ。

三つの数字はいずれも増産の方向を指している。しかし、同じものを測ってはいない。洗浄枚数は支持体を扱う工程の活動量、ウェハー投入枚数はHBM全体の前工程投入量、80%は完成品出荷に占める新世代品の割合である。

2.5倍でも完成品2.5倍とは言えない

ガラスキャリアの外部委託洗浄枚数は2026年の月2万枚から2027年に月5万枚へ2.5倍になる見通しだが、HBM全体のウェハー投入枚数は月18万枚から25万枚へ約38.9%増、HBM4系列の出荷構成比は約40%から80%へ40ポイント上昇という別指標である。再利用回数、工程投入方法、歩留まりが非公開なため、どの数字も単独では完成品出力の倍率にならない。

指標 測っている工程・分母 2026年 2027年見通し 変化と読める範囲
外部委託するガラスキャリア洗浄枚数 再利用する支持体の外注洗浄回数 2万 5万 2.5倍。工程の活動拡大は示すが、良品スタック数へ換算できない
HBM用ウェハー投入枚数 SamsungのHBM全体に対する平均月間投入量 18万 25万 約38.9%増。前工程の総投入量であり、HBM4系列だけの数字ではない
HBM4系列の出荷構成比 全HBM出荷に占めるHBM4とHBM4Eの割合 約40% 約80% 40ポイント上昇。出荷の製品構成を示し、ウェハー枚数とは分母が異なる
製品段階 Samsungが公式に確認した状態 HBM4は量産・商用出荷済み、HBM4Eはサンプル出荷済み HBM4Eの量産日は未公表 生産準備と顧客へ出荷できる良品量の間に、最適化と顧客日程が残る

たとえば同じキャリアを洗浄して使う回数が増えれば、洗浄枚数は新品のキャリア数より速く増える。外注する比率を変えただけでも、この指標は動く。反対に、ウェハー投入が増えても歩留まりが下がれば、出荷できる良品の伸びは投入量を下回り得る。報道元も、キャリアの使用量は工程への投入方法と歩留まりで変わると留保している。

したがって、月5万枚は無意味な数字ではない。SamsungがHBM4系列の工程を大きく動かそうとしている兆候にはなる。ただし、キャリア1枚を何回使い、何枚のウェハーを処理し、そのうち何個が良品になるかが分からない以上、「完成品が2.5倍になる」という換算係数にはならない。

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18万枚から25万枚へ、総量より大きい製品構成の転換

HBM全体の月間投入量が18万枚から25万枚へ増えるとの予測は、HBM全体のウェハー投入量が約38.9%伸びる方向を示す。一方、HBM4系列の出荷構成比は約40%から80%へ上がる見通しだ。2027年の変化は総量の拡大に加え、旧世代からHBM4とHBM4Eへ生産・出荷の重心を移す動きとして読む方が実態に近い。

ここで25万枚に80%を掛け、HBM4系列の投入量を月20万枚と見積もることはできない。25万枚の分母はウェハー投入、80%の分母は完成品出荷である。製品ごとにダイの容量、積層数、良品率が異なれば、1枚のウェハーから得られるスタック数も変わる。Samsungは製品別の投入枚数や良品数を開示していない。

Samsung自身は2026年2月、同年のHBM売上高が2025年比で3倍を超えるとの見通しを示した。これも出荷量の3倍とは限らない。売上高には販売価格と高付加価値品への構成転換が効くためだ。洗浄2.5倍、売上3倍超、投入量38.9%増を一つの増産率として束ねると、どの工程がどれほど増えるのかを見失う。

HBM4は量産済み、HBM4Eはサンプル段階

HBM4については、Samsungが2026年2月12日に量産と顧客への商用出荷開始を発表している。12層品は24〜36GBで、安定動作速度は11.7Gbps、最大13Gbps。第6世代の10nm級DRAM「1c」と4nmプロセスのロジックベースダイを組み合わせる。16層では最大48GBまで拡張する計画も示した。

HBM4Eの位置は異なる。Samsungは5月29日、主要な世界顧客に12層48GB品のサンプルを出荷したと発表した。安定動作は14Gbps、最大16Gbpsで、単一スタックの帯域幅は最大3.6TB/sとする。一方、量産はサンプル出荷と顧客向け最適化の後、顧客の日程に合わせて始めるとの説明にとどまり、固定した開始日は公表していない。サンプル出荷は顧客認定の完了や量産出荷の開始と同義ではない。

この段階差は2027年予測の不確実性に直結する。HBM4には既存の量産実績があり、設備の増強を出荷へつなげる経路がすでに動いている。HBM4Eでは、量産能力を用意しても顧客側の評価と日程を通過しなければ商用出荷にならない。Samsungは2026年第2四半期決算でも、能力が限られる中でサーバー向け製品を優先し、HBM4販売を拡大したと説明した。増産に取り組んだ後も下期の供給制約は続くと見ている。

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キャリア枚数の先で問われる変換率

2027年の「少なくとも2倍」を確かめるには、月5万枚という洗浄計画の実行だけでは足りない。キャリア1枚当たりの再利用回数と外注洗浄比率が分かれば、洗浄枚数を実際の工程負荷へ近づけられる。HBM4とHBM4Eの製品別ウェハー投入量、歩留まり、良品スタック数が開示されれば、投入から出荷までの変換率も見える。

HBM4Eでは、主要顧客の認定完了と量産開始がもう一つの節目になる。さらに2027年の実績として、HBM4系列が全HBM出荷の80%へ届くかを確認できれば、総投入量の増加と世代交代のどちらが出荷を押し上げたのかを検証できる。ガラスキャリアは工場内の動きを早く映す先行指標である。そこから完成品の倍増へ至るかどうかは、再利用される支持体の枚数ではなく、投入したウェハーを認定済みの良品へ変える比率で決まる。