AI(人工知能)インフラ投資の急拡大を背景に、DRAM(動的ランダムアクセスメモリ)市場は空前の好況を迎えている。Samsung Electronicsは2026年1月に時価総額1兆ドルを突破。SK hynixは2023年に5兆8,000億ウォンの営業損失を計上したが、2025年には過去最高の47兆2,000億ウォンの営業利益を達成した。しかし好況の当事者である両社の内部では、2028年の市場反転シナリオが真剣に検討されている。過去のサイクルで過剰投資が巨額損失を招いた教訓を踏まえ、記録的な収益を上げながらも設備拡張のペースを慎重に抑える方向に舵を切り始めているようだ。

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2016〜2018年の「前回サイクル」が示す崩壊の法則

現在のサイクルを理解するには、直近のDRAMスーパーサイクルを解剖する必要がある。2016年半ばから2018年前半にかけての約2年間、DRAMの契約価格はおよそ3倍に上昇し、Micron Technologyの株価はボトムからピークにかけて600%上昇した。SamsungとSK hynix、Micronが世界シェアの95%以上を握る寡占構造のなか、供給管理の暗黙の規律が利益率を押し上げた。

だが、この好況を終わらせた要因は一つではなかった。スマートフォン出荷台数は2017年の15億台をピークに初めて減少局面に入り、メモリ消費の主役だったモバイル需要が失速した。ハイパースケーラー(超大手IT企業)がパニック的な追加発注で在庫を積み上げた後、実需が注文書の示した数字より大幅に少なかったことが判明した。致命的だったのは、需要が冷えるタイミングで3社が同時に設備投資を拡大していたことで、Samsungは2017年だけで33兆ウォンを投じた。その新しい生産能力が市場に届いたのは、需要が低迷し始めた2019年だった。

株価は現実の痛みが来る前に頂点を打った。Micronの株価は2018年5月のピークから同年12月にかけて56%下落したが、そのピーク自体は1株当たり利益が最大値を記録する2〜3四半期前だった。市場は常に、利益が最大になる前に「頂点が近い」という事実を織り込む。

AI時代のHBMが生み出した「今回だけは違う」要因

今回のサイクルを前回と根本的に分けるのが、HBM(高帯域幅メモリ、High Bandwidth Memory)だ。HBMは従来のDRAM技術を用いながら、複数のDRAMダイをTSV(シリコン貫通電極)で縦方向に積層し、プロセッサと同一パッケージ上に配置する設計を持つ。これによりHBM3は1スタックで800GB/s超の帯域幅を実現し、標準的なDDR5モジュールの約10倍に達する。

製造難度が高いこの技術が、市場の構造を変えた。HBM1GBの製造に必要なシリコンウェハー面積は標準的なDDR5の約3倍に及ぶ。16層スタックの1カ所の欠陥がユニット全体を廃棄品にする歩留まりの課題も相まって、現在量産できるのはSK hynix、Micron、Samsungの3社のみだ。HBMはすでにDRAM全体の売上高の30%超を占める主力商品となり、SamsungとSK hynixは両社ともDRAM売上高の半分以上をHBMが占める状態にある。

AIサーバーのメモリ消費量も桁違いだ。AI学習用の1台のサーバーには1.6TBのHBMと3TBのDDR5を合わせた約4.6TBが必要で、これは従来型クラウドサーバーの6〜8倍に相当する。データセンター向けのDRAM消費比率は2020年の32%から2025年には50%へと拡大し、2030年には60%を超えると予測されている。2026年の設備投資としてハイパースケーラーが確約した総額は6,600〜6,900億ドルで、その約4分の3がAIインフラに充てられる。

Appleが2026年のiPhone 17に搭載するLPDDR5Xについて、前四半期比100%の価格引き上げを交渉なしで受け入れた事実も、この供給者優位を裏付けている。SK hynix、Samsung、Micronはいずれも、2026年のHBMおよびDRAM生産分が既に全量完売の状態だと認めている。

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メモリ大手が「投資にブレーキを踏む」理由

それでもSamsungとSK hynixが慎重になるのは、過去の失敗が生々しく残っているからだ。Samsung DS部門の内部事情に詳しい関係者は「昨年の夏の時点では、SamsungもSK hynixもこれほどの好況を予測できなかった」と述べており、これほど予測が難しい市場で積極的な設備拡張を進めることの危うさを示している。SamsungのDS(半導体)部門は2028年を起点とする市場急変の可能性を内部で想定し、過去の「過剰投資→巨額損失」という轍を踏まないよう投資計画の精査を続けている。

2028年をターゲットにした新工場・生産ライン増設は既に動いている。SK hynixはM15X(清州)クリーンルームの試験操業を2026年5月に開始する。MicronはFY2026の設備投資を200億ドルに引き上げ、アイダホ工場のDRAM生産は2027年半ばに始まる。SK hynixのインディアナ州パッケージング工場は2028年後半に量産体制に入る。Samsung自身も、水原サイトで10nmの第5世代(1b)DRAMプロセスへの移行を進めながら、平沢(Pyeongtaek)拠点での第6世代(1c)DRAMの生産ライン新設を継続している。

過去49年間のメモリサイクルが示す法則通り、3社が同時に設備拡張を実行すれば、2〜3年後に過剰供給が到来する。これを逆算すれば、市場は2026年末から2027年第1四半期に価格ピークを迎え、株価はそれより2〜3四半期早く頂点を打つ計算になる。現在のサイクルは既に2.5年を超えており、過去の平均サイクル長(2年)を上回った領域にある。

HBMへの資源集中が従来型DRAMの慢性不足を生み出していることも、構造的な問題として残る。HBM生産はTSVプロセス、スタック組み立て、熱管理検証など高度な後工程を独占し、これがPC・スマートフォン・サーバー向けの通常DRAMの生産ラインを圧迫している。Gartnerの予測では、2026年にDRAMとSSDの価格は合算で130%上昇し、スマートフォン価格も13%上昇する。スマートフォン出荷台数は8.4%の減少が見込まれる。

消費者の現実はより深刻だ。HPは現在のPC製造コストに占めるメモリの比率が35%に達したと開示しており、これは1四半期前の15〜18%から急上昇している。DellはPC価格を15〜20%引き上げ、Lenovoも追随した。Sonyはメモリコスト高騰を理由にPlayStation 6のリリースを2028〜2029年まで先送りすることを検討中と報じられている。スマートフォン市場全体では2026年に12.9%という過去最大の年間縮小が予測されており、メモリ価格の高止まりが端末普及の足かせになりつつある。

転換の予兆をどこで読むか:2028年以降のシナリオ

市場のターニングポイントを定量的に捉えるには、3つの指標を継続的に追う必要がある。現在90%超で推移している四半期ごとの契約価格上昇率が鈍化し始めること、過去最低の3.3週分まで低下しているサプライヤーの在庫週数が通常水準の8〜10週へと回復し始めること、そして記録的な決算を発表してもメモリ株の株価が反応しなくなること——2018年もこれが最初のシグナルだった。現時点でこの3指標はまだ転換を示していない。

NVIDIAによる200億ドルでのGroq買収は、今サイクルを複雑にする変数の一つだ。GroqはSRAM(静的ランダムアクセスメモリ)ベースの推論チップを製造する企業で、230MBのオンチップSRAMと80TB/sの内部帯域幅を持つ——NVIDIAのH100が搭載するHBMの約24倍に相当する。リアルタイムのAIエージェント応答といった「バッチサイズ1の推論」に特化し、同等処理の10分の1の消費電力で動作するこの技術が次世代チップに統合されれば、特定ワークロードにおけるHBM依存度は低下する可能性がある。

ハイパースケーラーの支出持続可能性という観点からも注視が必要だ。Amazon、Alphabet、Microsoft、Meta、Oracleは2026年の設備投資に営業キャッシュフローの約90%(10年平均は40%)を充てる計画で、その総額は年間でマンハッタン計画22回分規模に達する。この水準の支出が何年も続く保証はなく、需要の主役がハイパースケーラーに一本化されている現在の構造は、消費者需要が支えていた2016〜2018年と比べて一段と脆弱だ。

SamsungがDS部門の内部で2028年の反転を想定し、慎重な投資姿勢を選んでいるのは合理的なリスク管理に映る。だが歴史が示す通り、3つの寡占企業が同じタイミングで投資を拡大し、同じタイミングで慎重になっても、メモリサイクルがその思惑通りに制御できたことはなかった。半世紀近く、例外は一度もないのだ。


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