中国のメモリモジュール市場で、国産DRAMは「開発できるか」から「普通のDDR5製品に載せるか」へ段階を進めている。光威(Gloway)と金百達(KingBank)が、中国製24Gb(3GB)DRAMチップを使うDDR5 UDIMMを相次いで打ち出した。標準的な8枚構成で1枚24GBのモジュールを作れるため、2枚組なら48GB、4枚組なら96GBという、ゲーミングPCや自作PCで扱いやすい容量帯に収まる。

この動きが目を引くのは、中国メーカーがSamsung ElectronicsMicron TechnologySK hynix以外のDRAM採用を前面に出したからだけではない。AIサーバー向けのHBMや高密度DRAMに大手メーカーの供給が寄り、PC向けメモリの価格と調達が不安定になっている。その中で、ChangXin Memory Technologies(CXMT)などの中国DRAMが中国市場向け製品の選択肢になり始めている。

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24Gbチップで24GB DIMMを作れる意味

IT之家によると、光威と金百達が発表した新製品は、24Gbの中国製DRAMチップを使うDDR5 UDIMMである。従来の16Gbチップを使う一般的な構成では、片面8枚で16GB、両面16枚で32GBが中心になる。24Gbチップなら、8枚構成のまま24GBにできる。基板や実装の複雑さを大きく増やさず、32GBより低い容量帯に収まる中間の選択肢を作れる点が大きい。

光威の製品は「龍武・弈」シリーズの特別記念版として案内されている。IT之家は、DDR5-6000、CL36-38-38-80、1.25V、5W/mKの熱伝導パッド、AMDプラットフォーム向け最適化を主な仕様として伝えている。光威の公式サイトにも、2026年6月17日付で「光威 龍武・弈特別記念版メモリがまもなく登場」とする告知へのリンクが掲載されている。

金百達側は「星刃RGB」系列として紹介されている。2mm厚のヒートスプレッダ、PMIC部の熱伝導処理、上部のRGB LEDを備えるという説明で、自作PC向けの外観と放熱を前面に出した製品である。どちらも試験サンプルではなく、完成品として売り場に出す前提の訴求になっている。

大手DRAMがAI向けに寄るほど、中国勢の採用余地が広がる

Samsung、Micron、SK hynixは依然としてDRAM市場の中心である。だが、需要の重心はPCやスマートフォン向けの汎用DRAMから、AIサーバー向けのHBM、高密度サーバーメモリ、企業向けストレージへ急速に寄っている。Tom's Hardwareは、海外大手がデータセンター向けの高収益需要を優先する一方、中国のDRAMメーカーは国内市場の安定供給を重視しやすい構造にあると指摘している。

この構図は、完成品メーカーにとって調達先の再評価につながる。中国市場向けであれば、CXMTのDDR5を採用しても、SamsungやMicronと同じ世界的な取り合いに巻き込まれにくい。価格が十分に下がるか、長期の品質がどこまで確認できるかは別問題だが、調達の選択肢として検討する理由は強まっている。

こうした供給配分の変化は、限られたウェハーとパッケージング能力をどこに割り当てるかが業界全体で変わったことを示す。中国のモジュールメーカーが国産DRAMを前面に出す背景には、政治的な自給志向だけでなく、現実の調達圧力がある。

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CXMTはDRAM、YMTCはNANDという役割の違い

今回のDDR5モジュールで中心になるのはDRAMであり、役割としてはCXMTの存在が大きい。CXMTの公式サイトは、同社がDRAMの設計、研究開発、製造、販売を手がけ、DDR5/DDR5モジュール、LPDDR5/5X、DDR4/DDR4モジュール、LPDDR4Xを製品群に掲げている。PC、スマートフォン、タブレット、サーバーなどを用途に含める説明もあり、中国で汎用DRAMを量産する代表的なメーカーであることは確認できる。

一方、YMTCは主にNANDフラッシュとSSDの企業である。公式サイトでも、エンタープライズSSD、クライアントSSD、UFS、eMMC、PCIe SSD、ポータブルSSD、SATA SSD、microSDなどを製品として並べている。Tom's Hardwareの記事では、中国勢のメモリ供給全体を語る文脈でYMTCにも触れているが、DDR5 UDIMMの話とNANDの話を混ぜると、何が実際に置き換わっているのかが見えにくくなる。

PCのメインメモリで起きているのは、CXMTなどのDRAMがモジュールメーカーに採用され始めたという話である。SSDや組み込みストレージでは、YMTCが別の供給源として存在感を高める。「国産メモリ」という一語でまとめるより、DRAMとNANDのどちらで、どの製品層に入っているのかを分けて見る必要がある。

CorsairやPCメーカーにも採用検討が広がる

中国ブランドだけで完結する話でもない。Tom's Hardwareは2026年5月、CorsairのVengeance DDR5-6000 CL36キットにCXMT製DRAMが使われている例を報じた。中国市場向けの型番で、CPU-Z表示などからCXMT製であることが示されたという内容である。Corsairのような大手メモリブランドに入った点は、CXMTが小規模ブランド向けだけの供給元ではなくなりつつあることを示す。

PCメーカー側でも、調達先の確認が進んでいる。Tom's HardwareはNikkeiを引用し、DellとHPがCXMT DRAMの認定を始め、AcerとAsusが中国の製造パートナーに中国製メモリの調達を求めていると伝えている。ただし、認定は量産採用と同じではない。HPが使う場合も非米国市場向けに限るとされており、米国の規制や調達リスクは残る。

Samsung、Micron、SK hynixの地位がすぐ崩れるという話ではなく、PCメーカーが保険として別の供給網を作り始めたということだ。メモリ価格が上がり、発売計画に影響するほど供給が細れば、メーカーは性能、価格、規制リスクのバランスを見ながら地域ごとに採用品を変える。中国製DRAMは、その選択肢の一つとして現実味を増している。

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次の焦点は安さではなく、検証済みの供給量だ

24Gb DRAMを使った24GB DIMMは、容量だけ見れば分かりやすい製品である。だが、市場を動かすには、安く出せるだけでは足りない。DDR5-6000級の定格動作、長時間の安定性、メモリ互換性、マザーボードごとのXMP/EXPO設定、保証体制まで含めて、既存の大手DRAM採用品と比べられる。

中国市場では、国産DRAMを使うこと自体が製品価値になる。サプライチェーンの自立、安定調達、国内ブランド同士の連携を訴求しやすいからだ。中国外の市場では、消費者やPCメーカーはより単純な基準で見る。価格が下がるのか、納期が安定するのか、既存製品と同じように動くのか。そこで結果を出せなければ、国産化の文脈は中国国内の強みにとどまる。

今回の発表は、DRAM市場の主役交代を告げるものではない。AI需要で大手メーカーの供給先が変わった結果、PC用メモリの供給不安に誰が応えるのかが問われ始めた。光威と金百達の24GB DDR5は、その問いに対する中国側の最初の分かりやすい製品回答である。次に見るべきなのは、発表の勢いではなく、実売価格、採用地域、長期の安定性だ。