Lisa Su(リサ・スー、1969年生まれ、米国籍)は、半導体大手AMD(Advanced Micro Devices)の会長兼最高経営責任者(CEO)を務める経営者である。電気工学者としての技術的背景を持ち、経営トップとして同社の製品戦略、技術ロードマップ、市場展開全般を統括する立場にある。
概要
Lisa Suは、AMDの会長兼CEOとして、同社のCPU・GPU・AIアクセラレータ事業を含む全社戦略を指揮している。技術系出身の経営者として、決算説明会や技術イベントの基調講演で自ら製品戦略やロードマップを説明する場面が多く、投資家・業界関係者からの発言が同社の株価や業界動向に直結する存在となっている。
技術的位置づけ
Lisa Suは、AMDがデータセンター向けCPU「EPYC」、AIアクセラレータ「Instinct」シリーズ、次世代CPUアーキテクチャ「Zen」系列の開発方針を決定づける立場にある。TSMCの先端プロセス(2nmや1.4nm世代)への移行判断、NVIDIAをはじめとする競合との性能・生産体制の比較においても、同社の技術的方向性を対外的に示す役割を担っている。またゲーミング市場向けの半導体供給やコンソール機器との協業戦略にも関与し、AI需要とコンシューマー市場の両立という難しい経営判断を担う立場にある。
主要な動向
2026年4月には、AMDのFinancial Analyst Day 2025において、Lisa Suのもとで次世代CPUアーキテクチャ「Zen 6」および「Zen 7」の公式ロードマップが公開され、TSMCの2nmプロセスへの移行やAI性能強化の方向性が示された。同月には第4四半期決算説明会でも、Lisa Suが次世代XboxおよびValveの「Steam Machine」の発売時期について言及し、ゲームプラットフォーム業界の勢力図に関わる発表として注目された。さらに同月、次世代AIアクセラレータ「Instinct MI450」にTSMCの2nmプロセスを採用することを正式に認め、NVIDIAの次世代アーキテクチャ「Rubin」との競合構図が一層明確になった。
2026年5月には、CES 2026の基調講演においてLisa Suが登壇し、AMD初となるラック規模のAIインフラ製品「Helios」と、2nm世代のAIアクセラレータ「Instinct MI400」シリーズを発表した。これはAIインフラ市場における完全なエコシステム戦略を示すものとされ、同時期には次々世代CPU「Zen 7」の詳細が異例の早さで流出し、2028年にTSMCのA14プロセスや新パッケージング技術FOPLPを採用する計画があることも明らかになった。
2026年6月には、AMDが記録的な好決算を発表する中で、データセンター事業がAIインフラ投資により急成長を遂げた一方、ゲーミング事業はAI向けHBMメモリの優先生産によるメモリ価格高騰の影響で大幅な減収が見込まれることが示された。この構造的な二極化は、Lisa Su体制下でのAI優先戦略がコンシューマー向け事業に及ぼす影響として、業界内で議論を呼ぶ材料となっている。