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GoogleがGemini 2.5 Pro「I/Oエディション」を電撃発表:コーディングとWebアプリ開発で一躍トップに躍り出る

Y Kobayashi

2025年5月7日

Google I/O 2025の開幕を前に、Googleは同社のフラッグシップAIモデル「Gemini 2.5 Pro」の最新アップデート版、「Gemini 2.5 Pro Preview (I/Oエディション)」の早期アクセス開始を発表した。このモデルは、特にコーディング能力、とりわけインタラクティブなWebアプリケーション構築において、従来バージョンからの能力が「大幅に向上した」とGoogleは自信を覗かせる。 なぜこのタイミングなのか?Googleによれば、開発者からの「圧倒的な熱意」に応えるためだという。

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コーディング能力の大幅進化:新王者誕生の予感

今回のアップデートの核心は、言うまでもなくコーディング能力の飛躍的な向上だ。 Googleは、フロントエンド開発、UI開発、コード変換、コード編集、そして複雑なエージェントワークフローの開発といった多岐にわたる領域での「意義ある改善」を約束している。

その実力は、第三者の評価によっても裏付けられつつある。人間による評価でWebアプリの美的感覚と機能性を測定する「WebDev Arena Leaderboard」において、Gemini 2.5 Pro Preview (I/Oエディション) は、従来バージョンを+147 Eloポイントも上回り、トップの座を獲得したのだ。 これはAnthropic社の強力なライバルモデルClaude 3.7 Sonnetをも凌駕する結果であり、Geminiの進化の著しさを物語っていると言えるだろう。

具体的なベンチマークスコアとしては、LiveCodeBench v5(コード生成)で70.4%から75.6%へと向上している。 さらに、関数呼び出しにおけるエラーの削減やトリガー率の改善といった、開発者が日々直面する課題への対応も強化されており、より実用的で信頼性の高い開発体験が期待される。

AIコーディングツールCursorのCEO、Michael Truell氏は、「最新のGemini 2.5 Proは、すでに強力な実世界のコーディング能力をさらに強化しています。我々の内部観測では、新モデルはツール呼び出しの失敗が大幅に減少し、ユーザーにとって2.5 Proが以前よりもさらに効果的になると信じています」とコメントしており、現場レベルでの期待の高さがうかがえる。

また、ReplitのMichele Catasta社長も、「Gemini 2.5 Proは、『能力対レイテンシ』の比率において最高のフロンティアモデルであると我々は考えています。レイテンシに敏感なタスクを高い信頼性で達成する必要がある場合に、Replit Agentに展開することを楽しみにしています」と述べており、応答性と信頼性の両立が高く評価されているようだ。

Cognitionの創設チームメンバーであるSilas Alberti氏はさらに踏み込み、「アップデートされたGemini 2.5 Proは、我々のジュニア開発者評価でトップのパフォーマンスを達成しました。リクエストルーティングバックエンドの大規模なリファクタリングを含む我々の評価の1つを解決した史上初のモデルでした。まるで、よりシニアな開発者のように感じました。なぜなら、正しい判断を下し、優れた抽象化を選択することができたからです」と、その高度な判断能力を称賛している。

Webアプリ開発の新時代:美しさと機能性を両立、アイデアを瞬時に形へ

特筆すべきは、Gemini 2.5 Proが単にコードを生成するだけでなく、「美しく機能的な」Webアプリケーションの構築を得意とすることだ。 Googleによれば、このモデルは「審美的なWeb開発に対する真のセンス」を持ちながらも、開発者による細やかな制御も維持しているという。 これにより、開発者はコンセプト段階のアイデアを、洗練されたUIと堅牢な機能を備えた実用的なWebアプリへと迅速に昇華させることが可能になる。

その一例として、GoogleはGemini 95スターターアプリのスタイルに合わせたビデオプレーヤーの追加や、波形アニメーション、レスポンシブデザイン、繊細なホバーエフェクトを備えたディクテーションアプリの構築を挙げている。 これまで開発者がデザインファイルとにらめっこし、CSSのプロパティ(色、フォント、パディング、マージン、ボーダーなど)を手作業で調整していたような作業が、Gemini 2.5 Proによって大幅に自動化される可能性を秘めているのだ。

YouTube video

さらに驚くべきは、そのマルチモーダル能力を活かした新機能だ。「ビデオからコードへ」というコンセプトは、まさに開発のあり方を変えるかもしれない。 VideoMMEベンチマークで84.8%という最先端のスコアを叩き出す動画理解能力とコーディング能力を組み合わせることで、例えばYouTube動画一本からインタラクティブな学習アプリを自動生成するといった、従来では考えられなかったワークフローが現実のものとなりつつある。 Google AI Studioでデモンストレーションされている「Video to Learning App」は、まさにその可能性を示す好例と言えるだろう。

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Google I/Oを前にした電撃リリース、その背景とは?

Googleは当初、この重要なアップデートを数週間後に開催される年次開発者会議「Google I/O」で発表する予定だった。 しかし、開発者からの「圧倒的な熱意」と「非常にポジティブなフィードバック」を受け、予定を早めてのリリースに踏み切ったという。 この背景には、OpenAIやxAIといったライバル企業が高性能モデルのリリースを間近に控えているとされる中、AI分野における主導権争いで優位に立ちたいというGoogleの強い意志が見え隠れする。

GoogleのDeepMind AI研究ユニットのCEOであるDemis Hassabis氏はX(旧Twitter)で、この新モデルを「我々がこれまでに構築した中で最高のコーディングモデルだ!」と自信を表明しており、社内の期待の高さがうかがえる。

今日から使える!Gemini 2.5 Pro I/Oエディションの入手方法と価格

開発者にとって最も気になるのは、この強力な新モデルをどのように利用できるかだろう。Gemini 2.5 Pro Preview (I/Oエディション) は、以下の方法で既に利用可能となっている。

  • Google AI StudioのGemini API経由: 個人開発者はこちらからアクセスできる。
  • Vertex AI経由: エンタープライズ顧客向けのプラットフォーム。
  • Geminiアプリ経由: 一般ユーザーも、Geminiアプリ内のCanvas機能などを通じて、この最新モデルの恩恵を受けることができる。

既存のGemini 2.5 Pro (03-25バージョン) を利用している開発者は、特別な操作は不要だ。自動的に最新の05-06バージョンにルーティングされる。 そして嬉しいことに、これだけの機能向上がありながら、価格は据え置かれる。 コンテキスト長20万トークンまでの場合、入力が100万トークンあたり1.25ドル、出力が100万トークンあたり10ドルという価格設定は、Claude 3.7 Sonnet(同3ドル/15ドル)と比較しても競争力のあるものとなっている。

また、Gemini 2.5 Pro Previewは、100万トークンという業界でも最大級のコンテキストウィンドウを維持しており(将来的には200万トークンへの拡張も計画中)、大量のドキュメントやコードベース、約1時間の動画、約11時間の音声といった広範なデータを一度に処理できる能力も健在だ。

Googleの次なる一手は

今回のGemini 2.5 Pro Preview (I/Oエディション) のリリースは、激化するAI開発競争において、Googleが再び大きな一歩を踏み出したことを明確に示している。特にコーディングとWebアプリ開発の分野で競合をリードする可能性を秘めており、開発者にとっては生産性向上と新たなクリエイティビティの解放に繋がる大きな武器となるだろう。

Google I/O 2025では、さらなるAI関連の発表が期待される。 Geminiファミリーのさらなる進化、新たなAI搭載ツールやプラットフォームの登場など、目が離せない展開が続きそうだ。この「I/Oエディション」は、後に控える多くの発表の序章に過ぎないのかもしれない。


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