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Intel次世代CPU「Nova Lake」「Bartlett Lake-S」のリークが続く: Xe3/Xe4混成iGPU、最大52コアの野心的ロードマップか?

Y Kobayashi

2025年6月5日

Intelの次世代プロセッサに関する情報が続々とリークされている。同社が2026年後半に投入を予定するデスクトップ向けCPU「Nova Lake-S」は、統合グラフィックスにおいて「Xe3(Celestial)」と「Xe4(Druid)」という異なるアーキテクチャを組み合わせる、前例のないハイブリッド構成を採用する可能性が浮上した。これは、Intelが提唱するタイル(チップレット)戦略の真髄を問う、極めて野心的な試みと言えるだろう。また、公式ドキュメントからは「Nova Lake-S/U」の存在が確認されたほか、P-コアのみの「Bartlett Lake-S」やモバイル向け「Panther Lake」といった今後のロードマップの全貌も明らかになっている。

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リークの震源地はIntel公式文書?錯綜する情報と信憑性

今回のリークは、Intelが公開した「Public Real-Time Gold Deck」と題されたTCC (Time Coordinated Computing) に関する技術文書に記載されていた情報に基づくようだ。この文書は既にIntelによって該当部分が修正または削除されたようだが、スクリーンショットが出回っており、一定の信憑性を与えている。

今回の、リークは、X(旧Twitter)アカウント(@jaykihn0@InstLatX64@SquashBionicなど)らからの発信された断片的な情報に基づくもので、これらの情報を総合的に判断する必要がある。公式発表前の情報であるため、あくまで噂の段階と捉えつつも、その詳細からはIntelの野心的な戦略が垣間見える。

最注目株「Nova Lake」アーキテクチャ:最大52コアと革新的iGPUの全貌

2026年後半の登場が有力視されている「Nova Lake」は、Intelのコンシューマ向けCPUにおける次なる大きな飛躍となる可能性を秘めている。特にデスクトップ向けの「Nova Lake-S」は、そのコア構成とiGPU(内蔵グラフィックス)において注目すべき進化を遂げそうだ。

Nova Lake-S (デスクトップ向け): 最大52コア、新ソケットLGA 1954採用の可能性

リーク情報によれば、Nova Lake-Sの最上位SKUは、最大52コアという驚異的な構成を持つ可能性がある。これは、16個のP-コア (Performance-core)、32個のE-コア (Efficient-core)、そして4個のLPE-コア (Low Power E-core) から成ると噂されている。これが実現すれば、現行世代から大幅なマルチスレッド性能向上が期待でき、AMDとのコア数競争を再び激化させるだろう。

プラットフォームに関しては、新たに「LGA 1954」ソケットが採用されるとの情報がある。LGA1851を採用するArrow Lake世代からのソケット変更となり、マザーボードの買い替えが必須となる可能性が高い。ただし、一部情報ではソケットの物理的なサイズはLGA1700/1851と近いとされており、CPUクーラーの互換性については続報を待ちたいところだ。

革新的iGPU構成? Xe3 “Celestial” と Xe4 “Druid” のハイブリッドという野望

Nova Lake-SのiGPUに関するリークは、特に興味深い。Intelは、グラフィックスレンダリングを担当するタイルに次世代GPUアーキテクチャ「Xe3 “Celestial”」を、そしてメディアエンコード/デコードやディスプレイ出力といった機能を担当するタイルに、さらにその先の世代である「Xe4 “Druid”」を、それぞれ別々のタイルとして搭載するのではないかと報じられているのだ。

これは、Intelが「Meteor Lake」でグラフィックスエンジンとメディア/ディスプレイユニットを分離した経験をさらに発展させるものと言える。主な3Dレンダリングやゲーミング性能はXe3が担い、動画再生支援や画面出力といった比較的負荷の低い処理は電力効率に優れたXe4が担う、という役割分担だ。このハイブリッド構成により、IntelはGPUサブシステム全体のコストを抑えつつ、メディアエンジンの性能を最新のプロセスノード(例えばTSMCの2nm)で最適化できる可能性がある。まさにタイルベース設計の妙技と言えるだろう。

Bionic_Squash氏のリークによれば、このXe4メディアエンジンは「非常に優秀で、プロフェッショナルなコーデックをサポートする」とされており、クリエイティブ用途での期待も高まる。また、Nova Lake-Sに搭載されるXe3は「バニラ(標準的)なものではなく、いくつかの変更が加えられている」とも示唆されており、iGPUとしての最適化が進められているようだ。

Nova Lake-U (モバイル向け): 薄型ノートPCへの展開も視野に

IntelのTCC文書では「Nova Lake-U」というモバイル向けの低消費電力版の存在も示唆されている。デスクトップ向けほどの詳細な情報はまだないものの、Nova Lakeアーキテクチャの恩恵が薄型軽量ノートPCにももたらされることが期待される。

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もう一つの注目株「Bartlett Lake-S」: LGA1700延命の切り札となるか?

Nova Lakeが未来の高性能CPUの姿を示す一方で、より現実的な選択肢として注目されるのが「Bartlett Lake-S」だ。これは、現行および一世代前のLGA1700プラットフォームとの互換性を持つ可能性が報じられている。

リークによれば、Bartlett Lake-SはP-コアのみで構成されるCPUファミリーとなり、最大で12個のP-コアを搭載するモデルが登場する可能性がある。これは、Alder LakeやRaptor Lake世代の設計をベースにしているとされ、SMT(Simultaneous Multi-Threading)もサポートし、12コアであれば24スレッド動作となるだろう。

もともとBartlett Lake-SはEdge(エッジコンピューティング)や産業向けとして情報が出ていたが、コンシューマ市場、特にゲーミング用途などE-コアを必ずしも必要としないユーザー層にとっては、既存のLGA1700マザーボードを活かせる魅力的なアップグレードパスとなるかもしれない。登場時期については、2025年Q3(7月~9月)という噂もある。

その他リークされたCPUファミリー:Panther Lake、Wildcat Lake、Arrow Lake Refresh

今回のリークでは、Nova LakeやBartlett Lake-S以外にも、いくつかのCPUファミリーの名前が浮上している。

  • Panther Lake (モバイル向け): 2025年後半から2026年初頭の登場が予測されているモバイル向けCPU。Computex 2025でIntelが動作デモを披露したとも報じられており、比較的登場が近い製品と見られる。iGPUにはXe3 “Celestial” アーキテクチャが採用される可能性が高い。
  • Wildcat Lake: 新たなエントリー向けの低消費電力モバイルCPUではないかと推測されている。Twin Lakeの後継となる可能性も指摘されている。
  • Arrow Lake Refresh: 2024年後半に登場予定のArrow Lake-Sの改良版。LGA1851ソケットを継続採用すると見られる。
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Intelのタイルベース戦略と最先端プロセス技術の動向

Nova LakeにおけるXe3とXe4の混成iGPU構想は、Intelが推進するタイルベースのチップ設計戦略の成熟を示唆している。異なる機能を持つチップレット(タイル)を、それぞれ最適なプロセス技術で製造し、高度なパッケージング技術で組み合わせることで、性能、コスト、開発効率の最適化を図る。

Nova Lakeでは、CPUタイルやGPUタイルの一部にIntel自身の18Aプロセスが、メディアエンジンタイルなどにはTSMCの2nmといった外部ファウンドリの最先端プロセスが併用される可能性も噂されており、IntelのIDM 2.0戦略の柔軟性が試されることになるだろう。

Intelのロードマップが示す戦略と市場への影響

今回のリーク情報は、AMDとの熾烈な競争下にあるIntelが、CPU市場でのリーダーシップを取り戻すための野心的な戦略を練っていることを示している。

  1. コア数競争の再燃と多様なニーズへの対応: Nova Lake-Sの最大52コア構成は、ハイエンドデスクトップ市場におけるマルチスレッド性能競争を再び激化させるだろう。一方で、Bartlett Lake-SのようなP-コアオンリーCPUは、特定のニーズを持つユーザー層へのアピールとなる。
  2. iGPU性能の飛躍的向上への布石: Xe3とXe4のハイブリッド構成は、単なる内蔵グラフィックスの性能向上に留まらず、動画編集やAI処理など、より高度なタスクへの対応力を高める狙いがあると考えられる。ディスクリートGPU市場にも影響を与える可能性を秘めている。
  3. タイル戦略の深化と柔軟性: 異なるアーキテクチャ、異なるプロセスノードのタイルを組み合わせるというIntelの戦略は、製品開発の柔軟性を高め、市場の変化に迅速に対応するための鍵となる。この戦略が成功すれば、Intelは再び技術的優位性を確立できるかもしれない。
  4. ユーザーへの影響: 新しいソケットへの移行は避けられない流れだが、Bartlett Lake-Sのような選択肢が提供されるのであれば、既存ユーザーにとってはアップグレードの幅が広がる。しかし、頻繁なプラットフォーム変更はユーザーの負担増にも繋がるため、Intelの長期的なソケット戦略にも注目が集まる。

正式発表に高まる期待

今回リークされたIntelの次世代CPUロードマップは、非常に野心的で、PC業界の未来を大きく左右する可能性を秘めている。特にNova Lakeアーキテクチャ、そしてその革新的なiGPU構成は、Intelの技術力の健在ぶりを示すものと言えるだろう。また、Bartlett Lake-Sは、既存ユーザーへの配慮と製品ラインナップの多様化という点で興味深い存在だ。

もちろん、これらは現時点ではあくまでリーク情報であり、Intelからの正式な発表を待つ必要がある。しかし、これらの情報が現実のものとなれば、デスクトップおよびモバイルPCの性能は新たな次元へと進化し、我々のデジタルライフをさらに豊かにしてくれることは間違いない。


Sources

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