高級マウスの代名詞、Logitech(日本名:ロジクール)の「MX Master」シリーズ。その次期モデル「MX Master 4」の鮮明な画像が、欧州連合知的財産庁(EUIPO)から流出した。伝統のエルゴノミクスデザインを継承しつつ、新たに追加されたボタンの存在が判明。王者の次なる一手は、我々の生産性をどこへ導くのか。
知的財産庁から漏れた「王者の次なる一手」
製品の知的財産を保護するはずの公的機関から、その姿が白日の下に晒されるという何とも皮肉な形で、ロジクール MX Master 4の全貌が明らかになった。今回のEUIPOへの意匠登録情報に加え、先月にはブラジルの認証機関Anatelでもその存在が確認されており、正式発表が目前に迫っていることは間違いないだろう。
このシリーズは、クリエイターやパワーユーザーから絶大な支持を集める、まさに「マウスの王様」ともいえる存在だ。だからこそ、今回のリークは単なる新製品情報に留まらず、次世代のPC操作環境を占う重要な指標として、世界中のユーザーの注目度は高い。
伝統と革新の融合:MX Master 4のデザイン詳細
公開された画像から読み取れるMX Master 4は、一見すると現行モデルのMX Master 3Sが持つ、手に吸い付くような定評あるエルゴノミクス形状を色濃く受け継いでいる。しかし、細部に目を凝らせば、そこには明確な進化の跡が見て取れる。
最大の注目点、謎に包まれた「第3の親指ボタン」
最も大きな変更点は、親指側に新たに追加された3つ目のボタンだ。これまで前方・後方ボタンが配置されていたすぐ前に、新たなボタンが確認できる。

このボタンの機能については、すでに様々な憶測が飛び交っている。一部のユーザーは、自由に機能を割り当てられる待望のカスタムキーになることを期待する。一方で、昨今の業界トレンドを鑑みれば、AIアシスタントを呼び出すための専用ボタンになるのではないか、という見方も有力だ。どちらにせよ、この新ボタンがMX Master 4の操作体験の核となることは確実だろう。
洗練されたエルゴノミクスと操作性の向上

デザインの変更は新ボタンだけではない。細部にわたり、より洗練された操作性を追求するロジクールの理念が感じられる。
- クリーンなメインボタン: 左右のメインクリックボタンは、MX Master 3Sにあった右ボタン脇のプラスチック部分がなくなり、ボタン全体が一体化したようなクリーンなデザインに変更された。
- 進化した親指エリア: 親指が触れるサイド部分は、これまであった細かな溝(リッジ)が廃され、より滑らかな曲面に。ジェスチャー操作を担う親指レスト下のボタンは、レストの側面全体に拡大されたように見える。これにより、より直感的な操作が可能になるかもしれない。
- 視認性の高いLED: バッテリー残量などを示すLEDインジケーターは、スクロールモード切り替えボタンの真下へと移動。視線を大きく動かすことなく、状態を素早く確認できるようになった。
操作性を左右する、細やかな改良の数々
デザインの刷新に加え、日々の操作感を向上させるための細やかな配慮も随所に見られる。
- 拡張されたジェスチャーボタン: 親指で押し込むことでジェスチャー操作を可能にするサムレストボタンは、従来の下部の一部だけでなく、サムレストの側面全体にその領域が広がっているように見える。これにより、より直感的で確実な操作が期待できる。
- 際立つサイドスクロールホイール: 水平スクロールを担う親指部分のスクロールホイールは、わずかに本体から突出した形状となり、指がかりが向上している可能性がある。
- 謎のシンボル: サムレストボタン上には、点で構成された円形のシンボルが描かれている。これが単なるデザイン上のアクセントなのか、あるいは新たな機能(例えば触覚フィードバックなど)を示唆するものなのか、憶測は尽きない。
これらの変更は、単なる見た目の刷新ではなく、長年のユーザーフィードバックと人間工学に基づいた、確かな機能向上を意図したものと考えられる。
見え隠れする課題とユーザーの期待

MX Master 4が真の進化を遂げたかどうかを判断するには、デザインだけでは不十分だ。注目すべきは、現行モデルのMX Master 3Sで一部のユーザーから指摘されてきた課題が、どう改善されているかという点である。
具体的には、長期間使用した際のラバーコーティングの劣化といった「素材の品質」、そして稀に報告される「Bluetooth接続の信頼性」だ。今回のリーク画像から素材の品質を判断することはできないが、多くのユーザーは、この次世代機がデザインや機能の進化だけでなく、日々の使用に耐えうる堅牢性をも備えていることを強く望んでいる。ロジクールがこれらのフィードバックに真摯に耳を傾け、改善を果たしているかどうかが、発売後の評価を大きく左右する重要なポイントとなるだろう。
すでにマーケティング画像も準備されていると見られ、公式発表は時間の問題だ。新ボタンがもたらす革新と、細部にわたる品質向上が両立された時、MX Master 4は再びプロダクティビティマウスの新たな標準を打ち立てることになるのではないだろうか。
Sources
- EUIPO: 015105938-0011
- via NotebookCheck: Logitech MX Master 4 leak reveals slightly modified design and extra button