Microsoftは2026年11月3日、メモリ8GBのWindows 11 PCを快適に使えるようにするための性能改善について、具体的な検証結果と適用条件を明らかにした。同日、Windows Centralも同一の8GBノートPCでWindows 11の旧版と新版を比較した実機テストを公開している。テストでは、起動後の物理RAM使用量が大きく減った一方、複数のアプリを使用すると差は縮小した。高負荷時に顕著だったのは、Windowsがアプリやシステムに対して確保を約束したメモリの総量を表す「コミット済みメモリ」の減少だ。8GBという限られたメモリ容量でどこまで快適に動作するかは、OSの最適化だけでなく、実際の作業内容によっても変わってくる。

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8GBノートPCで検証、起動後のRAM使用量は1.2GB減少

Windows CentralのCale Huntによる実機テストでは、Acer Swift Air 14に約1年前のWindows 11 25H2を最小限の構成でインストールし、2026年10月版の26H2(ビルド26300.9711)へ更新して性能を比較した。テスト機にはIntel Core 5 320、8GBのLPDDR5xメモリ、512GBのPCIe 3.0 NVMe SSDが搭載されている。ドライバーやインストールするプログラムは新旧で統一し、電源モードも「最高のパフォーマンス」に設定することで、できる限り条件をそろえた。

テストは、起動後、日常作業、高負荷時の3つの条件で実施された。起動後の測定では、追加のアプリを開かずに約10分間待機した。日常作業ではMicrosoft Edgeで10個のタブを開き、Word、Slack、Spotifyを同時に起動した。さらに高負荷テストではEdgeを20タブに増やし、WordとExcelのファイルに加えて、Spotify、Slack、Microsoft Store、フォト、エクスプローラー、画像編集ソフトのGIMPも起動した。

物理RAMの使用量は、すべての条件で26H2の方が少なかった。ただし、改善幅は起動後が1.2GBだったのに対し、日常作業では0.4GB、高負荷時でも0.5GBにとどまっている。

測定条件 旧25H2 26H2(26300.9711) 削減量
起動約10分後 5.3GB 4.1GB 1.2GB
日常作業 7.0GB 6.6GB 0.4GB
高負荷時 7.3GB 6.8GB 0.5GB

起動後に利用可能なRAMは2.3GBから3.5GBに増えたが、複数のアプリを起動すると、新版でも6.6〜6.8GBを使用していた。つまり、OS単体のメモリ使用量は減っても、実際に作業を始めれば8GBの大部分が使われる状況は変わらない。また、この比較は1台のPCに限られ、テストされた26H2もMicrosoftが今回案内した最新の26300.9818より前のビルドだ。現在の25H2と最新26H2の差や、個々の最適化の効果を正確に把握するには、条件をそろえた追加検証が必要となる。

高負荷時にはコミット済みメモリが4.9GB減少

物理RAMの使用量以上に大きな変化が確認されたのが、コミット済みメモリだ。Windows Centralの測定では、高負荷時のコミット済みメモリの現在量が、旧25H2の14.7GBから26H2では9.8GBへ減少した。差は4.9GBに達し、日常作業でも11.5GBから9.1GBへ2.4GB減っている。一方、起動約10分後は4.7GBから4.4GBへの0.3GBの減少にとどまった。

コミット済みメモリは、物理RAMに実際に読み込まれているデータ量とは異なる。Microsoft Learnの解説によると、Windowsはアプリやシステムが要求したメモリの確保を保証するため、物理RAMに加えてストレージ上のページファイルも利用する。そのため、8GBのPCでもコミット済みメモリが8GBを超えることは珍しくない。タスクマネージャーの「コミット済み」に表示される2つの数値は、左側が現在のコミット量、右側が確保可能な最大量を表す「コミット上限」である。

今回のテストでは、コミット上限も条件によって変化した。起動約10分後は新旧とも9.5GBだったが、日常作業では12.2GBから10.4GB、高負荷時には15.2GBから10.4GBとなっている。コミット上限には物理RAMとページファイルの容量が関係するため、これらの数値を物理RAMの使用量と同一視することはできない。

Windows Centralは、高負荷時に両ビルドでストレージ使用率が上昇したものの、26H2では比較的軽度だったとも報告している。コミット済みメモリが減ったことは、メモリ管理の負担が軽減された可能性を示すが、それだけでSSDへの読み書きがどれほど減ったかは分からない。実際の快適さを評価するには、ディスクI/Oやアプリの切り替え時間なども測定する必要がある。

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Microsoftが公表した「最大20%」「最大40%高速化」の条件

Microsoftは10月15日のWindows Experience Blogで、Windows 11の日常操作における応答性の改善を発表していた。このうち「最大20%高速化」という数値は、8GB搭載PCの診断データを基に、スタートメニュー、検索、右クリックなどの応答時間を比較した結果だ。設定、Snipping Tool、エクスプローラーの応答時間も測定しており、比較に使用したOSビルドは26200.7628と26300.9550だった。

11月3日の説明では、新たに「最大40%高速化」という結果も示された。こちらは8コアのSnapdragon X Plusと8GBメモリを搭載したHP OmniBook 3による社内テストで、複数のアプリを順番に起動し、一連の作業が完了するまでの時間を測定したものだ。具体的には、Edgeで20個のタブを開き、4K動画や容量の大きなWord、PowerPoint、Excelのファイルを順次開いた後、Outlookとエクスプローラーも起動した。各工程の完了は画面の状態を自動検証する方法で確認している。

このテストでビルド26200.7623と26200.9445を比較したところ、新しいビルドでは一連の作業が最大40%速く完了したという。ただし、Windows CentralのテストとはPCの構成もOSビルドも異なり、測定しているのも作業の完了時間とメモリ使用量という別々の指標だ。したがって、Microsoftの示した40%という数値を、すべての8GB PCでアプリの動作が一律に40%速くなるという意味に捉えるべきではない。

8GB向けに見直されたメモリ管理とアプリの動作

Microsoftが取り組んだ改善の中心は、限られた物理RAMをより効率的に使用することだ。使用頻度の低いデータを圧縮してRAM内に保持する仕組みや、データをストレージに退避させるタイミング、再び読み込むタイミングを調整した。同社によると、ビルド26300.9550に含まれる変更によって、従来ならストレージへ退避していた作業データをRAM内に最大2GB多く保持できるようになった。これは物理RAMの容量そのものを増やすものではなく、圧縮やデータ配置の最適化によって、アプリやタブへ戻る際の読み込みを減らす仕組みだ。

バックグラウンド処理の優先順位も見直された。Windows Update後の再起動や検索インデックスの作成などが続いている場合でも、利用者が操作しているアプリを一時的に優先し、バックグラウンドの負荷を抑える。特に8GB機では、こうした処理が同時に動くことで応答性が低下しやすいため、操作中の負荷を抑えることが重要になる。

Microsoftは2026年9月にも、8GB搭載PCで作業前後のコミット済みメモリの変化を検証している。Edge、Office、Outlook、Teamsを使用し、それぞれのOSビルドに対応するMicrosoft 365を組み合わせた結果、26200.7628から26300.9550への更新によって、作業に伴うコミット量の増加幅が最大900MB縮小したという。このうちWord、PowerPoint、Excel、Outlookの改善分は合計360MBとしている。さらに、メモリ8GB以下のPCではウィジェットを利用者が開くまで読み込まないよう変更し、閉じている間のコミット量を約200MB削減した。なお、900MBは作業前後の増加幅、200MBはウィジェットを閉じた状態での差であり、異なる条件で測定された数値だ。

アプリ側にも最適化が加えられている。Edgeでは、使用していないタブが自動的にスリープ状態へ移行するまでの既定時間を、従来の2時間から15分に短縮した。また、リンクを開く際にバックグラウンドで起動済みのEdgeへ直接接続する変更も行われ、Microsoftは起動時間を最大33%短縮できるとしている。この改善の適用にはWindows 11のビルド26300.9818以降とEdge 150以降が必要だ。

Teamsでは、8GB搭載PCで効率モードを既定で利用できるようにし、起動時間を最大20%短縮したという。さらに、オンライン会議中はカメラの解像度を調整し、音声処理に必要なCPUリソースを確保するよう変更された。こうした改善は、OSだけでなくアプリ側の更新も組み合わせることで効果を発揮する。

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最新の改善を利用するための更新条件

Microsoftが今回案内しているのは、Windows 11 26H2のビルド26300.9818以降に更新し、Edge、Microsoft 365、Teamsも最新の対応バージョンにすることだ。26300.9818は、10月28日付の任意の非セキュリティプレビュー更新プログラム「KB5127936」で提供された。ただし、同じKB5127936をWindows 11 25H2に適用した場合、OSビルドは26200.9818となるため、KB番号だけでは適用状況を判断できない。

現在のバージョンとOSビルドは、Windowsの検索欄に winver と入力すると確認できる。Microsoftは「設定」からWindows Updateを開き、「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」を有効にして更新を確認するよう案内している。任意の更新プログラムは「詳細オプション」の「オプションの更新プログラム」からも確認できる。また、EdgeやMicrosoft 365、Teamsなどの改善は、各アプリの更新機能やMicrosoft Storeを通じて配信される場合もある。

今回の改善によって、8GB搭載PCでもメモリ使用量の削減や複数アプリの操作性向上が期待できる。ただし、Microsoft自身も、3Dモデリング、高度な動画編集、大規模データ処理などには16GB以上のメモリが有利だと説明しており、8GBであらゆる用途を快適にこなせるようになったわけではない。実際の効果を確かめるには、更新前後で同じアプリやブラウザーのタブを開き、切り替え時の待ち時間や応答性を比較することが重要だ。起動直後のメモリ使用量が減ったという結果だけでなく、複数の作業を続けたときにどれだけ快適さを維持できるかが、今回の最適化を評価する上でのポイントとなる。