Term

二硫化モリブデン

別名: MoS2, MoS₂, 二硫化モリブデン

Overview

最終更新: 2026年7月9日

二硫化モリブデン(MoS2)は、モリブデン原子1個と硫黄原子2個が結合した層状化合物であり、原子レベルまで薄く剥離・成長させることで機能する代表的な二次元半導体材料である。シリコンに代わる次世代電子材料として、また高い電荷移動度を活かした光センサーの信号輸送層として、半導体・光学分野の研究開発で広く利用されている。

概要

二硫化モリブデンは、グラフェンと並んで注目される二次元材料の一つであり、単層または数層に薄膜化した際にバンドギャップを持つ半導体特性を示す点が特徴である。この性質により、シリコンの微細化限界が指摘される中で、原子スケールで制御可能な次世代トランジスタ材料として位置づけられている。また、光吸収特性と電荷輸送能力を兼ね備えることから、フォトセンサーやニューロモルフィックデバイスの構成要素としても応用が広がっている。

技術的位置づけ

半導体産業ではトランジスタの微細化がナノメートル単位の限界に近づいており、シリコンに代わる材料として二硫化モリブデンを含む二次元材料の統合技術が重要な検討対象となっている。原子レベルで均一な結晶構造を持つ二硫化モリブデンは、極小ゲート長のトランジスタや、光と電子を橋渡しするフォトニクス素子、さらには生体組織と接続する電子インクなど、複数の応用領域にわたって研究が進められている点が技術的な特徴である。

主要な動向

2026年6月には、韓国科学技術院(KAIST)の研究チームが量子力学に基づく独自シミュレーション手法を開発し、二硫化モリブデンを用いた検証によって試作なしで原子レベルの電子挙動を解明し、トランジスタの微細化限界を特定したことが報じられた。同月にはASML、TSMC、imecの共同研究により、二次元材料トランジスタを300mmウェハー上で業界標準の微細ピッチで統合する技術が実証され、量産化に向けた進展が示された。また東京大学の研究チームは、窒化ホウ素ナノチューブを鋳型として用いることで直径1ナノメートルの極細な二硫化モリブデンナノチューブを合成し、原子配列が均一な半導体特性を実現したと発表している。

光センサー分野では、2026年5月に韓国の研究チームがナノスケールの量子ドットと二硫化モリブデンなどの二次元半導体を融合させた短波赤外線用ハイブリッドフォトセンサーを開発し、高価な特殊合金を使わずに自動運転や医療画像診断向けの視界確保に貢献する技術を示した。同月には、アアルト大学と北京大学の国際研究チームが、ファンデルワールス材料にアルミニウム保護層を施す加工技術を開発し、光変換効率を大幅に高めたフォトニックチップの実現に道を開いたことも報告されている。さらに2026年6月には、ノースウェスタン大学の研究チームが二硫化モリブデンとグラフェンを組み合わせた電子インクを用い、脳の神経細胞と直接接続して作動する印刷可能な人工ニューロンを開発したと発表した。これらの動向は、二硫化モリブデンが電子・光学・生体接続技術という複数の領域で次世代デバイスの基盤材料として研究され続けていることを示している。

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よくある質問

二硫化モリブデンとは何ですか?
モリブデン原子と硫黄原子からなる層状化合物で、原子レベルまで薄膜化できる代表的な二次元半導体材料である。高い電荷移動度を持ち、次世代トランジスタや光センサーの材料として研究されている。
二硫化モリブデンはどのような用途に使われますか?
次世代の微細トランジスタ、短波赤外線フォトセンサー、光と電子を融合したフォトニックチップ、脳細胞と接続する人工ニューロンなど、電子・光学・生体接続分野で応用研究が進む。
シリコンと比べてどのような利点がありますか?
原子レベルで薄く均一な結晶構造を持つため、シリコンが微細化限界に近づく中でも、ナノメートル単位で制御可能なトランジスタ構造を実現できる点が利点とされる。
二硫化モリブデンに関する最近の研究動向はありますか?
2026年6月にKAISTが原子レベルの電子挙動解明手法を検証し、ASML・TSMC・imecが300mmウェハーでの2D材料トランジスタ統合を実証するなど、量産化に向けた進展が報告されている。
二硫化モリブデンナノチューブとは何ですか?
東京大学の研究チームが窒化ホウ素ナノチューブを鋳型として合成した直径1ナノメートルの極細構造体で、原子配列が均一な半導体特性を持ち、極小トランジスタへの応用が期待されている。