HBMで3番手のSamsungが、NVIDIAとAppleを超える最高益を記録した理由
Samsung電子が2026年Q2に89.4兆ウォン(584億ドル)の記録的営業利益を発表し、NVIDIAとAppleの過去最高益を上回った一方、成長分野のHBMではSK hynixとMicronに次ぐシェア17%の3番手である実態を、価格主導の増益構造から読み解く。
別名: High Bandwidth Memory, 高帯域幅メモリ, HBM, 広帯域メモリ, HBM3, 高帯域幅メモリー, 広帯域幅メモリ, 高帯域メモリ
HBM(High Bandwidth Memory)とは、複数のDRAMダイをシリコン貫通電極(TSV)を用いて縦方向に積層し、従来のDRAMと比較して大幅に広い帯域幅を実現する高密度メモリ技術だ。AIアクセラレータやGPUのパッケージ内に近接実装される形態が一般的であり、大規模な行列演算に代表されるAI処理の性能向上に不可欠な要素として認知されている。規格はHBM2、HBM2E、HBM3と世代を重ね、帯域幅・容量ともに向上が続いている。
HBMは従来のDDR系DRAMやGDDR系メモリとは異なり、チップ間の物理的な距離を極限まで縮めるチップレット構成またはパッケージオンパッケージ構成のもとで利用される。TSVと呼ばれる微細な垂直貫通電極が積層されたダイ間の高速信号伝送を担い、広いバス幅による高帯域幅と低消費電力を両立する。NVIDIAのH100やA100といったAI向けGPU、あるいはGoogleのTPUなどに採用されたことで市場における存在感が急速に高まった。世界の供給の約8割を韓国のSamsung ElectronicsとSK hynixが担っており、残りをMicronが補う寡占構造にある。
HBM市場はSamsung、SK hynix、Micronの3社による事実上の寡占状態にある。この3社は世界のDRAM全体でも約90%のシェアを握っており、価格形成において強い影響力を持つ。AI需要の急拡大を背景に、HBMを含むメモリ製品の複数年にわたる供給枠契約が大口顧客との間で締結されつつあり、供給の逼迫と価格高止まりが2027年以降も続くとの見通しが示されている。一方、中国のCXMTはHBM市場には未参入ながら、国内向けDRAM供給を拡大しており、間接的に国際的な需給バランスに影響を及ぼし始めている。
2026年6月、Samsung ElectronicsとSK hynixが韓国南西部に総額900兆ウォン規模を投じる「第二の半導体ベルト」構想が発表された。これはHBMの世界供給の約8割を握りながら、中国CXMTの台頭とAI需要急増という二重の圧力に直面した韓国政府・産業界が主導する国家規模の投資計画である。同月、SK hynixはAI向けHBMの記録的収益を背景に、設計エンジニア数百人規模の採用拡大と学歴要件の廃止を同時に実施したことが報じられた。この動きはSamsungからの人材流出を招くとともに、韓国国内のファブレス中小企業における人材確保難を深刻化させている。SK hynixは同月、韓国・清州に総額100兆ウォンを投じる計画も発表し、HBMに加えてNANDおよび先端パッケージング拠点の整備を進める方針を示した。2026年7月には、Micronが広島工場での新クリーンルーム建設に着工したことが明らかになった。最大1.5兆円規模の投資を通じて1γ DRAMなどの次世代AI向けメモリの量産能力を確保する計画であり、2028年後半の装置搬入を目指している。こうした大規模投資が相次ぐ背景には、AIワークロードの拡大に伴うHBM需要の中長期的な増加見通しがあり、各社が供給能力の先行確保を急いでいる状況がある。
Samsung電子が2026年Q2に89.4兆ウォン(584億ドル)の記録的営業利益を発表し、NVIDIAとAppleの過去最高益を上回った一方、成長分野のHBMではSK hynixとMicronに次ぐシェア17%の3番手である実態を、価格主導の増益構造から読み解く。
Samsungの2026年通期営業利益が300兆ウォンに達するとの予測が浮上している。AIインフラ向けメモリの需要爆発が主因であり、1社でNVIDIAに匹敵する利益を稼ぎ出す可能性が出てきた。この空前の利益水準はメモリ業界全体の再評価を促している。
Micronは広島工場で新クリーンルームに着工し、2028年後半の装置搬入を目指す。最大1.5兆円規模の投資を通じて1γ DRAMなどの次世代AI向けメモリの量産能力を確保し、長期的な需要拡大に対応する開発・生産拠点としての役割を強化する。
SK hynixは、AI需要の拡大を見据え韓国の清州に総額100兆ウォンを投じる。2029年稼働予定のNAND新工場や先端パッケージング拠点を新設し、HBMに加えデータ保存を担うストレージ供給を強化することで、AIメモリ市場での主導権確保を狙う。
中国のDRAMメーカーCXMTがTencentと結んだ大型の長期供給契約は、同社の供給能力が中国国内の旺盛なAIやクラウド需要に優先的に割かれる可能性を示唆している。米政府の承認や技術要件に加え、この国内需要がAppleの調達戦略に影響を与える。
Samsung・SK hynixが韓国南西部に計900兆ウォン(約5,800億〜6,500億ドル相当)を投じる「第二の半導体ベルト」構想を発表した。HBMの世界供給の約8割を握りながら中国CXMTの台頭とAI需要急増に迫られる韓国の、国家的賭けの内実を解剖する。
Samsung・SK hynix・Micronの3社は世界DRAMシェアの約90%を握り、今回で3回目となる連邦集団訴訟の被告に立たされた。過去の刑事有罪前歴とAppleの同日値上げが示す市場支配力が、原告側の中心的な武器となる。
AI需要に伴うメモリー価格の高騰は、主要メーカーと大口顧客による供給枠の複数年契約やHBMの生産難化により、2027年以降も続く見通しだ。この供給不足はメーカーに巨額の利益をもたらす一方、消費者向け製品のコストを押し上げる要因となっている。
AI向けHBMの記録的収益を背景に、SK hynixが設計エンジニア数百人規模の採用と学歴要件廃止を同時実施した。ボーナス格差が拡大する中でSamsungからの人材流出が指摘され、韓国ファブレス中小企業の人材確保にも深刻な影響が及びつつある。韓国半導体エコシステムの重力構造が塗り替わりつつある。
米Micronは決算説明会で、中国のCXMTとYMTCが市場シェアを伸ばしている現状を認めた。中国勢は国内需要を吸収する供給源として存在感を増しており、AI需要による世界的なメモリ供給逼迫が続く中で、国際的な需給や価格形成に波及し始めている。
AIデータセンターの急拡大に伴うメモリ需要の急増を受け、AppleはMacとiPadの価格を引き上げた。部材コストの上昇を背景に、日本国内でも数万円規模の大幅な値上げが実施されており、AIインフラ投資の波が消費者の負担増として現れている。
Micronが複数の主要顧客と2030年までの長期供給契約を締結したことは、AI需要によるメモリー不足が長期化する見通しを裏付けている。この契約は供給枠の確保と引き換えに高水準の下限価格を設定しており、同社の将来的な収益安定性を強固にするものだ。
SK hynixは、AIメモリの増産に向けた資金調達のため、米国ナスダック市場への上場を申請した。最大約1,779万株の新株を発行し、調達した資金は次世代HBMの生産能力拡大に不可欠な龍仁の新工場建設やEUV露光装置の取得などに充てる計画だ。
MicronがAnthropicと複数年にわたるHBM・DRAM・SSD供給契約、メモリアーキテクチャの共同設計、Series H出資という三重構造の戦略提携を締結。AI向けメモリ市場で2位に浮上したMicronがサプライチェーンを武器に差別化を図る構造変化を解説する。
HBM量産の壁をMR-MUF技術で突破しSK hynixをNVIDIA向け主要サプライヤーに育てたLee Seok-hee氏が、古巣IntelのAdvanced Packaging担当EVPに転じた。EMIB-TでTSMCのCoWoS独占市場に挑む戦略的人事の背景と勝算を読み解く。
TSMCはAI向け巨大パッケージの需要拡大を受け、従来の円形ウエハーに代わり角型パネルを用いる新技術CoPoSの開発を加速している。材料利用率を高めてコストを抑える狙いがあり、2028年頃の量産開始や将来的なガラス基板の採用が期待される。
AIインフラ投資に伴うメモリ等の部材コスト上昇を受け、アップルのクックCEOは製品値上げが避けられないとの認識を示した。データセンターとの部材争奪が激化しており、今後はiPhone等の標準容量や価格構成にAIブームの負担が波及する見通しだ。
中国のメモリメーカーが国産の24Gbチップを用いたDDR5モジュールを相次いで発表し、自給自足の段階を実用化へ進めている。大手メーカーがAI向け供給を優先し汎用品が不足する中、中国製DRAMは安定調達を支える現実的な選択肢として存在感を高めている。
AIサーバー向けメモリ需要の爆発的増加により、PC用GPUやVRAMの供給が深刻に停滞し、製品価格の高騰と市場の縮小を招いている。一方でCPUの供給は正常化へ向かっており、ベンダーは利益率重視の戦略へ転換することで収益の維持を図っている。
中国のCXMTは、大手メーカーがAI向け供給を優先しDRAM不足が深刻化する中、貴重な第4の供給源として台頭している。同社製品は安価ではないが、逼迫する市場で在庫を確保したいメーカーに採用されており、一般向け市場の供給を支える存在だ。