キオクシアは、開発を公表していたGP Seriesに初の製品名を与えた。GP1はPCIe 6.0とNVMe 2.2に対応し、512バイトのランダムリードで最大1000万IOPSを掲げる。GPUがストレージへ直接アクセスするAI向けの構成を想定したSSDである。

AIサーバーのストレージ性能は、シーケンシャル転送速度だけでは測れない。推論時に小さなデータへ頻繁に触れる用途では、読み出しの細かさと応答の速さが設計の前提になる。GP1はその部分を狙う。

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GP1でGP Seriesが製品段階に入った

キオクシアは2026年3月、GPUによる直接アクセスを前提にしたGP Seriesの開発を公表していた。当時は選定顧客へ2026年末までに評価サンプルを提供する計画だった。GP1は、このシリーズの第1世代製品に当たる。

現在のGP1で示された最大性能は、512バイトのランダムリードで1000万IOPSである。これは製品側が掲げる最大値であり、独立したベンチマーク結果ではない。書き込み、混在I/O、任意のAIワークロードで同じ値が出ることも、この数字だけからは分からない。

1000万回の512バイト読み出しを単純に掛け合わせると、データ量は毎秒51億2000万バイト、十進表記で5.12GB/sとなる。ただし、これは見出しのIOPSから導いた値であって、GP1のシーケンシャル帯域を示す公表値ではない。

512バイトの小さな読み出しを狙う

GP1は第2世代XL-FLASHと専用SoCを組み合わせる。キオクシアのInvestor Day資料では、GP Seriesを512バイト粒度のアクセスと高IOPSを担う層として説明し、GPUメモリーを外側へ拡張する役割を与えている。一方、CM Seriesは高帯域のKVキャッシュ移動、LC Seriesは大容量データ保存という分担である。

キオクシアはNVIDIA Storage-Nextを、GPUがフラッシュベースのメモリーへアクセスし、HBMを補完・拡張する仕組みとして説明する。ただしGP1はHBMを置き換える製品ではない。GPU側の接続やソフトウェアを含む対応スタックがそろって初めて、この用途に組み込める。

XL-FLASHの公式ページには、メモリー技術として読み出しレイテンシーが5マイクロ秒未満との記載がある。16プレーン構成やSLC/MLCの選択肢も示すが、これはXL-FLASH単体の仕様である。GP1のエンドツーエンドのレイテンシーやQoSを示す値ではない。

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Optaneとの数字はそのまま比べられない

高IOPS SSDの比較では、IOPSだけを並べると条件が落ちる。IntelのOptane SSD DC P5800Xは、4Kバイトのランダムリードで最大150万IOPSを仕様に掲げていた。これに対してGP1の1000万IOPSは512バイトでの値であり、ブロックサイズが異なる。

Intelの製品資料には、P5800Xのメタデータ読み出しについて512バイトで最大500万IOPSという別の数値もある。したがって、GP1の1000万とP5800Xの4Kバイト時の150万を直接比べても、同一条件の優劣は導けない。両製品の数字は直接ベンチマークではなく、テスト条件も一致していないためだ。

P5800XはPCIe 4.0 x4、最大100DWPDの仕様を持つが、すでに販売終了となっている。GP1がOptaneの後継や同等品であることを、現時点の公表情報だけで結論づけることはできない。

サーバーに入るまでに残る条件

GP1はE3.Sと、9.5mmまたは15mmのE1.Sに対応する。全フォームファクターで空冷を使え、E3.SとE1.S 9.5mmではコールドプレートによる液冷にも対応する。耐久性は最大50DWPDとされるが、これは製品群または構成ごとの上限であり、全容量・全ワークロードでの保証を意味しない。

その一方で、容量と価格は明らかにされていない。シーケンシャル読み書き性能、キュー深度、詳細なレイテンシー、QoS、テストシステムも未開示である。対応するGPU直接アクセスのソフトウェア環境と合わせ、実システムでどこまで性能を出せるかもまだ示されていない。

GP1はコンシューマー向けSSDとして発表されたものではない。評価の対象は、GPUとストレージを近づけるサーバー構成で、細かなランダムリードをどの条件で維持できるかになる。

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100M IOPSは次世代へ向けた目標

キオクシアの公式資料は、第1世代をPCIe 6.0、第2世代をPCIe 7.0とし、後者で100M IOPSを目指す方向を示している。第1世代のサンプルは2026年後半、第2世代は2027年ごろとされ、いずれも変更される可能性がある。

ここで分けるべきなのは、GP1の現在の製品主張と将来像である。現在のGP1は512バイトのランダムリードで最大1000万IOPS、100M IOPSは次世代の目標である。評価サンプルが出た後に、容量や遅延、QoSと実システムでの振る舞いが示されれば、GPU向けストレージ層としての実像を判断できる。