Samsung Electronics(以下、Samsung)は2026年10月29日に開いた2026年第3四半期(7〜9月期)の決算説明会で、8nm以下の先端プロセスの稼働率が2027年に100%を超えるとの見通しを明らかにした。AI半導体向けの需要が生産能力を上回ると予測しており、2026年に獲得する2nmプロセスの案件数も前年比で2倍超に増える見込みだ。

ファウンドリ(半導体受託製造)事業の収益改善を急ぐSamsungにとって、今回の発表は重要な転換点となる可能性がある。AIアクセラレーターやクラウドインフラ向けの先端半導体ではTSMCへの生産集中が続いているが、供給元を分散させたいクラウド事業者にとって、Samsungの先端プロセスも選択肢になり得る。実際、同社は大手ハイパースケーラーを含む顧客から2nm案件の受注が増えていると説明した。

ただし、今回示された数字は、現時点での生産実績や確定した売上高を表すものではない。稼働率100%超は2027年の予測であり、案件数の倍増もウェハー出荷量や売上高が同じ割合で増えることを意味しない。受注した半導体が設計、試作、検証を経て量産に移行するまでには、歩留まりや製造コストを含む複数の課題が残る。Samsungの公表内容と外部顧客の動向、TSMCの実績を比較しながら、ファウンドリ事業の回復がどこまで進んでいるのかを検証する。

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稼働率100%超の予測と「2nm案件数倍増」が意味するもの

Samsungのファウンドリ事業部を担当するKang Suk-chae副社長は、10月29日の決算説明会で、2027年には8nm以下のプロセス全体で需要が生産能力を大きく上回り、稼働率が100%を超えるとの見通しを示した。韓国メディアのFinancial Newsも、この発言を報じている。同社は需要の拡大に対応するため、8nm、4nm、2nmの各プロセスで生産能力の増強を進める方針だ。

ここで注意したいのは、「稼働率100%超」という表現の意味である。通常、製造ラインの稼働率は、一定期間に処理できるウェハー枚数などの基準に対して、実際の生産量や計画量がどの程度に達しているかを表す。ただし、Samsungは今回の発言で、100%を算出する際の具体的な基準や、生産能力の増強をどこまで織り込んでいるかを明らかにしていない。したがって、装置が物理的な稼働限界を超えて運転されるという意味ではなく、基準となる生産能力に対して需要や生産計画が上回るとの見通しとして捉えるのが適切だ。

また、この予測は2026年第3四半期の実績を示したものではない。受注見通しが好調でも、製造ラインの増強や装置の導入、量産時の歩留まりによって、実際に出荷できるウェハー枚数は変わる。需要が生産能力を上回るという予測だけでは、工場が利益を確保しながらフル稼働できると判断することはできない。

もう一つの重要な指標が、2026年の2nm案件獲得数が前年比で2倍超になるという見通しだ。Samsungは第2四半期に続き、第3四半期にも大手クラウドサービス事業者(CSP)やAI・高性能計算(HPC)関連の顧客から2nm案件を獲得したと説明している。今後は主要顧客との長期契約(LTA)を通じて、受注基盤を安定させる考えだ。

ただし、この指標の単位はあくまで「案件数」である。ウェハー投入枚数や契約金額、顧客企業数が倍増するという意味ではない。また、2025年と2026年の具体的な案件数も明らかにされていないため、受注規模を数量ベースで評価することは難しい。

半導体受託製造では、顧客が特定のプロセスを採用する設計案件を獲得しても、直ちに量産が始まるわけではない。回路設計や物理設計を完了させ、テープアウトとフォトマスク製造を経て試作ウェハーを生産し、電気的特性や信頼性を検証する必要がある。その過程で設計変更が発生したり、顧客の製品計画が見直されたりすれば、当初予定していた量産時期や発注量が変わる可能性もある。案件数の増加は将来の売上拡大につながる重要な先行指標だが、売上高や利益の増加が確定したわけではない。

台湾Faradayの2nm AIチップ受注が示す具体的な進展

Samsungが説明する先端プロセスの受注拡大を裏付ける動きは、外部のサプライチェーンでも確認できる。台湾のASIC設計サービス大手Faraday Technology(智原科技)は2026年10月27日、海外の顧客から2nm GAA(Gate-All-Around)プロセスを採用するクラウド向けAI半導体の開発案件を獲得したと発表した。同社にとって初の2nm GAA案件であり、設計の複雑さ、初期開発費用に当たるNRE(Non-Recurring Engineering)の契約金額、先端パッケージング技術の規模で過去最大となるプロジェクトだ。

台湾の中央通訊社(CNA)の報道によると、Faradayの王國雍総経理は決算説明会で、この案件にSamsungのファウンドリを採用し、UMC(聯華電子)やメモリーメーカーとも協力すると説明した。契約総額は数千万ドル規模に達し、Faradayは2027年上半期から最初の売上を計上する見通しだという。これは、Samsungが発表したクラウド事業者向け2nm案件の拡大と整合する動きである。

ただし、Faradayの案件がSamsungの生産能力をどの程度使うのかは、まだ分かっていない。Faradayの公開決算資料にはSamsungの社名が明記されていない一方、CNAは同社幹部が決算説明会で製造委託先を明らかにしたと報じている。このため、単なる匿名情報に基づく観測とは異なるものの、ウェハーの発注数量や量産開始日まで確認されたわけではない。

ASICの受託開発では、NRE契約による設計・試作関連の売上と、製品の量産開始後に発生するウェハー製造・出荷の売上を分けて考える必要がある。Faradayが2027年上半期に計上すると説明した売上も、2nmチップの量産が同時期に始まることを意味しない。顧客の設計が完了し、試作チップの検証を通過した後、十分な歩留まりを確保できて初めて継続的な量産につながる。

Samsungの受注拡大とTSMCの先端半導体事業を比較すると、両社が開示している数字には重要な違いがある。

比較項目 Samsungの公表内容 TSMCの実績 比較上の注意点
先端プロセス稼働率 2027年に8nm以下で100%超を予測 直接比較できる数値なし Samsungは将来予測で、算出基準の詳細も非開示
2nm事業 2026年の獲得案件数が前年比2倍超となる見通し 2026年第3四半期のウェハー売上高の8% 案件数と実際の売上高比率は異なる指標
HPC向け売上構成 2027年に50%超を見込む 2026年第3四半期の純売上高の68% Samsungは将来見通し、TSMCは実績
外部顧客向け2nm案件 大手CSPやAI・HPC顧客から受注が拡大 2nmの売上貢献が既に発生 Samsungの案件別出荷数量は非開示

TSMCの数値は、同社の2026年第3四半期決算資料に基づく。Samsungの数値は10月29日の決算説明会で示された見通しであり、測定対象と対象期間が異なるため、単純な優劣比較には使えない。

今回のFaradayの案件は、Samsungが先端AI半導体の外部顧客を獲得し始めていることを示す具体例として重要だ。一方、受注したチップが設計段階を終え、量産ウェハーの継続的な出荷につながるかどうかは、今後の進捗を確認する必要がある。

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第2世代2nmと4nm NPUの量産が直近の成長を左右する

Samsungは2027年の生産能力拡大に先立ち、2026年第4四半期(10〜12月期)のファウンドリ売上高について、前四半期比・前年同期比ともに2桁の増収を見込んでいる。10月29日の公式決算発表では、先端プロセスの売上拡大やHBM向けベースダイの需要増加を背景に、第3四半期の収益性が改善したと説明した。ただし、ファウンドリ事業単独の売上高や営業利益は公表されていないため、増収率の見通しから実際の増収額や利益改善額を算出することはできない。

第4四半期の成長を支えるとされるのが、第2世代2nmプロセスを採用したモバイル向け新製品の量産開始、大手顧客向け4nm NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)の量産拡大、そしてHBM関連製品を含むメモリー向け受託製造の増加だ。Samsungは米国や中国の主要顧客向け販売も伸ばし、先端プロセスの売上構成比と工場稼働率を改善する計画を示している。

韓国のソウル経済新聞の報道では、第2世代2nmプロセスを採用するモバイル向け製品を「Exynos 2700」としている。ただし、Samsungの公式決算発表では具体的な製品名を明らかにしていない。同社のシステムLSI部門が設計するモバイルSoCは、ファウンドリ部門が先端プロセスを立ち上げる際の重要な製品となるが、今回の量産計画についても、製品名と実際の出荷状況を分けて確認する必要がある。

各プロセスの量産状況には違いがある。4nmでは大手顧客向けNPUの生産拡大が計画されている一方、第2世代2nmのモバイル製品は本格的な量産立ち上げの段階にある。さらに、大手外部顧客向け2nm製品については、2027年後半から新製品の量産を開始する予定だ。つまり、Samsungの2027年の成長見通しには、既存プロセスの生産拡大と、次世代プロセスの立ち上げという異なる課題が含まれている。

特に重要なのが、2nmプロセスの歩留まりだ。Samsungは、トランジスタのゲートがチャネルの四方を囲むGAA構造を採用しており、同社はこの技術をMBCFETと呼んでいる。従来のFinFETと比べてチャネルの電気的制御を改善できる一方、ナノシートの形成や積層構造の加工には高度な工程管理が求められる。先端プロセスでは、微小な欠陥によって動作するチップの割合が低下すると、ウェハー1枚当たりの製造原価が大きく上昇する可能性がある。

Samsungは2nmの歩留まり安定化を進める方針を示しているものの、今回の説明会では具体的な歩留まりや欠陥密度を開示していない。そのため、2nm案件数の増加や量産開始の発表だけで、製造コストが十分に低下したと判断することはできない。2026年第4四半期に始まる第2世代2nm製品の量産が安定し、その経験を2027年後半の外部顧客向け製品に生かせるかが、今後の重要な検証点となる。

米テイラー第1工場は2027年稼働へ、第2工場は2026年着工を計画

Samsungの先端プロセス拡大において、米国テキサス州テイラーの半導体工場は重要な役割を担う。米国の大手テクノロジー企業にとって、国内の先端半導体製造能力を確保することは、サプライチェーンの分散という観点からも意味がある。Samsungは2026年第3四半期の決算説明会で、テイラー第1工場のクリーンルーム運用と製造装置の搬入を開始し、製造ラインの立ち上げに向けたウェハー投入も進んでいると説明した。2027年には同工場の操業を開始し、世界的な供給能力を強化する計画だ。

ただし、テイラー第1工場の計画は当初の予定から大幅に遅れている。Samsungが2021年11月に発表した建設計画では、投資額は約170億ドル、量産開始は2024年後半を目標としていた。その後、建設や設備導入のスケジュールが変更され、2026年7月の決算説明会では同年中の操業開始を見込んでいたが、10月29日の発表では2027年の操業開始を予定している。先端半導体工場の建設と量産立ち上げには、当初計画から数年単位の遅れが生じ得ることを示している。

一方、テイラー第2工場については、2026年7月の決算説明会で、年内の建設開始と2030年の量産開始を目指す方針がすでに示されている。聯合ニュースが7月30日に報じた内容によると、Samsungは第2工場の建設準備を進めており、需要に応じて生産能力を拡大する計画だ。さらに韓国メディアのThe Guruは、具体的な着工時期が2026年11月になる可能性を報じている。したがって、第2工場については「公式な計画が存在しない」のではなく、会社が表明した建設方針と、実際の着工状況を区別する必要がある。

施設・投資計画 Samsungの公表内容 現時点での進捗・確認事項
米テイラー第1工場 2027年に操業開始予定 クリーンルーム運用、装置搬入、立ち上げ用ウェハー投入が進行中。当初の2024年後半量産目標から延期
米テイラー第2工場 2026年中の建設開始、2030年の量産開始を目標 2026年7月の決算説明会で方針を公表。11月着工との報道があるが、実際の着工は未確認
韓国・米国の追加工場 AI・HPC需要の拡大を受けて投資を検討 個別の新規計画について、具体的な建設規模や着工日程は未確定
先端パッケージング設備 ロジック製造とパッケージングを一体的に強化する方針 3D積層などの技術開発を進めるが、追加設備の具体的な能力は非開示

Samsungは今回の説明会で、AI・HPC市場の急成長に対応するため、韓国と米国における新工場への投資を検討していることも明らかにした。先端ロジックの製造設備だけでなく、先端パッケージング能力も拡大し、ウェハー製造からパッケージングまで対応できる生産体制を整える考えだ。ただし、追加工場の建設を検討していることと、具体的な投資額や着工時期が決定したことは同義ではない。既存工場の能力増強と新工場の建設についても、個別の計画を区別して評価する必要がある。

また、工場が操業を開始しても、直ちに計画通りの量産能力を発揮できるとは限らない。露光装置やエッチング装置などの導入に加え、工程間の調整、製造条件の最適化、熟練した技術者の確保が必要になる。特に2nmのような先端プロセスでは、試作ウェハーの投入開始と、商業規模で安定して良品を出荷できる状態の間に大きな隔たりがある。テイラー工場の評価では、建設や装置搬入の進捗だけでなく、実際の量産開始時期と生産能力の立ち上がりを確認することが重要となる。

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連結営業利益100兆ウォン超でも、ファウンドリ単独の黒字化は未確認

Samsungのファウンドリ事業の回復を評価する上では、全社の連結業績とファウンドリ単独の損益を分けて考える必要がある。2026年第3四半期の公式決算によると、同社の連結売上高は195兆3,000億ウォン、営業利益は107兆4,000億ウォンに達し、いずれも四半期として過去最高を更新した。営業利益が四半期で100兆ウォンを超える記録的な業績となったが、その中心にあるのはAI向けメモリーの需要拡大だ。

半導体事業を担うデバイスソリューション(DS)部門は、売上高147兆1,000億ウォン、営業利益106兆5,000億ウォンを計上した。特にHBM4の販売拡大やサーバー向けDRAM、SSDの需要増加が業績を押し上げている。ファウンドリ事業もHBMのベースダイや先端プロセスの販売増加によって収益性が改善したと説明されているが、DS部門全体の営業利益からファウンドリ事業の利益額を直接読み取ることはできない。

Samsungはファウンドリ事業単独の営業利益や営業利益率、営業損失の絶対額を公表していない。このため、同事業がすでに黒字化したのか、あるいは赤字をどの程度縮小したのかについて、会社の公表数値だけで判断することはできない。第3四半期に「収益性が大幅に改善した」という説明があっても、それは営業黒字への転換を意味するとは限らない。

赤字の規模を推定する材料として、証券会社による非メモリー事業の業績予測がある。韓国メディアDigital Todayが2026年9月29日に報じたキウム証券(Kiwoom Securities)の分析では、ファウンドリ事業とシステムLSI事業を合わせた年間営業損失が、2025年の6兆7,420億ウォンから2026年には3兆9,210億ウォンへ縮小すると予測されていた。2026年第3四半期の営業損失も、推計7,770億ウォンまで縮小するとの見方が示されている。

ただし、これらは10月29日の決算発表前に示されたアナリスト予測であり、Samsungが確定値として公表したものではない。また、対象はファウンドリとシステムLSIを合わせた非メモリー事業であるため、ファウンドリ単独の損益とも一致しない。仮に推計通りに赤字が縮小していたとしても、それは黒字化とは異なる。先端プロセスでは巨額の設備投資に伴う減価償却費や研究開発費が発生するため、売上高の増加が直ちに十分な利益の確保につながるわけではない。

設備投資の規模も、ファウンドリ事業の成長余地を考える上で重要だ。Samsungは2026年の全社設備投資額を約84兆4,000億ウォンとし、そのうちDS部門に約76兆8,000億ウォンを投じる計画を発表した。メモリー分野ではAI需要と中長期の供給拡大に対応する新工場などへの投資を進め、ファウンドリ分野では米国テイラー工場を中心に投資を増やす方針だ。ただし、DS部門の投資額にはメモリー事業も含まれており、ファウンドリ事業への具体的な配分額は示されていない。

したがって、全社の設備投資額をそのままファウンドリの生産能力拡大に結び付けることはできない。需要の拡大に合わせて工場の能力を増強できるかだけでなく、設備投資に伴う固定費を安定した受注と量産によって回収できるかが、事業の採算性を左右することになる。

TSMCのHPC売上比率68%が示す差と、Samsungの回復を判断する条件

Samsungがファウンドリ事業の成長分野として重視しているのが、AI半導体を含むHPC市場だ。同社は2027年にHPC向け売上高の構成比を50%超へ引き上げる見通しを示している。スマートフォン向けSoCへの依存を減らし、AIアクセラレーターやデータセンター向け半導体の受託製造を拡大することで、売上構成を変えていく考えだ。

一方、TSMCはこの分野ですでに大きな売上を確保している。同社の2026年第3四半期決算報告によると、HPCプラットフォームの売上高は前四半期比22%増加し、純売上高全体の68%を占めた。スマートフォン向けは21%で、HPCが最大の収益源となっている。さらに2nmプロセスの売上高はウェハー売上全体の8%に達しており、3nm、5nm、7nmを含む先端プロセスの売上構成比は79%となった。

両社を比較する際に重要なのは、SamsungのHPC売上比率50%超が2027年の見通しであるのに対し、TSMCの68%は2026年第3四半期に実際に計上された売上高に基づく数値だという点である。同様に、Samsungの「2nm案件数が前年比2倍超」という指標と、TSMCの「2nmのウェハー売上比率8%」も、測定している対象が異なる。Samsungの受注拡大は先端半導体市場での競争力改善を示す材料ではあるが、量産規模や収益力でTSMCとの差がどこまで縮まったかを判断するには、まだ十分な情報がない。

TSMCの強みは、先端ロジックプロセスに加え、CoWoSなどの先端パッケージング技術を組み合わせてAI半導体の製造需要に対応できることにある。AIアクセラレーターでは、演算を担うロジックチップだけでなく、HBMとの接続や複数のチップを統合するパッケージング技術も重要になる。このため、先端半導体の受託製造で競争力を確保するには、微細化技術だけでなく、パッケージングの生産能力や製造工程全体の歩留まりも欠かせない。

Samsungはこの点で、メモリー、ロジック半導体、先端パッケージングを手がける総合半導体メーカーとしての強みを持つ。HBMのベースダイを自社ファウンドリで製造するほか、I-Cubeなどの2.5Dパッケージング技術を活用し、複数の工程を組み合わせた受託製造の拡大を目指している。今後は3D積層技術の開発も進め、AI半導体向けの製造基盤を強化する方針だ。ただし、こうした技術を保有していることと、外部顧客向けに高い歩留まりと十分な生産能力を確保できることは別の問題である。

今後、Samsungファウンドリの回復が本格的なものかを判断するには、いくつかの具体的な進展を確認する必要がある。まず、2026年第4四半期に量産を開始する第2世代2nmのモバイル向け製品が、安定した品質と歩留まりで出荷されるかが重要だ。続いて、2027年後半に予定する大手外部顧客向け2nm製品の量産が計画通りに始まり、受注案件が継続的なウェハー出荷につながるかが問われる。Faradayの案件についても、設計関連の売上計上だけでなく、試作・検証から量産への移行時期と実際の生産規模が重要な判断材料となる。

米国テイラー工場の立ち上げも、回復を左右する要素だ。第1工場では装置搬入と試験運用が進んでいるが、2027年中に商業生産を本格化できるかは今後の進捗次第である。第2工場についても、2026年中の着工と2030年の量産開始という計画が実行されるかを確認する必要がある。さらに、非メモリー事業の赤字縮小が続くか、ファウンドリ単独の採算性がどこまで改善するかについても、今後の決算説明が注目される。

Samsungが示した2027年の稼働率100%超という予測は、先端半導体の受託製造に対する需要が拡大していることを示す重要な材料である。2nm案件数の増加やFaradayの受注は、同社が外部顧客を獲得する上で一定の進展を遂げていることを裏付けている。ただし、受注の拡大だけでファウンドリ事業の再建が完了したとは判断できない。最終的に問われるのは、先端プロセスで安定した歩留まりを確保し、需要を継続的な出荷と利益につなげられるかどうかだ。2026年末から2027年にかけて進む2nm製品の量産とテイラー工場の立ち上げが、その成否を判断する重要な局面となる。