Valveが公開した2026年7月のSteam ハードウェア&ソフトウェア 調査で、グラフィックスメモリ(VRAM)16GBの区分が25.90%となり、8GBの25.32%を0.58ポイント上回った。16GBはVRAM容量別で単独の最多区分になった。一方、これはSteam利用者の過半数が16GB GPUを使っていることを意味しない。月次の小さな逆転を、ゲームの必要VRAMやGPUの性能序列にそのまま置き換えないためには、調査が数えている単位と、16GB GPUに含まれる製品の幅を分けて見る必要がある。
16GBが首位でも、8GBとの差は0.58ポイント
7月のVRAM容量別シェアは、16GBが25.90%で前月から1.40ポイント増えた。8GBは25.32%で、前月比は0.32ポイント減である。両者の差は、Valveの公表値から計算すると0.58ポイントにとどまる。12GBは12.88%、24GBは5.43%だった。
16GBと8GBを合わせると51.22%になる。ここで分かるのは、二つの大きな容量区分が拮抗していることであって、16GBだけが多数派になったということではない。16GBが「最も多い区分」になった事実と、「利用者の半数超が16GB」という命題は別である。4GBは5.94%、6GBは5.65%、2GBは4.46%で、容量別の分布は8GBと16GBだけで構成されているわけでもない。
容量別の調査には、GPUの世代、製品名、ノートPCかデスクトップかといった内訳は載らない。したがって、今回の増加が新規販売、既存機からのアップグレード、中古ハードの流入、あるいは調査対象の構成のどれで生じたのかは、この月次表だけでは分からない。16GBへの移行理由を一つに決める材料もない。
VRAM容量だけでは、GPUの性能順位にならない
同じGPU系統に8GB版と16GB版があることも、容量別シェアを読む際の前提になる。AMDのRadeon RX 9060 XTは、16GB版と8GB版を用意し、いずれも32コンピュートユニット、最大3.13GHzのブーストクロックとしている。発表時の希望小売価格は16GB版が349ドル、8GB版が299ドルだった。
この二製品は、同じ製品ファミリーの中で容量を選べる例である。VRAMの値だけから、GPU全体の演算性能、世代、ゲームごとのフレームレートを並べ替えることはできない。AMDの表は、容量を性能階層そのものとして扱えないことを具体的に示している。
NVIDIAもBlackwell世代のGeForce RTX 5060 Tiで、グラフィックスメモリ16GB版と8GB版を発表している。16GBという区分には複数の製品系統と構成が入り得る。ゆえにSteamの16GBシェアが8GBを越えたという数字は、容量構成の比率を示すものであり、特定GPUの販売台数や性能優劣を表す指標ではない。
任意参加の調査と、2月の測定変更
Steam ハードウェア&ソフトウェア 調査は、Steam利用者が使うコンピュータのハードウェアとソフトウェアをValveが月ごとに集計する調査である。参加は任意かつ匿名で、公式ページの標準表示はWindows、macOS、Linuxを合わせた値になっている。市場全体の出荷台数や世界のPC保有台数を調べる統計とは、対象も集計方法も異なる。
さらにValveは2026年2月24日のSteam Client Beta更新で、一部のグラフィックスカードのVRAMが正しく報告されない問題を修正したと説明した。複数のディスプレイアダプタを持つシステムでは、VRAMが最も大きいアダプタをSteamが選んで報告するようにもした。VRAM容量の長期的な変化を読む場合、2月以前と以後の数値が同じ条件で連続しているかには留保が要る。
このため、7月の16GB首位は当月の公式集計として確定している一方、過去の月との差を普及率の連続した軌跡として扱うには慎重さが求められる。Valveは7月ページで、16GB増加に寄与したGPUモデルや形態の内訳を公表していない。
CPUコア数とシステムRAMは別の動き
同じ7月調査では、物理CPUコア数は8コアが27.85%で、前月から0.38ポイント増えた。6コアは27.52%で0.12ポイント減となり、8コアがわずかに上回っている。VRAMの16GBと8GBほどではないにせよ、CPUコア数でも近い二つの区分が並んでいる。
ただし、システムRAMの数字はVRAMと同じ方向には動いていない。16GBのシステムRAMは40.97%で0.60ポイント減り、8GBは7.98%で0.22ポイント増えた。GPUのVRAMは16GBが増え、システムRAMの16GBは減ったという同月の結果から、両者を同じ要因で説明することはできない。
7月の調査で確定したのは、16GB VRAMが単独首位になったという現在の配置である。その差が次月も維持されるのか、広がるのかはまだ決まっていない。ゲーム開発側が8GB対応をやめる根拠にもならないため、次の月次表では16GBと8GBの差に加え、16GB増加に寄与したモデルや形態の内訳が公表されるかどうかが判断材料になる。



