TSMCは2026年第2四半期、売上高1兆2,703.81億台湾ドル、親会社株主に帰属する純利益7,065.62億台湾ドルを計上した。前年同期比では売上高が36.0%、純利益が77.4%増え、希薄化後1株利益は27.25台湾ドルとなった。粗利率は67.7%に達し、会社予想の上限を0.2ポイント上回った。

この利益には、Vanguard International Semiconductor(VIS、世界先進積体電路)の株式売却・時価評価益632億台湾ドルが入っている。それでも営業利益は前年同期比65.4%増えた。記録的な増益は一時益で押し上げられた一方、先端ノードの高稼働とコスト改善が本業の利益を大きく伸ばしている。

同日の法人説明会でTSMCは、2026年の設備投資を600億640億ドルへ引き上げ、アリゾナ州にも1,000億ドルを追加投資する方針を示した。最大640億ドルの設備投資は、4月時点で示していた520億560億ドルの上限をさらに14.3%上回る。足元の利益を原資に次世代の生産能力を積み増す、大規模な投資局面に入った。

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77.4%増益を、本業とVIS株益に分ける

第2四半期の売上原価は4,100.70億台湾ドルで、前年同期から6.1%増えた。売上高の伸び36.0%との差は約30ポイントある。結果として粗利益は57.2%増の8,603.11億台湾ドルとなり、粗利率は前年同期の58.6%から9.1ポイント上がった。

研究開発費を含む営業費用は17.1%増えたが、売上高に占める比率は前年同期の9.1%から7.8%へ下がった。営業利益は7,666.03億台湾ドル、営業利益率は60.3%である。増産によって固定費の負担が薄まる操業度効果に加え、TSMCが挙げたコスト改善が利益率を押し上げた。

純利益を読む際には、営業外利益も切り分ける必要がある。営業外損益は958.27億台湾ドルの利益で、このうち632億台湾ドルをVIS株の売却と時価評価が占めた。税引前利益の前年同期からの増加額3,693.94億台湾ドルに対し、VIS関連利益は17.1%に相当する。税効果が開示されていないため、632億台湾ドルを純利益からそのまま引くことはできない。ただ、増益の大部分が営業段階ですでに生じていたことは確認できる。

TSMCは5月、VIS株式を最大1億5,200万株売却し、持ち分を約27.1%から約19%へ下げると発表していた。シリコンインターポーザーの生産委託と窒化ガリウム(GaN)技術のライセンス関係は維持する。資本関係を縮めながら、AI向け先端パッケージに必要な協業は残す判断である。

HPC 66%、2nm 3%へ移った売上構成

成長を主導したのは高性能コンピューティング(HPC)だ。HPCの売上高は前四半期比20%増え、全社売上高の66%を占めた。比率は2026年第1四半期の61%、前年同期の60%からさらに上がった。一方、スマートフォンは前四半期比4%減り、構成比も26%から22%へ下がった。

ただし、HPCの66%をそのままAI売上高と呼ぶのは正確ではない。TSMCのHPC区分にはAIアクセラレーターに加え、データセンターやクライアント向けの高性能プロセッサーも入る。AI需要の強さは、HPC内の個別内訳ではなく、先端ノードと高度パッケージに対する顧客の発注、そして設備投資の増額から読むべきだ。

製造技術別では、2nmが初めてウェハー売上高の3%を占めた。3nmは前四半期の25%から30%へ上昇し、5nm33%7nm11%だった。7nm以降の先端技術は合計77%となり、前四半期から3ポイント増えている。2nmの量産が始まった現在も、収益の中心は3nm5nmである。

出荷量と売上高の差も製品構成の変化を映す。12インチ換算のウェハー出荷量は前年同期比16.6%増の433万6,000枚だったのに対し、台湾ドル建て売上高は36.0%増えた。売上高を出荷量で単純に割ると、12インチ換算1枚当たりは約29万3,000台湾ドルで、前年同期の約25万1,000台湾ドルから16.7%上がる。この数値は契約単価ではなく、先端ノード、高度パッケージ、製品価格を合わせた売上構成の補助指標である。

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67.7%の粗利率はどこまで続くのか

67.7%という水準は、需要の強さに加えて製造現場の改善が重なった結果だ。TSMCは前四半期から1.5ポイント上がった理由として、コスト改善と設備稼働率の上昇を挙げた。海外工場の立ち上げは利益率を下げたが、それを上回る改善を台湾を中心とする既存能力から引き出した。

為替も上振れの大きさを測る手掛かりになる。会社は第2四半期の業績予想で1ドル=31.7台湾ドルを前提にしていたが、実績は31.60台湾ドルだった。台湾ドルが想定よりわずかに強く、輸出企業の採算にはやや不利な条件でも、粗利率は予想上限を超えた。予想超過を為替だけでは説明できず、稼働率やコスト改善の寄与が大きかったとみられる。

一方で、2nmの立ち上げ費用はこれから重くなる。棚卸資産の回転日数は前四半期の80日から87日へ延び、TSMCは主因を2nmの増産準備としている。4月の法人説明会では、2nmの初期量産が2026年通期の粗利率を2〜3ポイント押し下げるとの見通しを示していた。海外工場による希薄化も初期に2〜3ポイント、その後は3〜4ポイントへ広がるとみている。

第3四半期の会社予想は、この費用増を織り込んでいる。売上高は446億458億ドルで、中間値は第2四半期実績を12.4%上回る。ところが粗利率は65〜67%で、中間値は1.7ポイント下がる。1ドル=32.0台湾ドルという第2四半期より台湾ドル安の前提でも利益率が下がるため、増収と新工程の立ち上げ費用がせめぎ合う四半期になる。

設備投資640億ドルとアリゾナ追加投資

設備投資の増額は、TSMCが現在の受注を一時的な山とは見ていないことを示す。2026年上半期の設備投資は268億ドルだった。通期600億640億ドルを使うには、下半期に332億372億ドルを投じる必要がある。上半期を24〜39%上回る支出を半年で実行する計算だ。

投資負担はすでにキャッシュフローへ現れている。第2四半期の営業キャッシュフローは7,833.6億台湾ドルまで増えたが、設備投資も4,960億台湾ドル、157億ドルへ膨らんだ。フリーキャッシュフローは2,873.6億台湾ドルで、第1四半期の3,482.1億台湾ドルから減った。利益が増えても、製造装置と工場へ戻す資金の伸びがそれを上回っている。

アリゾナ州への追加1,000億ドルは、2nm以降の前工程と高度パッケージを米国内でつなぐ投資だ。これまでの計画と合わせた米国投資額は2,650億ドルに達する。顧客に近い場所で製造能力を増やせる反面、TSMC自身が警告する海外工場の採算低下も広がる。米国での増産は売上機会であると同時に、67.7%の粗利率を維持しにくくする費用でもある。

工場を建て、装置を入れ、良品を安定して出荷するまでには時間がかかる。TSMCは4月時点で、先端ノードの供給逼迫が2027年にも続くとの認識を示していた。第3四半期の粗利率65〜67%2nmの売上比率、87日まで延びた在庫日数がどの方向へ動くか。さらに2027年に向けた3nm増産が計画通り進めば、640億ドルの投資はようやく顧客が使える計算資源へ変わる。